英国王・最後のインド皇帝が冠をいだいた日 | 東京の高級アンティーク家具店パンカーダのブログ

英国王・最後のインド皇帝が冠をいだいた日

今から81年前、1937年5月12日水曜日。
ロンドン・ウェストミンスター寺院にて、ジョージ6世の戴冠式が行われました。
 
 
 
ジョージ6世はヴィクトリア女王のひ孫であり、現エリザベス女王の父親。

一度は兄のエドワードが王となりましたが、彼がアメリカ人女性ウォリス・シンプソンとの結婚を望み、退位したことから思いがけず王位を継ぐことになった人物です。2010年の映画「英国王のスピーチ」の主役、というとお分かりになるかたも多いかもしれません。
 
 
 
軍人として第一次大戦に従軍し、王としては第二次大戦を経験したジョージ6世。
困難な時期を大変な立場で過ごした彼は、誠実な人柄で、「善良王」として人々から愛されたといいます。
ちなみに、1947年インドは英国から独立したため、ジョージ6世は最後のインド皇帝でもあります。

そんなジョージ6世が英国王となった時代を少しおさらいしてみました。

1930年代は1918年に終わった第一次大戦の復興が少しだけ一段落し、1939年から始まる第二次大戦まで、束の間の凪のような時間。
 
ただ、経済は1929年アメリカを皮切りに世界恐慌が広がりましたし、政治的にも1930年代半ばからはナチスがユダヤ人の公民権を停止するなど不穏な空気が漂ってきますので、心からの平和をたのしむ雰囲気とは程遠い時代だったと思われます。
 
 
例えばノーベル賞作家、カズオ・イシグロ氏作の「日の名残り」。
主人公スティーブンスが執事として屋敷を切り盛りしていたのが1920-1930年代。
 

かつての大邸宅を維持するのは難しいながらも、まだまだ古き良き英国の邸宅とそこが舞台の社交をまもろうという人々がいた時代でもありました。
 
 

そんな時代にも、多くの良い家具がつくられ、今なお艶めく姿をみせてくれています。

80年前後を経た姿は、歳月が与えた古艶もよい色を出し始めており、構造がしっかりしたものが多いのも特徴。
実用の家具として、まさに頃合いの熟成を迎えつつあります。
 
 
 

ジョージ6世が王となった頃に生まれた家具たちは、英国近代史の体現者。
傍らにおき、激動の時代へと想いを馳せてみてはいかがでしょうか。
 

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