1914年6月11日
もうすぐ母の日。
フラワーショップの店先には、あふれるほどのカーネーションが飾られています。
ただ、今日お話ししたいのは、母の日・・・ではなくて、カーネーションと、それにまつわる100年前のカードのこと。
パンカーダには、アンティークマーケットで手に入れた、古いアルバムがあります。絵葉書やグリーティングカードなど、未使用のもの、実際に使用されたものなど沢山のカードが挟まっています。
その中からみつけた、2枚のカーネーションの絵葉書。
てっきり母の日用かな、と思っていましたが、よく見たらタイトルは
「To my dear Granpa」
もうひとつは
「Best Birthday Wishes」・・・。
あて名やメッセージをよく読めば、これはどちらも Hullに住むウッドコック氏にあてたもの。Hullとはキングストン・アポン・ハル/Kingston upon Hullのこと。街を起こした寺院から権利を取得したエドワード1世が1299年に命名したという名前をもつ古い街です。
片方はメリーから、片方はエマから。
ちょっとたどたどしい筆致から、書いたのはきっとまだ幼い二人。きっと姉妹なのでしょう。消印はどちらも1914年6月11日。その当時の習慣のせいなのか、発送元の住所は書かれてません。
地中海沿岸から西アジア原産のカーネーションは、古くからその可憐な佇まいで多くの園芸家を魅了してきました。17世紀にはイングランドやオランダで300種以上の品種がみられたといいます。
・・・こんな想像はどうでしょう。
6月に誕生日を迎えるウッドコック氏は英国民らしく、大のガーデニング好き。カーネーションがお気に入りで、お庭には、丹精込めたカーネーションが咲き乱れ、お手入れに余念がありません。ときおり届く、離れた町に住む孫たちからの便りを、いつも心待ちにしています。
6月11日、ポストに届いた2枚のカーネーションのバースデーカード。
「感謝」の花言葉をもつピンクのカーネーションが美しく描かれたカードをウッドコック氏はどんな思いで受け取ったのでしょうか。
・・現代の日本。今はまさに、店頭で様々なカーネーションをみることができます。
17世紀の300種、とまではいきませんが、普段みられない色合いや形のものを見ることもできることでしょう。
古い歴史と、「感謝」の花言葉を持つ可憐な花を、お母様に・・・だけではなく、近しい方へ、気持ちをこめてお送りしてもよいかもしれませんね。
by N