インテリア・ファブリックのお話② | 東京の高級アンティーク家具店パンカーダのブログ

インテリア・ファブリックのお話②

生地は一般的には糸を織って作り上げるもの。
(織らないで作る製法もありますが、それはまたいずれご説明します...。)

では生地にどのように色柄をつけるのか。
その大きな分れ目が、織りで表現するか、染めで表現するかです。

■織物と染物の違いとは?

まず、生地を手にとって裏返してみてください。
色柄が裏にまででできている場合が織り物↓

パンカーダのブログ

裏には色柄が無い場合は染物↓

パンカーダのブログ

・・・ざっくり分けるとそんな感じです。


■織物の種類

織物は始めに糸を染めて、それから織って色柄を出していく先染め織物と、
織った後に全体を染める後染め織物があります。

後染めは、多くの色数を生産するのに効率がよいため、
ベーシックな柄や無地調なものなどに多くみられます。

パンカーダのブログ


一般的に先染め織物の方が、色が豊かで様々な柄を織りだすことができます。
様々な種類の糸を何色にも染め、織機(しょっき)を駆使して織りあげていきます。
単純なストライプやチェックは「ドビー織機」で、複雑な模様は「ジャガード織機」でつくります。

          ドビー織機↓

パンカーダのブログ




■ジャガード織機

ジャカード織機は1801年、フランスの発明家ジョゼフ・マリー・ジャカール
(ジャカード, Joseph Marie Jacquard)によって発明された自動織機。
パンチカードのような紋紙(もんがみ)を使用して、いつどのように糸が動くかを管理します。

          ジャガード織機↓

パンカーダのブログ

          紋紙↓

パンカーダのブログ



複雑な模様を描く事ができますが、一般的には大きな柄は難しく、
ヨコが大きくても30cm程度の繰り返し(リピート)となります。

糸の飛び方、出方で柄を表現するので、糸の魅力が存分に楽しめます。
光沢のあるきれいなタテ糸でつくった朱子目、節のあるヨコ糸でアクセントをつけたグランド...


パンカーダのブログ



デザインだけではなく、糸商や織屋、紋紙屋などの専門職が協力してつくる、
織り物の醍醐味がつまっています。


■染物(プリント)

染物は捺染(なっせん)もしくはプリント、と表現します。
プリントにも様々な製法がありますが、基本は「型」でプリントします。

生地の耳部分に、このようなものを見たことがありませんか?


パンカーダのブログ


この部分を「色窓」といい、その生地に使われている色の数だけあるのです。
製造するときは、この色窓を頼りに色合わせを行っていきます。
この数があればあるほど、複雑な色表現ができます。

日本のインテリア・ファブリックだとほぼ10~15色くらいが限界ですが、
ヨーロッパは20色以上のものもあります。
インテリア・ファブリックとは異なりますが、プリントの最高峰である
エルメスのスカーフには40色以上のものもあるそうです。
その色を全て管理し、生産していくのにはどれほどの努力が必要なのか。
・・・考えるだけでも気が遠くなりそうです。

表現できる柄が大きく、日本ではヨコ50cmタテ60cm程度、ヨーロッパではヨコが70cm程度ものもあります。
デザインの自由度、鮮やかさ、細かい表現ができるのがプリントの魅力です。

パンカーダのブログ



■選ぶポイント

織り物も染物も、豊富な色柄や表情があります。
どれもこれも、少しでも美しく、人に好まれるように努力のうえ生まれてきたものばかり。

しいて言えば、プリントはくっきりと美しい色柄のものが多いので、
例えば椅子の座面など、小さなスペースにポイントで使うと良く映えます。


パンカーダのブログ



織り物は微妙なニュアンスが表現できるので、少し大きな面積、
例えばキャビネットの背板などに貼るとその醍醐味がお楽しみいただけるかと思います。


パンカーダのブログ


パンカーダのブログ




一番は選ぶ貴方の感性ですが、パンカーダでは少しでもお役にたてるよう、
用途や周りとの相性などについてのアドバイスをさせていただきます。
是非お気軽にご相談ください。


次回は生地の幅についてのお話をさせていただきます。
なんで生地には色々な幅があるのかな、と疑問に思ったことはありませんか?
その疑問にお答えします。  お楽しみに!