こんな夢をみた。
ピンポーンとドア・チャイムが鳴ると、
すたすたすたーと足音が部屋に入ってきて、
「マミー!誰か来たっ!!」
ぱなっちが、わたしの頭からヘッドホンを取るような感じで頭ををゆする。
「あぁ、誰だか、見て来てくれる?」
と、寝ぼけて応える。
が、いや、ぱなっちはわたしの隣で寝ていたはず。
わたしたちは畳の部屋に布団を並べて敷いて寝ていたのだから。
がばっと起きて、隣の布団を見ると、
ぱなっちは案の定、掛け布団からはみだし、ほぼ直角に体を折って寝ている。
すると、さっきのは誰?
あわてて、玄関に行くと、
ちょこんと座ったぱなっちに、郵便配達さんが膝を曲げ、はがきを渡していた。
「ポスト・カード届いた。」
と、にこにこぱなっちがはがきを渡してくれた。
旅行に行くと恒例の、旅先から自宅宛に送ったぱなっちの絵手紙だ。
切手が幾つも貼られている。
宛先面だけでなく、裏の写真にまで切手が数珠繋ぎで貼られていて、
その一部がはがれていた。
「スタンプ、こわれちゃったね。」とぱなっち。
「うん、大丈夫、また貼り付ければいいよ。」
ぱなっちは、幼稚園生くらいだった。
目にいっぱい涙を浮かべて、
「マミー、会いたかったよ。」と言った。
「マミーも、ずっと会いたかったよ。」
ぱなっちの寝ている隣の布団の上で、抱きしめた。
そして、また眠りについたらしい。
目覚めると、ぱなっちが隣の布団で起き上がったところだった。
「ぱなっち、ほら、ぱなっちの小さい頃。。。」
抱きしめていたぱなっちに会わせてあげようと腕を開いたら、
ぱなっちはもうそこにはいなかった。
あのかわいかったぱなっちは、
この小憎らしいぱなっちに取り込まれてしまったんだと悟った。
開けられていた襖の向こうを緑色の男が左から右へ通り過ぎるのが見えた。
「ぱなっち、誰か、家の中にいるっ!!」
二人で部屋を出る。
左は玄関。玄関はちゃんと閉まっている。
右に洋間がある。壁もドアもない。
今立っている廊下らしき場所は洋間の幅と同じ、
洋間との境には白いレースのカーテンがかかっている。
その向こうに古びた織物のカバーのかかったソファの背が見える。
その左にサイド・ボードがある。
突き当たりは一面ガラス戸で、その向こうに庭らしき芝生が見える。
外は日差しが強い。
小さい子供達が沢山いて、
その子供達を玄関から外に出して振り向くと、
白いレースのカーテンの向こうに先ほどの緑の男が見えた。
「ぱなっち、あの人!」
「どの人?」
その男は、ティーンの女の子の白い犬だった。
犬が立って歩いていただけだと言う。
その少女と犬も玄関からお帰りいただいた。
「ちゃんと鍵がかかっていなかったのかもね。」
アルミの扉を施錠する。
トイレの鍵のような小さい鍵だった。
つまみを左に45度回転させる。
扉とドア枠の隙間からデッドボルトがストライクに入っているのが見えた。
「これって安全なの?」
と思い、もう45度つまみを回転させると、
キリキリキリ、ガシャーンと銀行の貸し金庫のような音を立てて、
隙間なく扉が閉まった。
私達は、家の中を散策した。
新しく借りた家らしい。
玄関から右に入ったところに六畳間がある。
その左に先ほど寝ていた十二畳間がある。
十二畳間の先、レースのかかっていた洋間の右に、もう一つ畳の部屋がある。
「この家って、2・ベッド・ルームと言っても、、、、」と言うと、
ぱなっちが「畳の部屋はカウントされていないね。」と応える。
三つの畳の部屋を真ん中に、四角い家を3等分に仕切る形になっている。
玄関から洋間に続く広い廊下以外に廊下はない。
六畳間の奥(家の右隅)は納戸の様だ。
他の二つの部屋が寝室で、洋間を除いてどの部屋も、畳の部屋を通らないと入れない。
洋間のソファがあまりにも古めかしいので、自分の皮張りのソファを持って来たいと思う。
でも、そうしたらこの家具はどこに置いたらいいのだろう?
納戸に入りきるのだろうか?
どの部屋にもテレビがあることを知っている。
そしてどのテレビも映らないことも知っている。
なぜなら、テレビにデジ・ボックスがついていないから。
「だったら、フリー・ビュー・ボックスをアンテナ・ケーブルの大元に繋いだらいいんじゃない?」(注:この方法では、それぞれのテレビでそれぞれのチャンネルを見ることはできません)
と、納戸に入った。
ものすごく巨大なT字型のアンテナがあった。
ケーブルの太さが予想外だったので、そのまま納戸を出た。
十二畳間にレトロなテレビがあった。
テレビをつけてみる。
テレビは映った。
白黒のレトロな番組を放映していた。