- 夢 [DVD]/寺尾聰,マーティン・スコセッシ,倍賞美津子
- ¥3,129
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黒澤明が見た"夢"の世界---
スティーブン・スピルバーグ提供黒澤 明監督28作目『夢』が待望の初DVD化!!
黒澤明とスピルバーグ。映画界の2人の天才が紡ぐ"夢"の世界は、斬新な映像のきらめきに満ちていた---。
《オムニバス全8話》
「第1話/日照り雨」 出演:倍賞 美津子
立派な門構えの家の前。
陽が差しているのに雨が降っている。こんな日には"狐の嫁入り"があるという。
日照り雨を不思議そうに眺めていた"私"に、母が「狐の嫁入りを見ると怖いことになりますよ」と釘を差す。止められて余計に見たくなった"私"は神社の森に入っていき、金縛りにあってしまう。
動けない"私"の目の前で繰り広げられる、煌びやかでどこかおかしい狐の嫁入り。
十分に楽しんで家に帰った"私"に母は自殺用の短刀を渡し、狐たちに死ぬ気で謝ることを強いる……。狐たちの美しい装束と対比して描かれる自然界の厳しい掟。
黒澤の自然への畏怖が感じ取れる一作。
「第2話/桃畑」 出演:伊崎 充則
姉と女友達が雛祭りのままごとをしていると、不思議な少女が現れる。
"私"にはその少女が見えるが、姉たちには見えず馬鹿にされる。
少女に惹かれて裏の畑に行ってみると、そこには人間の姿をした雛人形が勢揃いしており、"私"に話かけてきた。
これを恐れた人々は「雛人形は桃の木の化身だ」と言い桃の木を全て切り倒してしまう。
それを見た"私"は泣き出してしまう。
そんな"私"の姿に心を打たれた雛たちは少年に豪華絢爛な花盛りを見せてくれるのだが……。
桃の木を自然全体になぞらえて描く、黒澤流の自然破壊と救済の物語。
「第3話/雪あらし」 出演:原田美枝子
"私"を含めた4人の登山隊は猛吹雪に遭遇してしまう。
お互いをザイルで結び、睡魔と闘っている"私"に、どこからともなく現れた長髪の美しい女が甘い声で語りかけてくる。
甘美な囁きに眠りかけた"私"だったが、自分を押さえつけている強い力に気付き見てみると、さきほどまで美しい姿をしていた女が豹変し、白髪の醜い老女になっていた
!老女は勝ち誇ったように高笑いし、ブリザードの中に舞い上がる!二面性を持った雪女が象徴する陰と陽。やさしさと厳しさ。黒澤の人生経験がここに結集する。
「第4話/トンネル」 出演:寺尾 聡
戦時中将校だった"私"は罪悪感と共に戦地から生還した。
暮れなずむ中、人気のないトンネルに差し掛かると、夕闇の中から猛犬が唸り声をあげながら向かってきた。
驚いた"私"はトンネルの中に飛び込む。
不思議なトンネルを抜けた"私"が歩き出そうとすると、重装備の兵隊が闇の中から出てきた。
よく見ると彼は戦時中部下の一人であった野口一等兵で、出てくるなり「自分は戦死したのですか?」と問い掛けてくる。
戦死した部下の突然の出現に面食らう"私"だったが、せめてもの罪滅ぼしに真実を本人に告げる
。野口は実際は自分の腕の中で息を引き取った事実をかみ締めながら……。
戦争の時代を生き、罪悪感を持ちつづけた黒澤の贖罪の物語
「第5話/鴉」 出演:マーティン・スコセッシ
美術館でゴッホの「アルルのはね橋」を見ていた"私"は、いつの間にか絵の中に入り込んでしまう。
その瞬間、絵の中の静止した世界は活動を始める。
"私"はゴッホに会うため洗濯している女性たちに話を聞き、大平原でデッサンしている男=ゴッホをついに探し出す。
尊敬するゴッホに出会い緊
張する"私"に対し、最初は無関心であったゴッホだが「何故、描かないんだね?」と声をかけてくる……。CGとゴッホの融合。
やがて自殺に至るゴッホの苦悩を最新の技術を用いて、ゴッホに心酔していた黒澤が切り取ってみせた傑作!
「第6話/赤富士」 出演:井川 比佐志
真っ赤に染まった富士山。逃げ惑う人々。
そこに中にポツンとたたずむ"私"。
何が起こったかわらかない"私"は群集の中の一人をつかまえ話を聞く。
すると彼の口から「六基の原子力発電所が爆発した」という驚愕の事実が明かされる。
群集を追って海岸の方に逃げた"私"だったが、そこでさらに恐ろしい場面を目にする。
切り立った断崖から人々が次々に身投げしていたのだ!人々を必死止めようとする"私"に、カラフルな色をした放射能が迫る---。
黒澤が心の根底で持ちつづけた恐怖を叩きつけた一作。
日本の美の象徴である富士山の赤、放射能の黄、紫などの色で表現され、恐怖を引き立てる。
「第7話/鬼哭」 出演:いかりや長介
"私"の前に鬼が現れる。鬼は"私"を不思議なものを見せてくれるという。
そこで"私"が目にしたのは、巨大化し人間より大きくなったタンポポ、地の池、その周りで飢餓に苦しむ鬼たち、という地獄絵図であった---。
しかも実はその鬼は元人間であり、悪事を重ねた人間のなれの果てだと言う。
放射能によって突然変異を起こした植物、食糧危機、そしてそこで苦しむ人間たちをとおして、強欲のために世界を破壊し続ける人間に警鐘を鳴らす。
『赤富士』と並んで黒澤の人間の愚かさに対する恐怖が表出した一作。
「第8話/水車のある村」 出演:笠 智衆
どこまでも続く大自然。鬱蒼と茂った木々。
清らかな水をたたえた川。その中に"私"がいる。
"私"は水車の修理をしている老人と出会い、その話に耳を傾ける。
その老人の口から出てきたのは、自然と尊び、共存する人間たちの姿だった---。
『赤富士』『鬼哭』で人間の所業とその結果を壮絶なまでの映像で見せた黒澤が、その締めくくりで見せた人間への希望のメッセージ。
奇をてらうことなく、訥々と語る老人と黒澤の姿が重なって見える最後の『夢』の物語。
1990年の作品。
映画館で観たのだけど、先日WOWOWでやっていて、懐かしいなあと思いながら観た。
「こんな夢をみた・・・」で始まる8つの物語。
森の中を歩いて行く狐の嫁入りの行列や、桃の精がひな人形になって舞を踊ったり、ゴッホの極彩色の絵の中に迷い込んだり、色彩がなんとも美しく幻想的で印象に残っていたのだけど、観ているうちに怖くなってきた。
「第6話」赤富士は、すっかり忘れていたのだけど、原発を題材にしている。
富士山が噴火し、人々が逃げ惑っている。
気が付くと母親(根岸季衣)と2人の幼い子供、大人(井川比佐志)と若者(寺尾聡)の男性だけになっている。
「なにかあったんですか?」
と聞く若者に、
「あんた、知らないの?
原発が爆発したんだ。」
逃げて来た人たちは、みんな海の底に消えた。
「あれはイルカ
イルカも逃げている。」
「イルカはいいねえ、泳げるから。」
「どっちみち同じさ。
放射能に追いつかれるのは時間の問題さ。」
だれもいなくなった場所に、乳母車や、カバンや、生活用品が放置されていて、そのうちに色のついた煙で覆われていく。
「来たぞ。
あの赤いのはプルトニウム239
あれを吸い込むと1/1000万でもガンになる。
黄色いのはストロンチウム90。
あれが体に入ると、骨髄に溜まり白血病になる。
紫色のはセシウム137。
生殖腺に集まり、遺伝子が突然変異を起こす。
つまり、どんな子供が生まれるかわからない。
しかし人間はアホだ。
放射能は目に見えないから危険だと言って、放射能物質の着色技術を開発したけど、なんにもならない。
知らずに殺されるか、知っていて殺されるか、それだけだ。」
「もう潮時だ。」
と言って海に飛び込もうとする男性。
「放射能で即死することはないっていうじゃないか。」
と若者が止めると、
「グジグジ殺されるなら、ひと思いで死ぬ方がいい。」
と言う。
「大人は十分生きたからいいけど、この子たちはまだなんぼも生きていないんだよ。
”原発は安全だ。
危険なのは操作ミスで、原発そのものに危険はない。
絶対ミスは侵さないから問題ない”
と抜かした奴らを許せない!
あいつら全員縛り組にしないと、死んでも死にきれないよ。」
と絶叫する母親に、
「大丈夫だ。
それはいずれ放射能がやってくれる。」
実はこの男性は、原発会社の職員だった。
「すみません。
私も縛り首の仲間のひとりでした。」
と言って、海に飛び込んだ。
「第7話 鬼哭」は、一本角の鬼の話。
実は、鬼(いかりや長介はもともと人間だった。
核汚染で地球も荒野と化した。
放射能によって強大化したタンポポ、花の真ん中から茎が生え、また花が咲いている奇妙なバラ。
「バカな人間が地球を猛毒物質の掃き溜めにした。」
20年前に黒澤監督が危惧していた通りになった。
当時、チェルノブイリ原子力発電所が爆発 した。
映画を観た当時は衝撃を受けただろうけど、20年以上も経って印象に残っていないのは、恥ずかしいことによその国のことで現実感がなかったんだと思う。
観ていて、今の日本とリンクしてゾッとした。
テレビや新聞では出ないけど、ネットでは花の中から花が咲いたり、バナナみたいな茄子や、巨大な花や野菜、耳のないウサギの写真を見た。
福島周辺だけでなく、もう全国規模になっている。
まだ感想をブログにアップしていないけど、先日読んだ
- 戦火の子どもたちに学んだこと―アフガン、イラクから福島までの取材ノート (13歳からのあなたへ)/かもがわ出版
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の本の中で、原発を稼働させると出てくる放射性廃棄物の劣化ウラン
を戦場で使用することにより様々な健康被害が生じて、ガンや白血病、生まれたときから手足や眼球がなかったり、股間に巨大な腫瘍を抱えた奇形の赤ん坊の写真を見て衝撃を受けた。
日本は核を持たない国だけど、劣化ウランを生み出している。
もしかしたら、間接的に加担してる?
それを利用する国もあるかもしれないし、それを脅威として戦争が起きたら真っ先に原子力発電所が爆破される可能性もある。
そしてここに出てくる写真の子供たちが、日本に生まれる可能性もある。
目について無作為に読んだり観たりしてるみたいだけど、ちゃんと繋がっていて、今だからこそ日本を、そして地球のことを考えなさいというメッセージなのね。
ぜひDVDを借りて観て欲しい作品。
映像が美しいです。
第8話の、笠智衆さん主演の、初恋の人のお葬式で、嘆き悲しむかわりに「良い人生を送った」と、みんなが喜び祝って歌ったり踊ったりして行列になって進んでいくのが、最後に心がホッとして救われた気がする。
こんな人生を送りたいなと思った。
撮影場所は、去年行った 安曇野の大王ワサビ農場。
去年も水が綺麗だったけど、20年前はもっともっと綺麗。
http://www.h5.dion.ne.jp/~swo23inc/
映画「夢」のYouTube