義母の腕時計の電池交換を頼まれたので、時計屋さんに持って行った。

ちょうど自分の腕時計の電池も切れていたので、一緒に持っていく。

会社を退職し、バスや電車に乗らなくなったら、腕時計をする機会も少なくなった。

携帯を持つようになったらよけいに。


電池を変えてくれたのは、この道何十年という感じのおじいさんで、ほとんどが機械化されても、手の技術に勝るものはないのだなあと思わせてくれる。

職人さんって、すてきだ。

腕一本で勝負出来る。


バンドが劣化していると教えられ、見てみると皮の部分がひび割れていた。

使ってなくてもバンドの皮は劣化するそうで、ちょうど2割引きということもあり、換えてもらうことにした。

義母には、前のと同じような明るい茶に、私のは黒から落ち着いたこげ茶に。

義母に喜んでもらえるかなと思えるだけ、私はそんなに義母のことを嫌ってはいないのだなとほっとする。


バンド交換していただいたときに、「良い時計ですね。」と褒められた。

就職した記念に、最初のボーナスで丸井で買ったセイコーの時計で、6万5千円した。

初任給が確か10万くらいだったから、大金。

そんなに高いものを買うのは初めてだったので、ドキドキした。

そのあと付き合った彼が私の時計を見て、「良い時計だね」と同じ時計の男性版を買った。

今でも使っているのかな。

もう思い出しはしないのだろうけど。


お店の人に、就職の記念に買ったという話をしたら、

「このシリーズは今でもあるんですよ。

記念に買ってもらって、ずっと使ってもらって、時計もしあわせですよ。」

と言ってくださった。


もう何十年も前の話でずっと忘れていたけれど、そのときの気持ちを思い出して、なんだかうれしかった。

気持ちって、風化しないものなんだな。


バンドを換えたらピカピカの新品みたいになった。

高いと丁寧に扱うから、長く使えて結局は安い買い物なのかもしれない。


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