- 井沢元彦の世界宗教講座―「生き方」の原理がなぜ異なるのか/井沢 元彦
- ¥1,470
- Amazon.co.jp
仏教、キリスト教、儒教、イスラム教、神道。五大宗教のエッセンスを比較することで、日本人の精神構造をあぶり出す異色の文化論。
「禊ぎ」「穢れ」「言霊」「和」などをキーワードに日本人の特異性と非常識を鮮やかに抉り出す。
前に、死生観に興味がある と書いた。
死生観の違いは、宗教の違い
2005年に国立博物館で唐招提寺展
を見に行き、鑑真和上像
を見たときに、なぜか日本のことをちゃんと知らなくてはと思って、歴史を読み直し、仏教史を読んで、宗教に興味を持った。
井沢元彦さんの本は、「逆説の日本史〈1〉古代黎明編―封印された「倭」の謎 」がものすごくおもしろかった。
外国人は、家族が病気になったり妻が出産すると仕事を止めて家に帰るが、日本人はやらない。
家族の愛情よりも職場における人間関係を乱さないことが大切だから。
日本人がいちばん大切にするのは「和」
「和を以って貴しとなす 」の「和」
韓国人が大切にするのは「孝(親孝行)」
ここに違いがある。
日本人の原理を定義づけようとすると非常にわかりにくい。
なぜなら離れ小島で、みんな腹を割って話せばわかるという社会にいるから、原則をマニュアル化して一目でわかるようにしておく必要がないから。
お互い日本人同士だからわかる。
でもそれは外国では通用しない。
この本には、仏教、キリス教、神道、イスラム教、儒教のことを詳しく書いてある。
仏教とひと言で言っても、禅宗系の曹洞宗・臨済宗といった宗派と、浄土宗系の浄土宗・浄土真宗では仏様や悟りや救われ方といったものの考え方がまったく違う。
大乗仏教と上座部(小乗)仏教の違い。
宗教が違えば、考え方や価値観が全然違うのは致し方ないなあと思う。
相手を知るには、宗教を知ることなんだなあ。
なんてざっくり書いてしまったけれど、これはかなり面白い。
たとえば、政治家の汚職事件。
なんで当人が悪びれないかといえば、政治はお金がかかるもので、誰かが持ってこなければならない。
税金から取るのはいけないけれど、営利企業団体の余っているお金をお互いが了承して貰ってきて、国政のために使って何が悪いという考え方。
これが、「和」であり「輪」の考え方。
自分の組織や村、会社、家庭の中で波風を立てないのが第一で、その中で話し合いでなんでも決め、外部の規範(法律)を無視する。
キリスト教社会や、イスラム教社会は、話し合いをする場合でも、話し合いの中でも変えてはいけないことが原則としてある。
「生きとし生けるものの権利は、創造主に由来する」
という絶対的思想があるからだ。
キリスト教にとって、正しい神は創造主のみ。
それ以外のものは認めない。
日本は八百万の神の国で、キリスト教が入った時点では神様もいる、仏様もいる、そこにキリスト教が入ったという感覚だったのに、キリスト教はキリスト以外信仰してはいけない。
お釈迦様であろうが孔子様であろうが人間なのだから、土のチリを信仰することは許されない。
日本に来た宣教師たちがお寺や神社を焼き打ちしたのは、彼らからみると創造主以外のものを神と信じることがいちばん罪が重いから。
仏教の開祖のゴータマ・シッダルタはインドに実在した王子、つまり人間。
創造主はアダムを泥で造り最後に命の息を吹き込んだもの。
だから、そんなものを拝むなんて、ちゃんちゃらおかしいやって言う事なのよね。
そしてカトリックとプロテスタント、旧教と新教の違いは、「解釈権」
解釈権というのはどういうものかっていうと、たとえば聖書に「子供は堕してよいか」とか、「麻薬は吸ってよいか」なんて書いていなくて、でも神様が教えてくれるわけでもないので、誰か人間が決めなくてはならず、それを調べて確定するのを「解釈」といい、それを解釈する権利を「解釈権」という。
その権利を持っているのは、ローマ教皇ただひとり。
そしてこのローマ教皇の解釈権を認めないのがプロテスタント。
プロテスタントは聖職者階級を認めない。
教えを垂れる人のとことカトリックの場合「神父」といい、プロテスタントの場合「牧師」と言う。
神父は神と人間の間に立つ特別な階級なので、結婚を許されていない。
自分の子供を持ったり妻を持ったりすると、自分の財産が欲しくなる。
そういうことをする人間が、どうして人を救うことが出来るのかという考え方があるからだ。
これは仏教も共通している。
「神父」が偉くなると「司祭」
もっと偉くなると「司教」
さらに「大司教」「枢機卿」「教皇」となる。
けれどもキリスト教の教えからいえば人間に区別はないので、聖職者なんていらないのではないかというのがプロテスタントの考え方。
牧師は信徒の代表で結婚も出来る。
このプロテスタント(新教)の考え方が、民主主義、資本主義を生み出していく。
「祓い」「禊ぎ」「言霊」「水に流す」「怨霊」「輪廻転生」など、興味深いキーワードがいっぱい出てきて、買って手元に置いておきたくなっちゃった。
ひとつの宗教について1冊読むより、この1冊でざっくり全部の宗教を学べてお得感満載![]()