- 東洋医学ノート―あなたに合ったツボ治療を求めて/土居 望
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鍼灸師・整体師・中医師
パニック障害に苦しみ、東洋医学、鍼灸医学との出会いが人生を変え、鍼灸師・整体師としての道を歩む。
東洋医学や経穴(ツボ)の話が、知識のない人にもわかりやすく書かれている。
「ツボ」とは、「経穴」と呼ばれ、体調を整える急所である。
東洋医学では、生命エネルギーの源となる「気」が、「経絡」というルートを通って全身くまなく流れることで、健康は生命活動を営むことが出来ると言われている。
その「気」の流れる経絡上の重要な急所が「経穴」つまり「ツボ」
この「ツボ」に刺激を与え、体の表面から内臓機能の変調、精神や情緒の乱れを調整することが、東洋医学における物理療法の大きな命題。
著者も、いつも治療に受けに来られる方のいつもと違うツボの反応を感じ、病院で精密検査を勧め、2つの病院で検査を受けてもらったにもかかわらず、数値に異常は見つからず原因不明で、結局その数日後に亡くなったという経験をしている。
ツボにも顔があり、少し笑って見えたり、泣いて見えたり、無情で冷たいイメージでこちらを見ているツボを見つけて病院で検査を進めるとガンが見つかったり・・・
興味深かったのは、ツボの不思議。
東洋医学的な治療や治療家に対して懐疑的な気持ち(本人も気づかない無意識的なものも含む)を持つ人のツボは閉じている。
そして治療法や治療家に信頼感のある人のツボは大きく開いている。
ツボの閉じた人に触れても、その人の体の状態はあまり見えない。
そういう人に鍼を打つと、間違いなく痛いと訴える。
指圧やマッサージをしても、せいぜい「気持ちよかった」で終わり、治療などできるものではない。
ところがツボの開いた人に触れると、そのツボを通してさまざまな身体の状態が強烈なイメージで浮かび上がり、「この人の病気は治せる」と直感したり、「症状は軽いけれど、なにか重い病気が隠れている」と感じたりする。
リフレクソロジーの資格取得の勉強でも、信頼していない人にはいくらやっても無理と教えられた。
猜疑心の強い人や、その人のことが嫌いだったり信じられなかったり、「こんなことしたって良くならない」と思っている人には、いくら心をこめて施術しても効果が出ない。
心と身体はつながっているから。
「人は病気で死なない」
今まったく健康だと思える人も、末期がんで苦しんでいる人も、明日の命は誰にもわからない。
人は生きる力を亡くした時に、死んでいくのだと思う。
良寛さんの言葉
「苦しいときは苦しむがよき候」
人は不安や死の恐怖、激しい自律神経失調症状に襲われると、なんとかその状況から逃れようと苦しむ。
しかしもがけばもがくほど症状は増幅され、アリ地獄のような状態におちいる。
苦しい時にその苦しみから逃れようとせず、それをあるがままに受け入れようとする心の姿勢が「癒しの原則」のように思えてくる。
辛い時ほど、もがいてもがいて、結局泥沼に入り込む。
静かに心を落ち着かせてじっと待っていると、泥沼はやがて澄んで、光が見えてくる。
少しの間辛抱して、光の差し込む方向に泳いでいけば良いだけのこと。
奥が深い言葉だな。
この中で、
末期がんで痛みに耐えながらも生きることに執着する人に鍼や指圧を試みる気持ちになれず、苦しむ方の体を軽くさすりながら話を真剣に聞いてあげることしかできなかったのに、ツボが解放されていくイメージが湧きあがって、物質的なものとは明らかになにか違う感覚的な、触れてもいないツボの硬結を溶かし、その方の気が癒されていくイメージが指先に実感された。
と書かれていて、去年亡くなった叔母 が生きている間に、せめてそうやってさすってあげられれば良かったのにと思って涙が出た。
だからもう後悔しないように、思いだけでなく、出来ることを形にしたいなと思う。