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『しつけと体罰』

 

「いつか困ったときに、この本を開いて、

解決の糸口を見いだしてもらえるなら、

んなにうれしいことでしょう」

体罰がどんな害をもたらすのか、

しつけとは何なのかを説明したこの本のはじめに、

筆者の森田ゆりさんはこんな風に語っている。

 

 

どこまでがしつけで、どこからが体罰か。

親も子も、外的制圧、内的制圧を減らして生きていくためには

何ができるか

 

誰かを責めたり、自分の考えを押し付けたりせずに

人を諭していくことはとても難しい。

だけど、この本はそれを見事に成し遂げていると思う。

 

優しいけれど甘やかしているのではなく、

迷ったり悩んだりすることに対する共感や承認がある。

 

だから読むうちに信頼感が生まれる。

読み進めながら

教師としての自分の在り方まで考えさせられる。

 

たとえば、

自分の子どもが他の子どものおもちゃを奪おうとした時。

取られた子どもの母親は「かしてあげなさい」と言う。

奪った方の母親は「すぐに返しなさい」と言う。

そこかしこの遊び場で繰り広げられている光景だと思う。

私も実際、子供が小さい時には公園や支援センターで

こういうやりとりを繰り返してきた。

しかし、実はこれが非常に苦手だった。

なんか気持ち悪かった。

こういうやりとりをしたくなくて、

だんだん公園に行かなくなった。

こういうやりとりをしなくていい相手とだけ付き合うようになった。

その理由がこの本を読んで分かった。

この母親同士のやりとりは

相手の母親への儀礼上の配慮から、

子どもをしかっている」ように見えるからだ。

「子どもがどうしたいのかには関心がない」からだ。

うん、一番嫌いで、

一番しなくてはならないと思っていたやつ。

できもしないし、したくもないのに、

「こういう時はこう言わなくちゃ」って思っていたから嫌だったんだよね。

 

「儀礼上の配慮」・・・

こういう、自分がモヤっと感じていたことに

一つ一つ名前がついて、なぜ嫌だと感じたのかが分かってくる。

 

だから私は

子どもにどう声掛けをしたらいいか悩んだ時や自分の在り方に迷った時に、

この本に力を借りている。

 

youtubeで検索をかければ何でも答えが出てくる時代。

困って本を開くという行為時代が

もう古いのかもしれない。

 

だけど、ピンポイントで検索をかけるだけでは

出会えない言葉、ものの見方、考え方が本にはあると思う。

 何を日常に落とし込むかは自分次第。

 

この本の中にある大切な言葉。

「共感的傾聴」

「あなたは何を大切にする家庭を

 つくっていきたいですか。」

 

もしかしたら、ここに自分の意識を向けるだけで、

心はずっとずっと穏やかなものになるのかもしれない。

 

すべての教師、保育士、親たちに

届いてほしい。

 

『しつけと体罰」

森田ゆり(童話館出版)