ちづさんの自己紹介はこちら

 

ご訪問ありがとうございます。

 

〇「エネルギー論って何?」
〇「どうやって自分の中に落とし込むの?」

 

そんな疑問を感じた時、

ちょっとだけこのお話をのぞいてみてください。

 

 

主人公はエネルギー論を使って

現実を動かそうとする女性たち。

みんな可愛くて美しくてまっすぐで、

幸せになりたいだけの普通の女の子です。

 

 

自分ビジネス講座のプレミアム講師・美歩さんとのやりとりで

彼女たちが自分の願いや抵抗に気付いていく姿を

ショートストーリーにまとめましたキラキラキラキラキラキラ

もしかして、あなたも自分の抵抗に気づくかも???

(人はこれを「流れ弾に当たる」と言う・・・)

 

 

 

フェイク

 

初恋の人の夢を見た。

 

目が覚めた時、

「会いに来てくれたんだな」と思った。

夢の中の私はあの時と変わらず、

ちょっと遠巻きに彼を見つめるだけで、

うまく話せなかった。

 

好きな人が近くにいると

自然にふるまえなくなるのは

今も昔も変わらない。

 

あの人も変わらず、

私の気持ちが分かっているのかいないのか、

よく分からない振る舞いで

私を期待されせたり

不安にさせたりしていた。

 

優しくて、

でも届かなくて、

青空みたいな人。

また会えたらいいな、

会ってみたいなと思う。

 

 

開店の支度を始めても

なんとなく夢見心地のままでいた。

コーヒーの豆をひきながら

少しずつ目を覚ます。

 

 

今日の初めのお客様は、叶美ちゃん。

「おはよう。」

グラスにお水を注いでカウンターに座る。

常連さんは水さえセルフサービスだ。

「パンなしでお願いしまーす。」

サラダとスープを用意する。

 

 

この人はきっとどこかでずっと

思い続けている人がいるのではないか。

そう思わせる雰囲気の人と

時々出会うことがある。

たたずまいというか

遠くを見るような視線というか、

どこか届かない場所にいる人に

思いをはせているような人。

 

「いつか、

きれいになった自分を

見てもらえる日が来る。」

 

その日を待ちわびているような視線。

棺の中で眠る白雪姫とか

片方のガラスの靴を大事に持ち続けるシンデレラとか。

叶美ちゃんには出会った時から

そんな雰囲気を感じていた。

 

「この間言ってたホテルランチ、

行ってきたよ。」

 

車で1時間弱の、少し離れた海辺の町に、

新しくホテルが建った。

日常を離れたくつろぎ空間を思わせるラグジュアリーなホテル。

「行ってみたいな、やってみたいな」

そう思うとすぐに行動に移すのが叶美ちゃんの素敵なところ。

 

「もう本当に居心地が良くて、

時間がゆっくり流れてる感じ。

お部屋も借りて、

少し休めたらもっと良かったかも。

温泉も良さそうだったよ。

今回は一人で行ってみたけれど、

素敵な男性と行けたらもっといいなぁ。」

 

 

ため息交じりのうっとりとした口調に

私はまた今朝の夢を思い出す。

ちょっとおしゃれして

大人の雰囲気をまといながら

ロビーを一緒に歩けたらどんなにか素敵だろう。

その時の私はおどおどなんてしていない。

ゆっくりと微笑んで

彼に寄り添いながら

彼の話に相槌を打っている。

 

はぁ~、

お腹がきゅっとこそばゆくなる。

想像するだけで幸せになれる、

そんな恋があったなんて、

私はそれだけで幸せなのかもしれない。

 

 

「おはよー。あーいい香り。

ホット一つお願いしていい?」

 

この時間には珍しく、ミホさんがやってくる。

大きなトランクを転がしながら。

 

「おはよう。東京行き?」

 

叶美ちゃんが”こちらへどうぞ”という仕草で

椅子を少し端に寄せる。

 

「うん、大阪から東京から、色々。

あれ、なんか二人いい顔してるね。」

 

よししょとカウンターの席に着き、

嬉しそうに私たちの顔を見比べる。

心の中の何かを見抜かれたようでドキッとした。

 

叶美ちゃんがホテルの話を始めたので

私はコーヒーを入れながら

ランチの仕込みに取り掛かる。

ハンバーグの付け合わせのマッシュポテト。

昨日もらった大きなジャガイモを茹でる。

うちの野菜は近くの畑で穫れたものばかり。

常連さんたちが代わるがわる

自作の野菜を持ってきてくれるので

本当に助かっている。

 

 

「あそこのアフタヌーンティー、

すごくいいよね。

私も来週お客様をご招待するよ。」

 

叶美ちゃんからパンフレットを受け取りながら

ミホさんが答える。

 

「叶美ちゃん、ものすごい瞬発力いいね。

この間行きたいって言ってたもんね。

こうしたいなぁと思ったことをやりきることって

すごく大事だと思う。」

 

「ミホさんが”すぐやったらいいよ”って言ってたでしょ。

男性性と女性性の話を聞いたから。

自分の望みを叶える力が

私には必要かなと思って。」

 

「どうだった?行ってみて。」

 

「ん~~~、よかった。

楽しかったし、いい気分になったけど。

本当は連れて行ってほしかったかなって

思っちゃって。

連れて行ってくれなかった彼に

不満…というか、

モヤモヤが残ったんだよね。」

 

 

エスコートされたかったってことか。

さっきの自分の妄想と重なり、

ちょっと恥ずかしくなる。

でも、それって

全ての女子が望んでいることなのかも。

みんなお姫様になりたいよね。

 

「パートナーは自分の男性性だからね。

相手じゃなくて自分だよ。」

 

「私の男性性がケチなの?」

 

「ケチっていうか、拗ねてるんじゃない?

やってくれたことに対して

女性性が喜んでくれないから。

行きたいって思って行かせてくれた、

体験させてくれた、

行動してくれた自分の男性性に、

全力リアクションしてるかどうか。

望んだことを叶えてくれて

”ありがとう”っていう気持ちを

伝えてるかな。」

 

「自分で自分に?」

 

サラダをつついていた叶美ちゃんの手が止まる。

ミホさんが静かにうなずく。

 

「なんか恥ずかしくて抵抗がある。

そこが恥ずかしいから言えてないかな。

そこまで喜んでない女性性がいるなって思う。

パートナーにもなかなか言えないけど、

自分に対しては…

すごい…抵抗を感じる。」

 

そうだよね。

私も「ありがとう」って思うのに、

それを言葉にすると変な感じになる。

顔もひきつってしまうし、

伝えるの嫌なわけじゃないけど、

恥ずかしさが先に立って不自然になるんだよね。

私の場合は、

自分に対してならまだ簡単かも。

 

「慣れだよ。

習慣づけていったらいいよ。」

 

「やりながら

できるようになればいいってこと?」

 

「そうだね。

自分がどんな体験をしたいのか、

どんな感覚を望んでいるのかは、

分からないでしょ。

だから色々やってみるのがいいと思う。

まず与えるってことを許してあげて。

望んだ感覚が味わえたら、

その感覚を今度は”人から欲しい”って

オーダーをかけたらいいよ。」

 

「理想の相手にしてもらうことを望んでいるのに、

相手が現れるのを待たずに自分でやっちゃうのって

どうなのかなって思う。」

 

「大丈夫。

したいって思ったんでしょ?

やってあげて。

男性性に与えることを許して、

それを受け取って喜ぶって行為を繰り返してみて。

どんどん育つから、女性性が。

自分恋愛してみたらいい。

自分とラブラブになった瞬間に

その通りの人が現れるから。」

 

”自分恋愛”いい言葉だな。

でも自分の中で自分と仲良くするって

意外と難しいのかもしれない。

ダメ出しはしても、

褒めたり感謝したりすることって

私はあまりない。

自分で自分に感謝するなんて気持ち悪い、

ただの自己満足だと思っていた。

自分を鼓舞して

叱咤激励してこそ

人は成長していくもの、

それが当たり前だと思ってた。

それが潜在意識としてあるのだから、

そのままの現実が現れるのは当然だ。

だとしたら、

私の男性性は

どれだけ拗ねているのだろうか。

じゃがいもをぎゅっとつぶしながら

足元をすくわれたような気持ちになる。

なんだか顔があげられない。

 

「受けとれる人って可愛いんだよ。

何されても拗ねる人っているじゃない?

褒められてるのに逆ギレするとか。

そういう人は受け取る時に

おかしな変換装置を使ってるのね。

褒められても

利用されてるとか

馬鹿にされてるとか

勝手に思ってね。

だけど

男性は女性に幸せでいてほしいのよ。

だから

あなたのおかげで幸せです、って

女の人は感謝するだけでいいの、ほんとはね。」

 

「そうかぁ。

でも、そんな男性ばっかりじゃないでしょ?」

 

「うんだから、

そう思ってる男性だけ

相手にするんだよ。」

 

”ソウオモッテル ダンセイダケ アイテニスル”

心の中で何度も復唱する。

すごい視点。

自分は男性に選んでもらっていると思っていた。

選んでもらえるように努力するものだとも。

つぶしたじゃがいもに

温めたバター・牛乳と塩を手早く混ぜる。

 

「マッシュポテト?

ちょっとちょうだい♡」

 

ミホさんがいたずらっぽく目をキラキラさせて

手元をのぞく。

 

「そう思ってる男性って

見極めることできる?」

 

「うん。そこでエネルギー論を使うのね。

私はどうしたいを真ん中に置く。

”TOP OF 自分”よね。

我慢したり、相手に合わせたりしないで

会える人を選んでほしい。

自分のしたいこと、

叶えてくれないパートナーだったら

本当はいらないよね。」

 

「うん。いらない。」

 

そんな風に自分の望みを叶えてくれる男性が、

望んでいる女性の数だけこの世の中にいるのだろうか。

そんな人ほんのひと握りで、

セレブたちがゲットしたらもう数が足りません、

おしまい、って

ならないのだろうか。

叶えてくれる人が本当にいるなら、

叶えてくれない人なんかいらないよなぁ。

いらないっていうか、

相手にしていられないよね。

 

「でも現れるかなぁ、そんな人。

私、自分を磨くこともしたいし、

素敵なドレスを着てパーティーに行くような

そういうセレブっぽい経験もしたい。」

 

可愛い。

そういうことを口にする時の叶美ちゃんは

本当に”女の子”の表情をしていて、

女性らしさが全面に出ている。

それ、そのまま男性の前で言えばいいのに。

人のことならすぐそんな風に考えることができる。

自分じゃ無理なのにね。

 

「望む力だよ。

”これができたら素敵な男性が現れる”じゃなくて、

”こんな男性とあれしたい、

ここに行きたい、

こんな気分を味わいたい”って

叶えたい感覚を具体的に望むこと。

出していいのかなと思ってる

控えめな欲求を、ずっと口にしていくといいよ。

男性は自分のお金で幸せにしてあげてるって

思いたいんだから。」

 

それが本当なら、

なんて幸せなことだろう。

例えば自分が美容院に行ったり、

ネイルサロンに行ったり、

好きな洋服を買ったりすることを

パートナーが喜んで、

さらにお金まで出してくれたら。

そんなのくだらない、

大して変わりもしないのに

何がいいんだって、

世の中の男性の大半は

そう思っていると感じていたのに。

 

「何したいのかなぁ。

本当にしたいことなのかって聞かれたら、

まだそこまで決まってないかも。

男性に叶えてもらうのもいいけど、

自分でできるのもいいかもなって

思ったりもしてる。」

 

パートナーに対して望みを口にする時、

相手に納得してもらうための説得力とか、

そうしたいと思う根拠が必要だと思ってしまう。

自分が本気で望んでいるかどうかも分からないままで

望みを口にして

相手を振り回しちゃいけない、

口にするには覚悟が必要だ。

”なんとなく”で望みを口にしちゃいけない、

という気持ちが私にもある。

 

「明確に決まってなかったら

口にしちゃダメって思ってるでしょ。

でも、叶えたい感覚はあるよね。

そしたらまずはそれを体感しに行くこと。

自分に体験させることだよ。

自分がその世界の中に入ることが一歩だから。」

 

「でもそれで違ってたって思ったら?」

 

「大したことなかったなって思うこともあるよ。

でもそこで

損したとか間違ってたとか思わなくていい。

それは思考だから。

違ってたら、

また別の、いいなって思ったところに

体験しに行けばいいだけの話だよ。

それが未来へのアクセスポイントだよね。

その場所で望む感覚が得られたら

それを彼からもらいたいって望む。

これを体験するパートナーに出会いたいって望んで。

召喚できるから。

感覚を信じてやり続けて。」

 

「その感覚ってどういうもの?」

 

「それは自分にしか分からない。

だから行動しないと

彼とどんな感覚を味わいたいのかも分からないよね。

実際やってみると望みも変わってくるからね。」

 

「グレードアップするってこと?」

 

「そう。あと、旬もあるんだよ。

”まだ○○してないから”

”でも、だって、どうせ”って思ってたら

現実で何も変わらないよね。

それが思考だよ。

それを採用してたら

制限がかかる。

そしてそう思っている間に旬が過ぎるから、

”あの時そう思ったから

やっぱりやってみよう”

って思って行動しても

不思議と全然ときめかない。」

 

「あ、それは分かる気がする。

あの時あんなに欲しかったのに、

次に見た時はそうでもないってこと、ある。

でもそれって

本当に欲しいわけじゃなかったんだ

って思ってた。」

 

「う~~~ん、違うかな。

その時に感覚を信じて手に入れていたら

確かに得られたはずの”快”を、

もう逃してしまっているわけだから。」

 

「勘違いしてたかも。」

 

「そうかもしれないね。

自分の感覚に従って体感を取りに行ってたら

感覚が具体的になるから

相手にも具体的に要求できるよね。

自分の欲を許していけばいいよ。

ただ選ぶ時に、

しっかりエネルギー論使ってね。」

 

何かを我慢したり

不安に駆られながら選択したことからは

”快”の感覚は得られない。

いい気分でいる時、

例えば体の調子で言えば、

冷えてない、疲れてない、固くない状態で選択し、行動する。

感覚のエネルギー(5次元)が

時間を経て現実(3次元)として現れる。

だから今現実で見えているのは

過去放った自分の感覚。

ものすごく極端に言うと”今は過去”。

これはもうどうにも動かすことができない。

だから自分が何を好きだと思っているか、

どんなことを心地いいと思っているかを精査して、

心地いい、楽しい感覚を

自分に与え続けていくことが大切だ。

それがエネルギー論の考え方。

 

「私の女性性が育ってないから

パートナーが思い通りにしてくれないのか。

分かってるつもりなのに、

なかなかできないなぁ。

まだまだだね。」

 

「望んだことを行動に移せるようになったじゃん。

そっちにフォーカスしてみてよ。

”まだ届かない”じゃなくて

”これだけ進んだ” ”あとこのくらい”って。

いい気分でいようと思ったら

あるものに目を向けて。

パートナーに望むことは沢山あっていいけど、

急に完成形は出来上がらないからね。

変化を観測していくことって大切だよ。」

 

「それから」

 

ミホさんが間を取る時、

ちょっとドキッとする。

 

「叶美ちゃんは、

自分に嘘つくの、やめようね。」

 

ふわりと椅子から降りて、

 

「ごちそうさま。

行ってきます。」

 

軽く手をあげて、

ミホさんは行ってしまった。

 

 

ゴロゴロゴロ……

 

 

ミホさんのトランクの音を聞きながら

振り向くと、

叶美ちゃんは泣いていた。

 

「サングリア、ある?」

絞り出すような声でそう言う。

 

はらはらと

とめどなく涙が流れる。

なぜかは分からない。

だけど涙が流れるということは

自分の中の何かが反応しているということだ。

 

 

空っぽになったサラダとスープのトレーを下げ、

昨日作っておいたサングリアを

グラスに注いで差し出す。

マスカットのジュースに

リンゴとキウイとオレンジを小さく切って入れ、

一晩おいたらできあがり。

簡単だけど、

ジュースに果物の甘みと酸味、

そして爽やかでほんのり甘い香りが加わり、

飲むと気持ちが緩やかにほどける。

 

 

エネルギー論を知ったとて、

頭の中で仕組みを理解したとて、

それがすぐにできるとは限らない。

自分の現在地の観測さえままならない私たちは、

一つステップを進めるたびに、

自分の中の新たな抵抗に気づいて

気の遠くなるような思いになることもある。

”ラスボス”に初めから気付いている人はいない。

この涙はそういう涙なのかもしれない。

 

だけど、

 

叶美ちゃんは動くことができる。

行動できるということは、

望む未来をつかむことができるということだ。

妄想して、

待っているだけのお姫様じゃない。

自分が望む未来を

自分で取りに行くことができるお姫様だ。

にっこり笑って

それを受け取ることができたら、

最強じゃないか。

 

彼女のそんな未来を想像して、

私はまた夢見心地になった。

私もそれでいいのかな。

今朝見た夢の意味も

なんとなく分かるような気がした。

 

☆おしまい☆

 

 

参考書籍『エネルギー論』はこちら

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モデルになってくれた

叶美ちゃん・ミホさんの

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