生検の日。
看護師さんに時間ですよ〜と呼ばれ、手術室へ。
そこには主治医と外科医、そして看護師さん達が居た。当たり前だけど手術着を着ていた。
私は別に手術をするわけではないので、不謹慎だがちょっとワクワクしていた。

外科医 はーい、ではpanさんおやすみなさい☆

外科の先生が私が緊張しないようにと冗談を言って和ませてくれる。

手術室のベッドは意外とフカフカだった。
麻酔が入り、だんだん意識が遠くなり…

オエーッ

突然、機械で喉の奥をかき回されるような感覚で目が覚める。
ああ、私はこの苦しさを知っている。
地獄の気管支鏡検査。

てっきり看護師に「panさん、無事に終わりましたよ照れ」って優しく起してもらえるものかと思っていたのに、まさか気管支鏡の苦しさで目が覚めるとは…。すぐに抜いてくれたけど。

ストレッチャーで病室へ運ばれた。胃がムカムカしてとにかく気持ち悪い。病室では母が待っていてくれた。

母 思ったより時間がかかったけど、無事に終わって良かったね

ベッドに横になってすぐ、嘔吐してしまった。麻酔のせいか、ひたすら気持ちが悪い。会話などしている余裕はない。とにかく背中をさすってほしい。
母はそばに居てくれたけど、正直あまり気が利くタイプではない(出産のときも付き添いをしてくれたのだが陣痛が一番苦しい時に居眠りをしていた)し、この状況であれこれ説明するのも面倒なので、申し訳ないと思いながらも看護師さんを呼んでお願いをした。

看護師さんが忙しいなか優しく背中をさすってくれた上にマクラを使っててきぱきと私のからだを楽な体勢に整えてくれたので、吐き気はだいぶマシになった。さすがプロ!本当にありがたかった。

掛けていたタオルケットがゲロ臭いこときに気付き、少しだけ悲しくなった。吐き気が落ち着いてきたら、今度はあたまが痛くなってきて、少し眠った。

……………


その日は夜になっても気分が悪く、頭痛がひどかった。やっぱり全身麻酔の影響だそうだ。
寝てるうちに終わるし全身麻酔のほうが楽だと思ったら、全然そんなことはなかった。
全身麻酔って、からだへの負担が大きいのね。



23時頃になって、同室に急患が入った。
病室は4人部屋で、私の向かいのベッドが空いていた。

女子高生が肺気胸をおこして、救急車で運ばれて来たらしい。私はベッド周りのカーテンを閉めていたのではじめは状況がよくわからなかったが、苦しそうな咳が聞こえた。

入院準備をしにやって来た看護師さんの話では寮に入っているコだそうで、はじめ学校の先生3名が付き添いをしていて、あとから両親がやってきた。

向かいのベッドに女子高生と、付き添いの大人が5人。その大人たちの会話が大声でうるさいこと!

談話室があるのに女子高生が心配なのか、大人がみんなでベッドの周りを囲んで離れない。

時間は24時近く、消灯時間はとっくに過ぎている。
急患だし、お互いさまだから仕方がない。

けど、外科病棟にはその子のような気胸の人もいれば、肺の術後の人もいる。そして患者のほとんどが癌患者でお年寄りなのだ。

出て行きたくなかったけど、どうしてもトイレに行きたなって、無言でカーテンを開ける。

点滴を引きずり首に大きなガーゼを当てた顔色の悪い女の姿を見て、大人たちはシーンと静かになった。

女子生徒のことが心配すぎて周りが見えなくなったのか。それともみんながカーテン締めて寝ていたから、他に人が居ることに気付かなかったのか。


「病院ではお静かに」

当たり前だけど、マナーってやっぱり大切だよね。