あずみ (2003)
あずみ (2003)
解説
全国2.OOO万人漫画読者を驚愕させた大ヒット漫画『あずみ』。満を持して遂に映画化!
澄んだ瞳の美しき少女「あずみ」が、使命のため、躊躇無く敵の首を斬り落とす。
戦国乱世の末、徳川家康が江戸に幕府を開いたころ。今は亡き豊臣秀吉に従っていた武将たちや戦乱の世を自らのカを頼りに生きた侍たちは、徳川の覇権を否定すべく機会をうかがっていた。だが一方、また戦乱が起これば、罪無き人々の生活も脅かされ、無数の戦災孤児が生まれる。だから、戦(いくさ)を防がなくてはならない。戦いを起こさず、人々が安心して暮らせる日々を作るために、戦の種に繋がる人々を斬らねばならない。と思考を巡らすもの達がいた。
麗しき美少女を襲う過酷な運命。愛するものの死、尊敬すべき人物との対決、戦が無ければ生き続けることができない人々の抹殺……。「あずみ」は、直面する様々な出来事の中で、心の深淵から湧きあがり始める「優しさ」と「過酷な使命」との狭間での凄まじい葛藤に襲われる。悩み、驚き、涙を流しながら、己とも激しく戦う「あずみ」は、一体何を見つけるのだろうか……。
あまりにも鮮烈な殺戮描写と過酷で壮大な内容が漫画読者の心を鷲掴みにした、小山ゆう氏による原作漫画は、1994年の連載開始当初から大絶賛されてきた。8年が経過した今も、数多くの読者の声援に支えられ『ビッグコミックスペリオール』誌上で連載が継続しており、単行本も既刊が27巻。合計で750万部以上販売されている(2002年11月現在)。98年には第1回文化庁メディア芸術祭賞漫画部門で優秀賞と第43回小学館漫画賞のW受賞を果たし、人気の高さ、クオリティの高さ共に、《折り紙つき》の作品である。
この原作に対し、これまで幾人もの映像作家たちが映像化すべく手を上げてきたが、その過激にして気高き世界観、個性的な配役・何よりも壮大なスケールに阻まれ、これまで実現に至ったものはいなかった。
2000年冬・夕張映画祭で、プロデューサー山本又一朗は、スピード感溢れるアクションと凶暴なバイオレンス描写でテンション高い映像作品『VERSUS』を観て衝撃を受ける。その場で、監督・北村龍平と会い、彼なら原作のスピリットを活かしつつ、原作を超える映像世界を創れると確信。『あずみ』の監督として、北村龍平に白羽の矢を立てた。
主演は、これが映画初出演となる上戸彩。人気ドラマ「3年B組金八先生」で性同一性障害の女子中学生・鶴本直役を演じて話題を呼んだ彼女は、北村監督の強い希望で主役に抜擢された。普段は天真爛漫でありながら、存在感があり「あずみ」役には上戸彩しかいない、と北村監督は確信したという。
その上戸彩を囲むキャストがまた贅沢だ。「あずみ」の仲間たちには、成長著しいフレッシュな有望株が顔を揃える。「ごくせん」の成宮寛貴をはじめ、「ちゅらさん」の小橋賢児、『ウォーターボーイズ』(01)の金子貴俊。「あずみ」を狙う刺客にオダギリジョー、そして「身毒丸」他、蜷川幸雄の舞台で活躍する松本実や映画館でおなじみの「デビアス/ダイヤモンドリング」のCM、『突入せよ「あさま山荘事』(02)の榊英雄など、北村組常連の若手個性派俳優達が脇を固める。
一方、ヴェテラン演技陣・俳優陣も物語の要所を締める。「あずみ」の師・爺こと小幡月斎に原田芳雄。最初の標的となる大名・浅野長政に伊武雅刀。「あずみ」らが狙う武将・加藤清正に竹中直人。また、高僧・南光坊天海は佐藤慶が演じる。
これだけのキャストを揃え、「黒澤明監督のような正統派時代劇を作りたい」と北村監督は言う。「世界に向け、日本のチャンバラがどれほどカッコイイか、見せてやりたい」と意欲を燃やす。
日本国内のみならす・世界をも揺るがす大型エンターテイメントが、今、始動する。
あらすじ
日本中が戦乱に明け暮れ、罪無き人々の犠牲も絶えぬ戦国時代。織田信長、豊臣秀吉の出現で、一旦は落ち着きつつあったが、秀吉の死後、天下の覇権を巡って世情は混沌としていった。1600年、1日豊臣家臣の中で優位に立ちたい石田三成は、兵を挙げ、徳川家康軍と対決。世に言う「関ヶ原の合戦」が勃発した口だが、豊臣恩顧の大名たちの協力も十分に得られず、三成は敗退。天下の大勢は決したかに見えた。しかし秀吉の遺児・秀頼が成人の後は、秀頼が天下を治めるべきと考える有力大名も多く、徳川の覇権は決して磐石なものではなかった。またもや人々の生活を蹂躙する戦乱の世がやってくるのだろうか。
戦乱の中で親を失い・孤児となった幼子「あずみ」(上戸彩)は、その素質に目をつけた爺(原田芳雄)に拾われ、仲間と共に、最強の戦士となるべく過酷な修練を積んで育てられた。爺(実の名を小幡月斎)は、徳川家康の側近であり生き仏といわれるほど人々の信頼厚い高僧・南光坊天海(佐藤慶)から「罪無き人々の幸せを奪う惨い戦(むこいいくさ)を終結させるため、反乱を起こそうとする者を事前に抹殺する最強の戦士を育てて欲しい」という密命を受けていた。
10年の歳月が流れ、爺は10人の戦士たちに修練の終了と、今後の使命を宣言する。
使命の前に希望と闘志を燃やす10人の若者たち。だが彼らに残酷な運命が待っていた。爺は言う。「これからの任務は過酷だ。強い精神力で鬼にならなければ果たせない。その精神力の試練のために、この中で最も好きな者とふたり組みになり、それぞれを殺しあえ」
ほのかに想いを寄せていた「なち」(小栗旬)と組んでしまった「あずみ」は驚愕する。だが、使命のため、戦闘に入る仲間たちの中で、二人は逃げ出すこともできなかった。「あずみ」は「なち」を斬る。こうして生き残った「うきは」(成宮寛貴)「ひゅうが」(小橋賢児)「あまぎ」(金子貴俊)「ながら」(石垣佑磨)と共に、「あずみ」は育てられた谷を出て、初めて外界へと旅立ってゆく。
最初の指令は、旧豊臣恩顧の有力大名・浅野長政(伊武雅刀)の暗殺であった。この指令を難なくこなした「あずみ」たちは、同じく秀吉恩顧の有力大名で人望も厚い加藤清正(竹中直人)の暗殺を命じられる。
本国肥後に帰国の途上で襲撃し、清正を討った「あずみ」たちであったが、清正の側近で知略家・井上勘兵衛(北村一輝)の機転で井上勘兵衛は性質(たち)は悪いが腕の立つ佐敷一心(遠藤憲一)、二斎(清水一哉)、三蔵(坂口拓)の三兄弟を招集。「あずみ」たちの掃討を命じる。また配下の忍者・飛猿(松本実) に命じ、虐殺を偏愛する最上美女丸(オダギリジョー)を呼び寄せる。
追うだけでなく、追われるようになった「あずみ」たち。しかし、「あずみ」は、度重なる戦いの中で、あまりに酷い結果を生む自らの使命に疑問を感じ始めてしまう。
「あずみ」たちは、戦乱なき平穏な世を作ることはできるのか。使命は重く、襲い来る敵は手強い。
斬れ!「あずみ」。あしたを創れ!
* 142分
* 製作年 : 2003年
* 製作国 : 日本
* 配給 : 東宝
キャスト・スタッフ
* あずみ-上戸彩
* ひゅうが-小橋賢児
* うきは-成宮寛貴
* あまぎ-金子貴俊
* ながら-石垣佑磨
* ゆら-加藤学
* あわ-鈴木信二
* ひえい-瑛太
* こもろ-山口翔悟
* なち-小栗旬
* 最上美女丸-オダギリジョー
* やえ-岡本綾
* 飛猿-松本実
* 長戸-榊英雄
* 佐敷一心-遠藤憲一
* 佐敷二斎-清水一哉
* 佐敷三蔵-坂口拓
* 襲われる母親-りょう
* 浅野長政-伊武雅刀
* 南光坊天海-佐藤慶
* 井上勘兵衛-北村一輝
* 加藤清正-竹中直人
* 爺(小幡月斎)-原田芳雄
# 監督:北村龍平
# 脚本:水島力也、桐山勲
# 音楽:岩代太郎
●あずみ (映画) - Wikipedia
●あずみ (2003) (youtube連続再生)