教皇庁立国際マリアン・アカデミー(PAMI)75年の歴史 | 教皇庁立国際マリアン・アカデミーPAMI マリア論オンライン講座☆日本語

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聖母の騎士 Sr. 岡 立子による
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教皇庁立国際マリアン・アカデミー(PAMI)75年の歴史

長官ステファノ・チェッキン神父との対話

(ACI Stampa:バチカン、2021年5月24日)

[試訳]

 

教皇庁立国際マリアン・アカデミー(Pontificia Academia Mariana Internationalis: PAMI):マリアに関する研究を促進し、推進するために設立された機関。PAMIは、研究の世界における、また諸文化間の対話におけるマリア論の推進者たちを調整する(コーディネートする)任務をもっている。諸キリスト教間、諸宗教間の対話を促進しながら。

 

ステファノ・チェッキン神父は、自身の中に、マリアの「若々しさ(新鮮さ)」を保っている若い長官である。新しい視点、新しい企画、新しい展望。PAMIの前身は、1946年7月27日、フランシスコ会が、ローマの教皇庁立「アントニアヌム」大学に本拠を置いた「フランシスコ会のマリアに関する委員会(Commissio Marialis Franciscana)」を任命したときに生まれた。最初の長官は、非凡なマリア学者Carlo Balić神父である。

 

その時から多くの年月が経過し、アカデミーは日々、新たにされてきた。最近の出来事は、5月13日である:ローマのMuseo della Civiltà(文明博物館)で、「合法性に関する部門(Dipartimento per la legalità)」、アカデミーの内部で生まれたマリアの姿をマフィアから解放するための機関の報告書が紹介された。

 

Aci Stampaはチェッキン長官に、ロザリオの大切さ、聖母に捧げられた月について、またアカデミーのこれからのイニシアティブについてインタビューを行った。

 

(質問)チェッキン長官、なぜ五月が聖母月と定められたのですか?

 

それは、西方の古代の伝統に遡らなければなりません。特に私たち、つまりイタリア、フランス、スペインの伝統に。

 

いわゆる「騎士道的[宮廷的]愛(amor cortese)」の華麗な時代において、春は生命の始まりとして祝われていました。すべてが新しくなります。この「すべて」の中で、花は根本的に重要です。花の中でも、バラの花は最も豪華です。つねに「騎士道的愛」において―伝統によると―、婚約者たちは、自分の将来の花嫁に、そして聖母に、バラの花を贈りながら誓いを立てました。そうして、五月はバラの花の月、聖母の月となりました。聖母は、詩的な中世において、並外れた貴婦人(dama)、偉大な貴婦人でした。このようにして、並外れた貴婦人であるマリアに捧げられた五月の伝統が生まれました。

 

(質問)現代に目を向けてみます。終わろうとしているこの月、コロナ・パンデミックの終息のために、世界のさまざまな巡礼地でロザリオの祈りが唱えられました。この重要なイニシアティブについてどう思いますか?

 

教皇フランシスコは、教会の長い歴史を辿っています。例えば、すでにヨハネ・パウロ二世は、さまざまな聖母巡礼地でのロザリオの祈りの概念を制定しました。私たちカトリック信徒は、マリアのマントの下での深い交わりの感覚をもっています。教皇フランシスコのイニシアティブは、この伝統の道を辿っています。私たちの歴史の、このように困難なときに、私たちのお母さんに、勇気と希望を与えてくださるよう助けを求めるのです。ロザリオの祈りは、私たちの恐れや不安を、おとめマリアに委ねるための、最もふさわしい道具です。ですから、この難しいときに、お母さんであるマリアにまなざしを向けるのは、まったく自然なことです。

 

(質問)個人的な質問です。神父さまの聖母崇敬はどのように生まれたのですか?

 

私たちの大部分にとってそうであるように、家庭の中で生まれました。正確にどのように生まれたかは覚えていません。けれど記憶の中に、私の叔母が聖母を崇敬していたことが残っています。そして私にとって本質的だったのは、生まれた地、Galleria Venetaの近く、Monte Bericoの聖母の存在でした。とりわけ、私の奉献生活への召命の始めに、本質的にマリア的な修道会に属したいという強い望みがありました。最初はカルメル会を考えました。けれどその後、フランシスコ会の修道服を着て、自分の居場所を見つけました。フランシスコ会は、本質的に、その始まりから、最もマリアに近いと考えることが出来るでしょう。私たちはみな、聖フランシスコがマリアに深く結びついていたことを知っています。

 

(質問)今日の世界は、どのくらいマリアを必要としているでしょうか?

 

私たちは、教皇庁立の国際マリアン・アカデミーとして、「フラテッリ・トゥッティ」や「ラウダート・シ」(教皇フランシスコの回勅)におけるように、マリアの姿が、全世界にとって、真のパラダイム(規範:paradigma)、普遍的母性(maternità universale)の範型であることを、ますます認識しています。すべての子供は母親を必要としています。そして、すべての母親は、つねに自分の子らを一つに集めることを知っています。この一致を、私たちは必要としています。現代世界が私たちに提案しようとしている、壁でも囲いでもなく。マリアは、この上なく出会いの場です。そして現代の人間は、この出会いを必要としています!

 

(質問)アカデミーの最近の活動は何でしたか。また、将来の任務は何ですか?

 

この月、私たちは「犯罪・マフィアに関する現象の分析、研究、監視を行う部門(Dipartimento di analisi, studio e monitoraggio dei fenomeni criminali e mafiosi)」の作業を、円卓会議、ウェビナー、出版物を通して強化しました。もっとも最近の行事は、5月13日、ローマのPalazzo dei Congressiで、バチカン市国の裁判所長(il presidente del Tribunale)、Giuseppe Pignatone氏の参列のもとで。この機会に私たちは、先の5月11日、大統領Sergio Mattarella氏に提出した、部門の最初の報告書を紹介しました。Mattarella氏は、さらに、教皇庁立国際マリアン・アカデミーの名誉会員に任命されました。今、私たちのまなざしは、この九月に開催される、第25回国際会議に向けられています。会議のテーマは、「今日の諸神学と諸文化の中でのマリア。範型、伝達、展望(Maria tra teologie e culture oggi. Modelli, comunicazioni, prospettive)」です。