ルンルン和食器に魅せられてルンルン  ②

スプーンフォーク「鉢」に見る食文化

江戸時代徳川の権力が安泰し、この時代あらゆる文化が繁栄しました。焼き物を作る陶工達は技術も習得し青磁、白磁、染め付け、赤絵も作られるようになってきます。日本独自の美しい色絵磁器も生まれ、日本の焼き物は多彩的になり技術的にも確立した時期と言えます。「鉢」はその大きさによって大鉢(五寸約15㎝を超える鉢)・中鉢(四寸約12㎝~五寸約15㎝の鉢)・小鉢(四寸約12㎝以下の鉢)と大別されます。さまざまな思いが詰った江戸時代の食器をお届けします。

 

 

懐かしの品  サラダ 正岡屋の「食器鉢」

 

 

①色絵大鉢  直径22㎝ 高さ9㎝

一般的な鉢は、皿よりも高さがあり、椀よりも低い器を指します。一言で「鉢」というと背の高い植木鉢などを連想する方もいると思いますが、食器として使われる鉢は皿と椀の中間ほどの高さで、大量の食材を盛り付ける用途に使われます。

 

 

りんご器の横側

江戸時代伊万里色絵磁器は貴重な食器で、色々な料理を盛り付けることができます。

 

 

ぶどう器の裏

お茶碗より大振りで煮物を入れたり一品を入れたり便利な大きさです。高台内側には「富貴長春」の銘款が書かれています。これは初期伊万里や古伊万里焼は中国の磁器を手本に作られ、目出度い縁起の良い熟語で、陶磁器の裏印に使われていました。

 

 

 

②染付大鉢  直径21㎝ 高さ10㎝

深鉢は中身がこぼれにくい構造で、おかずの盛り鉢に使える大きなボールです。江戸から昭和の中頃までは、冠婚葬祭は自宅でお客様をお呼びして執り行われていましたので、たくさんの食材を入れる鉢が必要でした。高台(底につく台の部分)が高く模様があります。

 

 

りんご器の横側

色々な形の和食器を目にしますが、何に使うのかわからないものもありませんか?大鉢を「盛り込み鉢」とも呼ばれ主菜や取り分け用の料理、汁気のある料理を盛りつけるのに使います。

 

 

ぶどう器の裏

鉢の裏に「正岡屋」が買った日付(寅十月吉日)の文字が残っています。綺麗な模様と手触りで人気も高く、さらに頑丈であることから「見る」楽しさだけでなく「使う」という点からも重宝されてきました。

 

 

 

③色絵深鉢  直径18、5㎝ 高さ10㎝

江戸時代、伊万里色絵磁器は、自宅でおもてなしをする機会が多く必需品でした。貴重な磁器が割れたりカケたりしたものを補修する方法のひとつで「焼き継ぎ師(焼継屋)」と呼ばれる職人がいて、江戸時代に広まりました。深鉢を上から見ても、割れたところがわかりません。

 

 

りんご器の横側

割れた瀬戸物を再生する。初期には漆などを使ったが後、白玉粉(釉薬にも使われている鉛ガラスの粉末)を糊で練った接着剤で焼き接いだ、焼継屋さんが、家々に、時々回ってきて直してもらいました。高台が高く櫛の歯に似た模様が書かれています。手抜きすることなく作られていますから割れてなければ芸術性が高いかも

 

 

 

④色絵深鉢  直径18,5㎝ 高さ8㎝

金魚・藻・花と寿と言うお目出度い文字が書かれていて色絵がとても綺麗な鉢です。古くから焼き物作りが行われてきた日本!焼き物は日本が世界に誇れる文化の一つだと思いませんか?自宅に集まり、料理が盛り付けられ、大勢で宴会や祭りに色々な食器が大活躍します。

 

 

りんご器の横側

波にカモメが飛んでいる絵が描かれています。この鉢の中に、二品や三品の食材を盛り合わせて豪華な料理を、お客様にお出しします。趣向を凝らして作られた最適な鉢で食事を楽しむことができます。

 

 

 

⑤染付中鉢  直径15㎝ 高さ8㎝

スープ、サラダ、デザートの盛り付けと、朝昼晩問わず使うことが多い中鉢。洋食、和食問わず使えてとても万能で美しい食器です。

 

 

りんご器の横側

素敵な花模様(三方に描かれています)と高い高台。いっさい手抜きすることなく作られています。

 

 

 

⑥染付中鉢  直径14㎝ 高さ8㎝

鳥(つる&さぎ)が優雅に飛んでいます。煮物の盛り付け、丼などに使います。細かい線描きで、緻密な模様が描かれています。

 

 

りんご器の横側

鳥が三方に描かれています。江戸時代の人々も、その時々で手にできる多様な食器を楽しんでいたのではないでしょうか。

 

 

 

⑦染付中鉢  直径14㎝ 高さ7㎝

現在も、和え物や酢の物など副菜、鍋料理の取り鉢としても使用しています。藍色がきれいです。又、デザートの盛り付けにもいかがですか?花鳥図

 

 

りんご器の横側

普段の食卓にも手軽にお使いいただけます。毎日の食卓に欠かせない食器。全国各地に様々な陶磁器の産地が点在しています。江戸時代に、柿右衛門・伊万里焼・鍋島焼・九谷焼など日本独自の美しい磁器が生まれました。

 

 

 

⑧染付小鉢・蕎麦猪口(ぞばちょこ)  直径8㎝ 高さ6,5㎝

もともと小鉢だった「蕎麦猪口」昔は「ちょこ」や「ちょく」と呼ばれていて、蕎麦がくっついて「そばちょこ」になったのは江戸時代に町人の間で蕎麦屋が大流行し、そこで蕎麦のツユ入れとして使っていたためと言われています。

 

 

 

⑨染付小鉢・蕎麦猪口の焼継ぎ  直径8㎝ 高さ6,5㎝

日頃から使用頻度が高い器なので、やっぱりどうしても割れたり、傷ついたりしてしまいます。それが割れるのは、もったいない時代でした。だから、できるだけ直して修理して焼き継ぎをして大切に使っていました。明治中期以降は、転写技術が発達し、日常使いの皿として数多く出回り始めました。

 

 

りんご蕎麦猪口の横側からみた焼継ぎ

蕎麦猪口は、もう300年近く前に作られた器。だけど一つ一つ手作りで、色の濃淡や絵柄が一つ一つ微妙に違うので楽しめます。

 

 

 

⑩蕎麦猪口  直径8㎝ 高さ6㎝

古伊万里の磁器。絵柄は、あらゆる食器の中で、他とは比較にならない程バラエティーに富んでいます。動物・植物・風景・人物・天体そして幾何学模様など数多く存在しています。

 

 

 

⑪蕎麦猪口  直径8㎝ 高さ6㎝

作られた年代は、裏を返して底を見れば、ある程度の年代を推測することができると言います。この蕎麦猪口は、江戸後期の物で特徴は、蛇の目高台と言われる裏面の中心部分にだけ釉薬が入っています。

 

 


⑫蕎麦猪口  直径8㎝ 高さ6㎝

白い磁器に藍色で色々な絵柄が描かれた磁器。蕎麦猪口も古伊万里焼の一つです。手の平にしっくり馴染み、安定感があります。女性が上品な音を立てて蕎麦をすするには、よいサイズかもしれません。現在、アンティーク蕎麦猪口を、買い求める男性のフアンが多くいるようです。お酒やコーヒーを飲むのに適しているサイズだと、お聞きしました。

 

 

 

⑬蕎麦猪口の見込み文様(中の絵)

蕎麦猪口をのぞき込むと見える、器の底に描かれているかわいらしい模様が見えると思います。紋章草花・昆虫・動物など見込み文様にも数多くの絵柄があります。文様から紐解く日本の美、向かって左側の文様は寿字花だそうです。

 

 

 

 

 

日本国旗結婚式場や葬儀場がなかった昭和の中頃までは、自宅で冠婚葬祭が執り行われていました。又、お正月・お祭り・長寿祝いお祝い等も、現在のように会場やそれを行う場所やお店がなかったので、自宅に親戚・友人達をお呼びして、食事などを開催するならわしがありました。正岡屋に残されている、江戸時代から、自宅で行う食事会に使用していた食器を通して、この時代に作られた磁器の、おおらかな絵柄・絵付け等を見て、陶工・焼物師の高い技術がうかがえると思います。昔の焼き物は味わいがありますビックリマーク拍手保存だけでなく、色々な世代の人達に、地域の遺産の発信を行い、その時代の生活状況や様子などを、垣間見て頂ければと思っています。ルンルンルンルンルンルン

 

 

イチョウ紅葉イチョウ紅葉イチョウ紅葉イチョウ紅葉イチョウ紅葉イチョウ紅葉イチョウ紅葉イチョウ紅葉イチョウ紅葉イチョウ紅葉