日本国旗 日本古武道筋肉  ①

良移心當(当)流和(りょういしんとうりゅうやわら)

古武道は、自らの身を守る護身の術として誕生し、江戸期に入ると、武士の心身鍛錬、人間修行の「文武両道」の道として、全国各藩において独自の発展を遂げ、体系化されました。剣術・居合術・抜刀術・柔術をはじめとする様々な武術に分類され、その種類は多種多様です。『姿三四郎』の本の中に、三四郎の宿命のライバルとして壮絶な死闘を繰り広げる檜垣源之助<ひがきげんのすけ>の流派が、この良移心當(当)流です。和=柔

 

 

<武士作法>   富士山   江戸時代を武術で生き抜く

 

 

 

①良移心當(当)流伝授巻

良移心當とは、常に良いものを移す心で当たるとの意であり、孔子曰く、やる熱情が外に表われなければ伝えない。教えたことを表現したり、それを口で表現できなければ、教えることができない。日々反省し、常に、研究と工夫を凝らすことにより免状を与える。良移心当流の祖は福野七郎右衛門  この巻物の伝承者は四国大洲藩の簑島太兵衛  門弟(門下生)は大洲藩の成尾榮助殿 文政七年十二月

 

 

 

 

②良移心當(当)流序巻物

序とは物事の始まり(まえがき)で、江戸時代の巻物は印刷ではなく人が書いたものです。良移心當(当)流伝承内容→和(柔)とは常にその時の状況に応じて剛柔二者、陰陽を転換して対処するのが勝に通ずる道であると書かれています。その精神は、陰陽和合の原則に従順で力のだしかたは、水のように柔らかく、柳の枝のように「外柔内剛」となるのが最も良い方法であると説いています。危険な技(泌事)もあるので、みだりにつかわないようにつつしんで成すこと。

 

 

 

 

③神當和目録(しんとうやわらもくろく)序巻物

武芸を門弟に伝授し、その名目を書いて門弟に与えた巻物です。五つの心持がたいせつで、組み合わせとは互いに組み付いて争うときに行われる際の一定の順序です。例えば「大腰」は右手で受け後ろ腰を抱え、腰に載せてなげる。自分の腰に相手を乗せ一気に投げる技など手書きで書いています。

 

 

 

④秘傅組合次第(ひでんくみあわせしだい)巻物

秘密にして特別な人にだけ伝授する武道の巻物。「秘伝を授ける奥義」最も奥深い大切な事柄を書いています。一子相伝秘伝書。良移心当流は甲冑を着用した状態の格闘技で、鎧組打が中心の流派です。

 

 

 

⑤陳元贇(ちんげんぴん・ちんげんいん)とは

∴神当柔元祖大明国陳元贇(1587~1671) 慶長年中来朝 中国拳法を日本に伝えたのは、近世初期、日本に渡来した明(みん)の人、陳元贇であると書かれています。彼は日本の武芸者である福野七郎右衛門らに中国で見聞きした中国拳法を語ったと言われ、日本の柔術に大きな影響を与えたと伝えられています。良移心當流(福野流)は、呼吸法の研究による気の技法が考案され、流儀として完成度を高めていきました。

 

 

 

⑥自分の属している流派で良移心當和(柔)メンバー

福野七郎右衛門 重直流祖(巻物名)→阿野一入斉 俊正→簑島太兵衛 正直→簑島彦之丞 札政(さねまさ)→生駒喜兵衛 宗忠→簑島太兵衛 宜睦(のぶちか)→簑島太兵衛 正利→下井沢右衛門 政孝→簑島太兵衛 正近→大塚六良右衛門        

本伝書には四国伊予大洲藩の藩士の名前が記されています。

 

 

 

四国大洲藩古式泳法→大洲神伝流泳法(主馬神伝流)

四国伊予大洲藩の主馬新伝流(しゅめしんでんりゅう)は第2世 岡如柳斉吉英(おかじょりゅうさいよしひで)によって更に組織化されたと伝えられていますが、第3世 簑島太兵衛正直、第4世 簑島彦之丞札政、第5世 簑島太兵衛宜睦、第6世 簑島太兵衛正利、第7世 簑島太兵衛正近、第8世 簑島太兵衛正意(まさもと)と明治維新まで約240年の間代々簑島家(みのしまけ)によって継承されています。その後正利の弟、祐根(ゆうこん)が松山藩士伊藤家の養子となったことにより神伝流の中心は大洲藩から次第に松山藩に移りました。簑島家の本業は鷹匠だったそうです。簑島家は良移心當流と大洲神伝流泳法の伝承者になっています。甲冑や武具をもって泳いでる古式泳法。江戸から明治にかけて、各藩はこぞって武道・武術等に力を入れていました。画像はおかりいたしました。

 

 

 

⑦良移心當流和免許皆伝書

四国伊予大洲藩の伝承者:簑島太兵衛正近(みのしまたひょうえまさちか)殿から門弟:成尾榮助殿に与えた免状(伝授書)巻物です。流派の多くは、門弟〈門下生)の、技術の進歩や人格などを総合判断して、段階に応じた免状(伝授書)を発行することで、流派伝承をおこなっていました。武術の伝書にはいくつかの形態がありますが、いわゆる免許皆伝書は、江戸期には巻物(伝授巻)で行う。これが一番多く見うけられます。

 

 

 

⑧花押・落款入り

花押は公家や武家などが発行した文章の最後に書いたサインのことです。現在でも総理大臣は花押を持っており、内閣府のホームページなどで閲覧可能です。落款印は作品が完成したり免許皆伝したことを示すために捺す印で、趣味の印鑑として使用されています。篆刻体は経験豊かで確かな技術を持って彫らなければ、ささいな間違いが起こります。この花押と落款は大洲藩 簑島太兵衛正近殿のおしるしです。

 

 

 

 

⑨血脉図(けちみゃくず)

武術伝授巻の最後に書かれている歴代相伝者の系図、これを「血脉図」ともいいます。これは血族の血と同じように、武術の場合の、師弟関係は、親子の関係よりも濃いという。師からすべての技芸を授かった者(免許皆伝)は、血のつながりと同じで赤い線につながれているという意味で、歴代相伝者の系図を血脉図という所以である。けつみゃくという読み方でも間違いはないものの、仏教では「けちみゃく」とされることが多いとのこと。

 

 

 

 

 

日本国旗この秘伝書は、昭和の中頃に親戚から、自分の家に武道の跡継ぎがいなくなり伝承することができなくなった。しかし自身では武術の巻物を処分することができないので、心苦しいが後は任せるから貰ってほしいといわれ、父に託された巻物です。明治維新によって、日本は近代国家への道を歩み始め、武士と刀の時代は終焉。それによって日本の貴重で膨大な古武術を失った近代日本の歴史があります。1979年(昭和54年)に、古武道の保存と振興を目的にかかげて「日本古武道協会」が発足しています。手

 

 

 

 

 

なお、古文書解読は堀井恭二先生。花押・落款については山内譲先生に教えていただき深く感謝申し上げます。現在、正岡屋に残されている江戸時代古武道の巻物ですが、文字の読み違いや説明文に誤りがある場合もございます。

 

 

     

   予防  予防  立ち上がる  歩く  ハイハイ  立ち上がる  歩く  ハイハイ  予防  予防