日本の生活道具・風呂敷
明治~昭和 人々の生活に必要な存在!
起源は定かではありませんが、正倉院の所蔵物にそれらしきものがあり、古くは衣包(ころもつつみ)、平包(ひらつつみ)と呼ばれていたそうです。室町時代になって、大名が風呂に入る際に平包を広げそのうえで脱衣などして、服を包んだなどの説があります。江戸時代に入り、庶民の社交場「銭湯」が広まり、銭湯で脱いだ衣類を包んだり、その上で着替えるのに風呂敷が用いられ、その頃から一般に定着してきたと考えられます。そして風呂のみでなく、商いの中で発展していきます。
懐かしの品 変幻自在に包むことができる
①中幅(ちゅうはば)サイズ 約45㎝ 幅=巾
このサイズは1枚持っていると絶対便利なサイズです。正絹ちりめんのものは、小風呂敷と呼ばれふくさ替わりに用い、のし袋を包みます。紫色の小風呂敷は慶弔両方に使えます。金封包み、お弁当包み、ティシュ包みなどに使用します。
②中幅(小風呂敷き)の包み方
お稽古やお礼などののし袋を包む時は、自分の好みの風呂敷でどうぞ!この茶色の小風呂敷は、嫁ぐ時に実家から持ってきたもので「女紋」です。
③二幅(ふたはば)サイズ 約68㎝
昭和40年頃にはナイロン風呂敷(いわゆるぼかし染めを中心に)が引き出物などを包むのに普及し大量生産するようになりました。風呂敷にはミシン目の辺とミミの辺があります。これは風呂敷が正方形では無いため、キレイに包むには大事なポイントです。ミシン目が上下でミミが左右。ミミに当たる縦の辺は約3㎝ほど長くなっているため伸縮作用が働き、結びやすくなるのです。
④二幅サイズの三段重箱の包み
江戸時代から花見や物見遊山が大衆化したことで、風呂敷を使う機会が増えていきます。昭和の後半までは風呂敷で、ものを運んでいました。世界各地に風呂敷のような使い方をする布はありますが、日本の風呂敷は、物を包むための布で、木綿や絹、化繊にいたるまで色々な生地で作られています。
⑤二幅サイズの菓子折り包
二幅は最も一般的なサイズです。正絹は、ご挨拶にお伺いする時、菓子折りなどを包みます。レーヨンは、ギフトラッピングに最適です。菓子折り、ワイン1本が包めます。
⑥二幅サイズの記念品にもらった風呂敷
風呂敷が大量生産されるようになると、企業や団体などの記念品として商標や屋号を染め抜いたものが登場し、宣伝を兼ねるようになりました。そして昭和45年頃風呂敷の生産がピークを迎えます。㊤松山 小倉呉服店 電話134盤 ㊥昭和3年12月芸備銀行郡中支店開設の記念品 昭和25年8月芸備銀行の行名が廣島銀行に変更 ㊦松山 小立呉服店 電話②3038番
⑦二四幅(にしはば)サイズ 90㎝
綿素材を中心に、化合繊(広幅織物)の紬調のものが作られています。一升びん1本、ワイン2本を包むのに最適です。昭和37年12月 長浜町漁業協同組合の合併記念に関係者に配られました。下に敷いている風呂敷も二四幅サイズです。
⑧三幅(みはば)サイズ 105㎝
主に衣類などの収納に使います。また、パソコンや鏡台などのホコリよけとしてかけておいてもステキです。大きな荷物の運搬にも便利です。伝統的な柄や新感覚の柄まで綿素材のものが多く出回っています。
⑨四幅(よはば)サイズ 130㎝
風呂敷は小さなものでは45㎝から大きなものでは布団も包める七幅(238㎝)まで、様々な大きさがあります。包むものの大きさや用途に合わせて使い分けることができます。四幅から綿素材で作られます。引っ越しの際には荷物の運搬に使えます。座布団2客から4客まで包めます。
⑩四幅サイズ座布団包
鞄などに比べ、包むものの大小・形状にとらわれることなくつつむことができ、包むものがないときには、畳んでかなり小さくすることができて、軽量です。この風呂敷は昭和45年10月 株式会社 日立製作所 創業60周年記念に配られました。
⑪四幅(よはば)サイズ 145㎝
風呂敷の幅、つまり横の長さを基本としています。一幅を45㎝として、倍の68㎝を二幅と言います。この要領で45㎝から230㎝の七幅まであります。、綿素材は丈夫でしっかり結べるため、大切な荷物の運搬などに使用できます。四幅は130サイズですがこの風呂敷は145㎝で座布団4客包むことができます。
⑫四幅サイズ座布団包
明治以降は広く庶民にも普及し結納などハレの日の場面では風呂敷が必需品となりました。また、商売では呉服店は反物を包み、小間物屋は化粧小物を貸本屋は本を包んで商いに出かけました。学校に通う学生は教科書や道具を包んで登校したりと、日常生活にはなくてはならない存在でした。
⑬五幅(いつはば)サイズ 180㎝
大きな額などの運搬に重宝なサイズです。炬燵の上掛けやタペストリー収納にも使えます。座布団が5~6客包めます。この風呂敷は登録商標 江戸桜 高級京花紙は取引先からもらったものです。現在、正岡屋には五幅以上の風呂敷は残っておりません。
⑭五幅サイズの座布団包
物を包むために用いる正方形に近い形の布。かってはどこの家にもあった風呂敷ですが、日本にスパーマーケットが登場した昭和の中期以降、暮らしの表舞台から姿を消していきます。その理由は、レジで紙袋やビニール袋が無料で手渡されたため、それまで買い物の際に使われていた「風呂敷」の必要性が薄れてしまったからです。
ところが現在、環境省によると、日本で年間使われているレジ袋は約300億枚と発表され、海などへの環境汚染が心配されています。買い物やその他色々「風呂敷・バック等」を使用することによって、個人レベルで二酸化炭素(CO2)やゴミの削減をすることができ、ひいては地球温暖化防止に貢献することにつながると近年言われています。愛媛の大型スーパーにエコバック(風呂敷・バック等)を持参して商品を買うと一回に付き2円のエコ割引やカードにポイントが付く店が増えてきています。