友達の家に着くと仲間がすでに4人集まっていた。
12時から14時に来いとのことだったが、これがまた難しい。
なぜなら、フランスでは集合時間など守られた試しがない。
ロシアのプーチン大統領は遅刻の常習犯であるが、フランスのマクロン大統領も遅刻魔として有名である。
こちらの世界では時間を厳守することよりも、内容の方が重要なのだ。
そのうえ、今回のホストはマルセイユ出身の友人なので、気をつけなければいけない。
私は、未だ南仏に足を踏み入れたことはないが、南仏の人間はとりわけ時間にルーズな印象がある。
かつて、彼から19時からソワレを始めるからと言われ、彼の自宅に行くとほとんど誰もいなく、結局ソワレが始まったのは22時ごろだったし、
南仏の人間とレストランに行くと、たいてい1時間ほど遅れてやってくるので大変だった。
それでも、そんな文化にすっかり慣れきってしまった。
フランス人と言えども、出身地域によって各人の個性は全く異なる。これがフランスの面白いところで、日本人以上に県民色豊だと思っている。
きっと、フランス版県民ショーを製作すると、高視聴率間違いない。
エマニュエル・トッド氏は家族構成の違いでフランスの各地方を分類しているが、各地方出身の友人を想像しながら、彼の著作を読むと妙にしっくりきて、今ではトッドさんのファンの一人になっている。
さて、マルセイユ出身の友人はキッチンでクスクスの準備に勤しんでいた。
クスクスは北アフリカの伝統料理であるが、パリにもたくさんのレストランがある。
私も最近、クスクスにはまっていた。なぜなら、クスクスでじっくり煮込まれた野菜やお肉を食べると、妙に日本のおふくろの味を思い出すのだ。日本の味噌汁や煮物、おでんと言った家庭料理を思い出す。
だから、最近日本料理が恋しくなると、日本人街のレストランには行かず、クスクスを食べに出かけていた。
自分でも何故だろうと気づかなかったが、たぶんクスクスが真の家庭料理であるからだと思う。北アフリカ・マグレブ地域のお母さんたちは
家族を喜ばそうと愛情を込めて野菜やお肉をグツグツ煮込んでいたはずで、だからこそ、そこに日本の家庭料理を思い浮かべたのだと思う。
そのことを、モロッコの友人に話すと『Exactement その通りだよ』と答えてくれた。
クスクスで煮込まれる、野菜や鶏肉、子羊肉は本当に美味い。
マルセイユ出身の友人も、私たちを喜ばそうとグツグツ、野菜やお肉を煮込んでいたのだった。
つづく