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 修論研究も、その第一歩は、基本「読んで学ぶ」ことである。自分のテーマに関連する理論や先行研究を読み込む。でも、関連する理論は何で、いくつあるのか、まずそれがわからない(というか、最初のうちは自分が何をテーマにしたいかも、実はぼんやりしている)。とりあえずおおよそのあたりをつけて、その領域を探っていくしかない。

 ところが、ここで「これさえ読めば、すべてがわかる!」的な教科書は、存在しない。大体、心理学と一口に言っても、その分野は、社会心理学・発達心理学etc、.細かく分ければ40個以上。それぞれに特化したHandbookなるものは、いずれも分厚い1万円コースである(英語だし)。皆様の税金のおかげ様で成り立つ国立大学図書館があるので、金銭面はさておき、そんなモノを熟読しているヒマはない。さらっと目を通してキーワードを拾い、検索しながら関連しそうな論文を見つけていくしかない。
 最初のうち、親切なゼミの先生は、一緒にキーワードを考えて検索してくれちゃったりした。ラッキー。しかもGoogle Scholarその他のオンラインツールのおかげで、論文検索はものすごーくラクになった(昔は、国会図書館に行って検索カードを1枚ずつ見たらしい)。キーワードをちょこちょこっと入れると、「関連する」理論を扱った論文がばばっと出てくる。
 

 そこで出てきた論文の数、16,000…
 「あ、これじゃあ多すぎますね」
 あったりまえだろーがっっ!!!
 さらに絞り込んで、期間も限定させる。結果、200。
 「200か。んー、ちょっと多いけど、まあどうにかなるか。来週までにアブスト(Abstract)、目を通して使えそうなもの見繕ってみてください。」。
  

 別のゼミでは、週に100本読めと言われたそうだから、まあ、たしかに「ちょっと多い」けど、ふつー、かなぁ。。。

 ともあれ、読むべき論文は絞られてくる。読んでみる。「論文の読み方」のコツは、それこそ教科書やネットに出ているので、お経のように最初から一文字ずつ辿っていく必要はない。
それでもわからない。ゼミの先生に、白旗を上げる。
 「わからないんですけど」
 「論文のどの部分がわからないか、具体的に示してくれたら、一緒に読み解きましょう」
 「…。はぁ…」
 

 いや、ですから、何がわからないかもわからないくらい、ちんぷんかんぷんなんですけど。これって、英語だからってわけじゃないよね。仕方ないので、わからないけどとりあえずそのままにして、次の論文を読んでみる。
 (実は、この「とりあえずそのままにして」という安直な姿勢が、修論提出締切8日前という、おっそろしーギリギリなタイミングでの、ものすごーいミスにつながる。別途、懺悔ブログ書きます。乞うご期待)

 でも、こうやって1つずつ芋づる式に論文を読み進めていっても、コーポレートファイナンス上・下が明確に示してくれるような「全体像」は見えてこない。ちょっと見えてきたかな、と思っても、さらなる拡がり、さらなる深みがある。学問は、無限なのである。
 だから、いつまでたっても「できる」「わかる」という感覚など、掴めるはずもないのである。ましてやド素人、事前知識ゼロで見知らぬ分野に飛び込んだ身にとっては。

 これが、修論タイヘンポイントのその1である。