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シェフ見習い中!新作カヌレ、自信作ができました!

《とあるレストランにて》
シェフ「ああ、君の友達が誕生日のディナーの予約を入れてくれたらしいじゃないか」
見習い「はい、そうなんです。
わたしはまだまだ職人二軍の見習い中だから何も特別なおもてなしはできないと言ったのですが、それでも様子を見たいと言って予約してくれました」
シェフ「君の友達というと、車転がしてたって頃の?」
見習い「あ、はあ、そうです。
あ、でも、今は真面目にやってるはずですのでお店にご迷惑を掛けることはないと思います。
いつも歯に衣着せぬ物言いでハラハラするんですけどいい友です」
シェフ「…うん、これはなかなかいい事案だな」
見習い「なんでしょうか?」
シェフ「君、その時バースデーサプライズデザートやってみるかい?
店からのサービスのひと品だよ」
見習い「え、いいんですか? 是非是非やりたいです。
遠慮のないヤツですから美味しくなかったら色々言われそうですけど」
シェフ「それもいいじゃないか、酷評を受けないように頑張ればいい。
調理師学校ではカヌレに力を入れていたと言ってたね。

何か新しい創作カヌレを友達に食べてもらうといい」
見習い「ありがとうございます!」
《ある日の営業終了後、厨房で》
シェフ「どうだ? 新作カヌレは進んでるか?」
見習い「はい、毎晩試作に試作を重ねています。
閉店後のキッチンを使わせていただいてありがとうございます」
シェフ「随分念入りに取り組んでいるようだな。
まあ大切な友達の誕生日スイーツだ、念も入るわな、頑張れよ」
シェフ「はい、どこにも無いカヌレができると思います」
《バースデーディナー当日》
シェフ「さあ、食事も終わった。
いよいよサプライズデザートを出す番だ。
客席を暗くしたぞ、花火に火をつけて。
ウェイターに付いてって。
転ばないようにな」
見習い「はい」
《テーブルにて》
見習い「大切な記念の日のディナーに当店をお選びいただきまして誠にありがとうございます。
ささやかながらわたくしどもよりお祝いのスイーツをご用意いたしました」
友人「マジか!!すげえな!」
見習い「こちらは私のオリジナルのカヌレでございます。
スイーツというより漬物のような懐かしい味を目指しました。
特製クリームと共にお召し上がりください」
友人「ワハハハ、おまえ気取ってんな、美味くなかったら帰りに煽ってやっからな!
ん? なんだこれ??
なんつーか、うーん、
そう!糠くさい!
糠くさいぞ、これ!
このクリームの方はニンニクの味がするぞ。
おれ、嫌いだからニンニクはよしてねって言ってたはずだぞ!」
見習い「え?聞いてないぞ。
あ、いえ失礼いたしました。
何か行き違いがございましたようで認識しておりませんでした」
友人「いや、店には言ってねえけどさ、認識も何も昔っからラーメン屋でもどこでも『ニンニクはよして』って言ってたじゃねえか!
こりゃ煽り決定だな。
帰りは覚えとけよ!ワハハハ!
他は美味かったけどな」
《翌日》
シェフ「昨日あの後どうなった?」
見習い「昨夜友人はわたしが帰路に就くのを店の前に停めた車の中でじっと待っていて、私が車を出すとすぐ後ろにビタッと付けてきました。
そして私の車にパッシングの嵐を浴びせた後に横付けして並走し、窓を開けて
『職人二軍の糠くさい失敗作カヌレなんか食わすな!』
と叫び、クラクションを鳴らしまくった後で、
『ニンニクよしてって言ったし!』
と怒鳴っていました。」
シェフ「大丈夫だったのか?危害は?
すべてを任せて禄にチェックしなかったわたしも悪かった、責任を感じているよ」
見習い「いえ、大丈夫です。
むしろ私のほうがハンドル操作を誤らないように笑いをこらえるのに必死でした。
ああいうヤツなんです。ただのおふざけです。
車を置いてから2人で飲みに行って
『未体験のカヌレだったぞ、今後も二度とあんなのは食べることないだろうな。人生得した気分だ』
って言ってくれましたから」
シェフ「陽気な友達だね。
しかしまあ、味、悪かったもんね、煽りも仕方ないかもね」
念も入るわ、事案良し。
暗くした、付いてって。
「職人二軍失敗作カヌレ、糠くさい」
パッシング。
「ニンニクよしてって言ったし」
クラクション。
味悪いもんね。
(ネンモイルワジアンヨシクラクシタツイテツテシヨクニンニグンシツパイサクカヌレヌカクサイパツシングニンニクヨシテツテイツタシクラクシヨンアジワルイモンネ)
🌀🌀🌀
糠臭いカヌレ、いかがですか?
健康志向に乗じて人気出ませんかね?
あ、糠が入ってるけど糠臭くないカヌレじゃないときっとだめですね。
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