回文ショートショートオリジナル回文をショートショートとともにお送りします
夜のアニキは浮いてんな
A「あのよぉ、俺最近気づいたんだけどアニキって、もう既にイッてんな」
B「おいおい、あんないいアニキ捕まえて『イッてんな』はないだろ」
A「あ、いやいや違う違う、イカれてるとか、そういう意味じゃねえよ」
B「じゃあなんだ?」
A「あのさ、アニキってとにかく品行方正だろ」
B「ああ」
A「ところが俺、あそこの倉庫の裏で、見ちゃったんだよ。
アニキがタイヤ焼いてんのを」
B「まさか、それはいくらなんでも無いよ、信じない」
A「そうだろ、信じられねえさ。
俺なんかこの目で見たのに信じられなくってよ、次の日にその場所に確かめに行ったんだ。
いろんな状況から、見たのは確かなんだぜ。
見たの俺だけじゃねえし。
それなのになんと次の日には焼いたタイヤの痕跡がどこにもねえんだよ」
B「じゃあやっぱり何かの間違いなんじゃないの?夢?」
A「絶対、夢じゃねえよ。
狐につままれたようだってこういうことか?って。
それでいろいろ考えてみたんだ。
で、わかったよ」
B「何が?」
A「アニキって2年前に突然俺たちの前から姿を消しただろ?
それでつい最近ふらりと戻って来たよな。
俺アニキが戻ってきてくれた時は、もう二度と会えねえかもしれねえと思ってたから大喜びで浮かれちゃってさ、だからずっと気付かなかったんだけど、よくよく見てみると今のアニキって、違和感ねえか?」
B「違和感?
そんなのないよ!
、、、ん?
、、、でも、、、いや、確かにあるかも」
A「お、聞かせてくれよ、その違和感」
B「ああ、アニキってさ、昼間はよく働き、夜は静かに机に向かって読書と日記って人だったじゃないか」
A「うんうん、とにかくお天道さんとともに暮らすんだってな。
夜遊びなんて以ての外っていつも言ってたな」
B「ところがこの間俺に
『俺もついに夜の兄です』
なんて言ってきたんだ」
A「え?? 夜の兄??
何の宣言だよ!
あーりーえーねーえー!」
B「そうだろ? どういうことなんだろう?」
A「そうそうそれそれ!
俺の言ってるのはそういう違和感なんだ。
で、俺とうとう気付いたのよ。
あ、アニキ、浮いてんなって。
既にあの世にイッてんなって。
よく見てみろ、アニキの足、浮いてんだよ」
B「え、幽霊?」
A「でもそうだとしたらタイヤ焼いてたのに跡がなかったり、『夜の兄』っていう言葉も納得だと思わねえか?」
B「ああ確かに!
まあでも俺はアニキなら幽霊でもいいや」
A「だよな、俺もそう思う」
浮いてんな、既にあの世にイッてんな。
タイヤ焼いたなんて。
「ついに夜の兄です」なんて言う。
(ウイテンナスデニアノヨニイツテンナタイヤヤイタナンテツイニヨノアニデスナンテイウ)
🌀🌀🌀
知り合いの女性が最愛のダンナさんに
「いくらあなたでも幽霊は怖いから出てこないでね」
と言ったらしいのですが、ダンナさんから
「きみが先かもしれないよ」と言われ
「そしたら毎晩会いに来るわ〜」と言ったそうです。
ダンナさんはウェルカムって言ってくれたとノロケていらっしゃいました。
親しい人の幽霊って怖いのかな?怖くないのかな?
状況によりますね。
《回文ショートショート》は毎週水曜日に更新中です。
また遊びに来てくださいね。





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