焦点を遠ざけていくと浮かび上がってくる

靴職人の髭のおじいさん。


作っているのは何の靴?


ひとつひとつ丁寧に。

羽根が折れた天使のための、空を飛ぶ靴?


皆、出来上がるのを待っている。

下界を見下ろす籠大屋の中で。


真夜中に木々のブランコをこぎながら。

雲職人のおじいを手伝いながら。


飛べなくなったからと、泣かなくていい。

飛びたければわたしが力を貸してあげる。


でもほんとうは、羽根で飛べないきみには

べつの飛び方が隠されているんだ。