逆走
あのね、一つ教えてあげる。
本当は、言わずにとっておくつもりだった、秘密。
あのね、あなたが言う前からわかってたんだよ。
わたし、ずっと知ってたんだよって、あの娘のこと。
言わなかったけど、
言ってなかったけど、
あなたは、あの娘が一番。
わたしは、あの娘に一番、怯えてたって。
でも、まだ秘密。
やっぱり、秘密。
あなたが『サヨナラ』したら、
教えてあげる。
言えなかった訳。
まだ、わたしの方が重いから。
別れたら、教えてあげる。
泣かなかった訳。
今は釣り合ってないからだめ。
早い方が、謎解き容易いよ?
強制は、しないけど。
強制は、できないけど。
でも、早く『サヨナラ』あの娘と別れたら‥‥
思い出した。
誰かが言ってた聞いた話だよ。
『鮫は後ろに泳ぐと死ぬ』
それなら‥‥
人間、とは言わない、
だから、せめて
わたし、だけ
同じ性質なら良かった、のに。
それなら、今すぐにでも後ろに下がるのに。
泡になって、はじけて、
ただの水の欠片になって。
消えちゃいたいよ、わたし。
本当は、言わずにとっておくつもりだった、秘密。
あのね、あなたが言う前からわかってたんだよ。
わたし、ずっと知ってたんだよって、あの娘のこと。
言わなかったけど、
言ってなかったけど、
あなたは、あの娘が一番。
わたしは、あの娘に一番、怯えてたって。
でも、まだ秘密。
やっぱり、秘密。
あなたが『サヨナラ』したら、
教えてあげる。
言えなかった訳。
まだ、わたしの方が重いから。
別れたら、教えてあげる。
泣かなかった訳。
今は釣り合ってないからだめ。
早い方が、謎解き容易いよ?
強制は、しないけど。
強制は、できないけど。
でも、早く『サヨナラ』あの娘と別れたら‥‥
思い出した。
誰かが言ってた聞いた話だよ。
『鮫は後ろに泳ぐと死ぬ』
それなら‥‥
人間、とは言わない、
だから、せめて
わたし、だけ
同じ性質なら良かった、のに。
それなら、今すぐにでも後ろに下がるのに。
泡になって、はじけて、
ただの水の欠片になって。
消えちゃいたいよ、わたし。
二人の始まり
朝の天気予報がはずれて、空が薄水色に晴れて、雲の隙間からの陽射しがあったかくて、少し冷たい風が気持ちいいな。
一週間ぶりの約束
あなたに会いに狭い道を行く。
あなたは今日が何の日か覚えてる?
3月14日‥‥‥
そう、ホワイトデーだよ。
そしてあなたとあたしの関係が始まりを告げた日。
あの頃はまだお互い遠慮し合って短い会話を続けるのがやっとで、ふたり、隣で歩くなんて想像もできなかったよね。
出逢いは一年以上も前なのに、ぎこちなさは相変わらずで、付き合ってる訳じゃないのにお互いが特別だった。
ありふれた言い方をすれば、
言いたいことは星の数よりはるかに少ない。
けど、雲の流れに追いつくことも出来ないほどの穏やかな想いをお互いに抱いていたなんて、
あの頃のあたしたちは知るはずがなかったね。
『傷つけられないように』
ではなく
『傷つけないように』
言葉を選び直しては消えて、少なくとも、あたしは臆病になっていた。
これほどまでに、相手を思いやる気持ちになったのは初めてだったよ。
あなたがあたしを変えたんだと誰にもまっすぐ、正直に言える。
あたしも、何か、あなたを変えるくらいのことが出来ていたのかな‥‥?
遠かった、最初の距離。
でも、徐々に、惹きつけられるように近づいていった、ふたりの距離。
お互い、驚くほど、はやい速度だったね。
それでも、速度とは関係無く、
“心を許し合えていた"
よね?
言葉にして伝えることは無かったけれど、言わなくても、あなたの笑顔がかたっていたから、あたしも素直になれたの。
初めて抱き締めてくれたときのあなたの肩が、想像より大きくてあたしがかるくおさまったこと
あたしは一生忘れない。
今年のバレンタインデーには、甘いものが少し苦手なあなたにクッキーを焼いた。
ぎこちない形になってしまったクッキーを見て、あたしは肩を落としていたけど、
あなたは
『緊張しているお前みたい』
って、笑って食べてくれた。
あたしは、すごく照れくさくて、でも、すごく嬉しくて、あなたに
『すき』
って言いたくなった。
でも、あなたの顔を見たら、
『すき』
が喉に詰まって、言えなかった。
そのかわりに、真っ赤になったあたしの頬をあなたはまるでガラス玉に触るみたいに、そっと優しく撫でて
『‥‥‥すき。』
と、あたしが言おうとしたことを言ってくれた。
あの日、あたしはもうお返しをもらちゃったような気がしたよ。
今日はホワイトデー。
そして、あなたとあたしの関係が始まりを告げた日。
バレンタインデーのときよりもうまく焼けたクッキーが鞄の中で小さく揺れる。
あなたは覚えてくれている‥?
インターホンを鳴らし出てきたあなたがいつもより笑ってて、
クッキーを渡したら、あたしを強く抱きしめてあなたが一言こう言った。
『3月14日にお前に出逢えて本当によかった』
一週間ぶりの約束
あなたに会いに狭い道を行く。
あなたは今日が何の日か覚えてる?
3月14日‥‥‥
そう、ホワイトデーだよ。
そしてあなたとあたしの関係が始まりを告げた日。
あの頃はまだお互い遠慮し合って短い会話を続けるのがやっとで、ふたり、隣で歩くなんて想像もできなかったよね。
出逢いは一年以上も前なのに、ぎこちなさは相変わらずで、付き合ってる訳じゃないのにお互いが特別だった。
ありふれた言い方をすれば、
言いたいことは星の数よりはるかに少ない。
けど、雲の流れに追いつくことも出来ないほどの穏やかな想いをお互いに抱いていたなんて、
あの頃のあたしたちは知るはずがなかったね。
『傷つけられないように』
ではなく
『傷つけないように』
言葉を選び直しては消えて、少なくとも、あたしは臆病になっていた。
これほどまでに、相手を思いやる気持ちになったのは初めてだったよ。
あなたがあたしを変えたんだと誰にもまっすぐ、正直に言える。
あたしも、何か、あなたを変えるくらいのことが出来ていたのかな‥‥?
遠かった、最初の距離。
でも、徐々に、惹きつけられるように近づいていった、ふたりの距離。
お互い、驚くほど、はやい速度だったね。
それでも、速度とは関係無く、
“心を許し合えていた"
よね?
言葉にして伝えることは無かったけれど、言わなくても、あなたの笑顔がかたっていたから、あたしも素直になれたの。
初めて抱き締めてくれたときのあなたの肩が、想像より大きくてあたしがかるくおさまったこと
あたしは一生忘れない。
今年のバレンタインデーには、甘いものが少し苦手なあなたにクッキーを焼いた。
ぎこちない形になってしまったクッキーを見て、あたしは肩を落としていたけど、
あなたは
『緊張しているお前みたい』
って、笑って食べてくれた。
あたしは、すごく照れくさくて、でも、すごく嬉しくて、あなたに
『すき』
って言いたくなった。
でも、あなたの顔を見たら、
『すき』
が喉に詰まって、言えなかった。
そのかわりに、真っ赤になったあたしの頬をあなたはまるでガラス玉に触るみたいに、そっと優しく撫でて
『‥‥‥すき。』
と、あたしが言おうとしたことを言ってくれた。
あの日、あたしはもうお返しをもらちゃったような気がしたよ。
今日はホワイトデー。
そして、あなたとあたしの関係が始まりを告げた日。
バレンタインデーのときよりもうまく焼けたクッキーが鞄の中で小さく揺れる。
あなたは覚えてくれている‥?
インターホンを鳴らし出てきたあなたがいつもより笑ってて、
クッキーを渡したら、あたしを強く抱きしめてあなたが一言こう言った。
『3月14日にお前に出逢えて本当によかった』
顔
あなたには
『何も無かったように笑ってみせて』
なんて言わないわ
嫌な事があったのに笑わないで
哀しくなるから
せめてあたしの前でだけは強がらないで
その方があなたは魅せれるわ
あたしを特別にしてくださいな
あなたには
『何も無かったように笑ってみせる』
なんて言わないわ
淋しい事があったのに笑えないわ
惨めになるから
せめてあなたの前では剥き出しでいたいわ
その方があたしを魅せれるでしょう
あたしを特別にしてくださいな
泣くのはもう沢山です
出来るなら泣くではなく叫びたい
あなたに『さよなら』されるでしょうか
それが恐くて出来ず仕舞い
あたしのものにならないあなたなんて
欲しくない
要らないと思って居たの
あたしのものにならないあなたでも
頂戴
欲しいと思って居たの
どっちも本当でどっちも嘘じゃないわ
あなたは既にあたしの特別以上の人だから
あなたも早くあたしをあなたの特別にしてくださいな
そうすればもうがんじがらめの“意図”でもて遊ばれる事も無いでしょう
無意味な計らいもしなくて済むでしょう
雑踏の中で立ちすくむあの泣き声がまた聴こえるわ
ねぇ、あなたにも聴こえてる?
あなたの耳にも届いてる‥‥?
『何も無かったように笑ってみせて』
なんて言わないわ
嫌な事があったのに笑わないで
哀しくなるから
せめてあたしの前でだけは強がらないで
その方があなたは魅せれるわ
あたしを特別にしてくださいな
あなたには
『何も無かったように笑ってみせる』
なんて言わないわ
淋しい事があったのに笑えないわ
惨めになるから
せめてあなたの前では剥き出しでいたいわ
その方があたしを魅せれるでしょう
あたしを特別にしてくださいな
泣くのはもう沢山です
出来るなら泣くではなく叫びたい
あなたに『さよなら』されるでしょうか
それが恐くて出来ず仕舞い
あたしのものにならないあなたなんて
欲しくない
要らないと思って居たの
あたしのものにならないあなたでも
頂戴
欲しいと思って居たの
どっちも本当でどっちも嘘じゃないわ
あなたは既にあたしの特別以上の人だから
あなたも早くあたしをあなたの特別にしてくださいな
そうすればもうがんじがらめの“意図”でもて遊ばれる事も無いでしょう
無意味な計らいもしなくて済むでしょう
雑踏の中で立ちすくむあの泣き声がまた聴こえるわ
ねぇ、あなたにも聴こえてる?
あなたの耳にも届いてる‥‥?