(4)後処理をどうするか

 

 太陽光パネルの過熱により、発電量が低下したり、火災になったりするということは、WEB上にも多く記載されていますが、実際の写真はそれほど多く公開されていないように思います。

 

 赤外線カメラで見ますと、表面は反射したり、周囲の景色により状況が違って見えたりします。ここに掲載したものは、裏面からの写真で、晴天にも関わらず、安定した画像となっています。しかし、広い範囲で見たり、周囲に高温の設備があったりしますと、やはり影響を受けて異常が見つけにくくなります。

 

 その一方で、多くの設備を見て経験を重ねますと、肉眼で確認するよりも、はるかに早くパネルの異常箇所に気付けます。それでも、それを見付けてから具体的な行動を取るのかというところが難しいところです。

 

 パネル表面のガラスが割れたから過熱が生じたのか、過熱が生じたから表面のガラスが割れたのか分からないものもあり、過熱がかなり進んでいてもパネル表面には異常が見られないものもあります。

 

 どのような状態になれば取替を決断できるでしょうか。パネル取替には費用がかかりますので、取替作業の実施を決断するため、効率的な異常の発見と、他の方法による点検結果との組み合わせにより、取替の計画的な実施を決断することが必要だと言えます。

 

■ 目 次 ■

第1部 故障・事故・不調

第1章 概要
1.設備について
2.故障の種類・原因
第2章 故障・事故の実績
1.故障はどこで起きたか
2.故障の原因は何か
第3章 故障と対応
1.パネルの故障
2.パネルの過熱
3.パネル・ストリングの対応まとめ
4.設備の焼損や火災事例
5.架台
6.土地9
7.パワコン
8.通信
9.連系用ケーブル・配線(ケーブル)等
10.人が要因のもの4
11.雷撃による被害
12.雪害
13.小動物
14.直流接地
第4章 オペレーションの課題
1.見落としそうな重要な課題
2.オペレーションで防げる被害
3.遠隔監視の留意点
4.O&Mとは何か
5.意識と事故防止

第2部 初期の想定との乖離

第1章 最初の想定
1.想定事故の一覧(FIT施行当時)
2.ケーススタディ(FIT施行当時)
3.地震と課題の抽出
第2章 10年間で分かったこと
1.除草
2.地盤沈下と架台の変形
3.産業用(大型)と分散型(小型)パワコンの違い
4.ノイズ発生(電波障害)
5.追尾式太陽光発電システム
6.パネルの洗浄と発電量上昇対策
7.屋根貸しモデル(FIT施行当時)
8.(参考)営農型
9.光害

第3部 制度と今後の再エネ

第1章 再エネ制度と故障状況
1.再エネ制度
2.設備の故障
第2章 FIT制度後半に向けた制度
1.老朽化対策と事故防止制度

第4部 再エネのための電力基礎知識

第1章 電力用語と一般論
1.一般論
2.低圧、高圧
3.事業用(産業用)・家庭用設備
4.ストリング、アレイ
第2章.試験器装置
1.パネルの断線(ストリング)チェック用試験器
2.クランプ型テスター
3.絶縁抵抗測定器(メガー)
4.赤外線カメラ
5.専用試験器
6.あると便利なツール
あとがき