電気主任技術者という資格の価値

 

 

 

上記のアリーダイヤグラムを見て頂ければ、第3種電気主任技術者の資格が中心的な役割を持つことを感じて頂けるのではないかと思います。また、電験取得の認定校が、いかに恵まれているかも一目で分かるでしょう。

 

電験は試験での資格取得が望ましいのですが、仕事(ビジネス)のために必要な資格であれば「必要な資格を持っているかいないか」が重要になります。実務能力が高くても、その仕事をする上で必要となる資格がなくては業務を行えません。

さらに、定年世代の方では、資格、健康、人柄などの重要度が若いころとは違ってきます

1級電気工事士、電気工事施工管理技士と工事資格を取得するためにも、電験3種は有利に働きます。

 

 

(3)電気主任技術者資格の世代による展開

 

① 若い方の進路指導に

 ここで「若い方」とは、高校に進学前の方、あるいはそうした年代のお子様をお持ちの方を対象としています。

進路をどうしようか、大学に行かずに就職するなら、工業高校、商業高校・・・と考えて、もし「電気」に自分は興味があるのであれば、上記の図をご覧ください。また、進路相談を受ける立場の方も参考にしていただければと思います。どれくらいの期間で、どういう資格が取得できるか。全体像を知っておくことは悪いことではありません。

 

② 転職をお考えの方

 今まで電気関係の仕事をしていた方も、電気とは関係のない仕事をしてきた方も、もし「電気の仕事はどうかな」とお考えでしたら、自分の立ち位置の確認と、過剰な資格の価値のPRに惑わされることなく、しっかりとした将来を考えてみましょう。合格率や受験しやすさだけでなく、それが将来どうつながるのかを知って、それぞれに合った新しい進路を考える参考にしていただければと思います。どのルートを考えて、どこで集中して取り組めば以後の道が見えてくるというような具体的な予想が立てられるでしょう。

 

③ 定年を意識し始めた方

 定年後も働き続けるというライフスタイルが一般的になってきたように思います。定年後の人生は長くなっていますし、年相応に元気に働けるのは幸せな状態とも言えます。定年までのカウントダウンを意識される方は多いようです。

 

 同じ会社に残る方もいれば、違う世界を知ってみたいと、別の業界に進む方もいらっしゃいます。独立を意識して、自分の思うような生活をしたいという方も多いでしょう。

電気の資格で言えば、認定校出身で一定の実務経験があれば、電験3種・電気管理技術者という資格取得が可能となります。

 

 お勧めとしては、定年間際に資格を取得して次の勤務先を探すのではなく、取得可能な資格は速く取得し、その資格を生かした良い勤務先があれば、定年の1年前には次が決まっているという状態が良いでしょう。その方が、ご自身も、新しい勤務先にもメリットがある職場が選べるはずです。

 

④ 企業としての取り組み

 

 10年ほど前、ある工場で80代になられた電気主任技術者の後任を検討されていました。その主任技術者さんは、もともとその会社の社員ではなく、必要な有資格者として外部の方を雇用されたのでした。会社では、若い社員を電気主任技術者にした方が、費用の面でも、社内の管理の面でもメリットがあるとして、私に資格取得サポートの依頼がありました。

 

 資格取得予定の認定高校出身の本人と面談を何度か行い、数カ月で資格取得が終わりました。その後、その社員の方を中心にその会社の電力に関する仕事は進み、約7年後、次の上位資格取得の依頼があり、今回は電験2種ということで、前回より時間がかかりましたが、資格を取得されました。

 

その資格を取得された社員の方は、初対面の際は、人の好さそうなちょっと頼りなげな方でしたが、7年間で立派になられて、数年前から電力部門の責任者として活躍されていました。

 社員に資格を取得させることで、社員を育てながら、外部の方を雇用していた時よりも費用を抑えることは、企業にとっては、賢明なやり方だと言えます。

 

 この項のまとめ

 長い間多くの方の資格取得をサポートしてきた立場から言えば、今必要が無くても、認定校卒業で一定の経験があるなら、出来るだけ早く資格取得をしておくことが、本人の人生にとっても、企業にとっても得策だと言えます。それは、年代や状況を問わず、とにかく今の制度で取得できるときに早くということです。

 

 その理由は、実例として以下のようなご相談が多く寄せられるからです。

a.親が経営する会社で高圧の電気工事の仕事をしていたが、親が何年も前に突然亡くなり、会社を閉じているため、電験を取得しようとしているが、実務経験を証明する資料がなくて困っている。

b.企業を何年も前に退職しその実務経歴で取得したいが、勤務していた企業が退職者には協力できないと言って困っている。

c.勤務していた会社を円満退職したが、その会社が倒産してしまい、実務経歴を証明することが出来なくなった。

 

つまり勤務した会社が無くなってしまうと、あなたの実務経験も消えてしまう可能性があるのです。



<目次>


はじめに


【重要なお知らせ】
 

1.電気主任技術者という資格
(1)概要
(2)電気主任技術者という資格の価値
(3)電気主任技術者資格の世代による展開
(4)資格の必要な電気工作物の範囲
 

2.申請に必要な書類
 

3.申請手順
(1) 実務経歴作成
(2) 学歴と実務年数
(3) 実務経歴証明書の作成
(4) 確認項目
(5) 本人面談
(6) 会社証明印をもらう
(7) 正式申請
(8) 免状の交付
 

4.Q&A
 

5.実務経験証明書(様式)
 

6.実務経歴証明書サンプル(電力会社配電)
 

7.業務内容サンプル(〇〇処理施設)
 

8.実務経歴による電験資格取得サポート
 

(参考1) 実務経歴証明書記載要領
(参考2)電気主任技術者免状の交付申請に必要な書類の作り方
あとがき