情報化時代に生かす現場力
~知恵と経験が織りなす暗黙の叡智~

 

 

 

本書は30年以上の電力会社業務(技術系・事務系)及び中小企業での太陽光発電業務等で学んだ事・感じた事の中から、後輩や子供たちに伝えたい、著者にとって印象の深いエピソードをまとめたものです。

それぞれの現場での中で学び培われた経験知(暗黙知)を「現場力」とも言います。
一瞬のミスが大事故や命に係わる可能性のある現場だからこそ、先輩や他者の経験知が重要だと感じています。

では、この現場力とは、一般にはどんなものでしょうか。先輩の話、武勇伝や失敗談、自分や同僚の体験談。情報化社会、少子高齢化の中で、こうした過去の体験談は生きているのでしょうか、役に立つのでしょうか。

古い時代の設備の話、コンピュータも、電子センサーも、管理カメラも無い時代の話も含まれます。

若い人は、おそらく、年寄りの自慢話、説教、武勇伝は聞きたくもないでしょう。それは、現代の若い人だけではありません。
30年前、40年前の若い人も、同じでした。
著者自身が、先輩や周囲に気を使いながらも、無駄にダラダラと仕事に無関係な、自慢話を聞かされるのは苦痛でした。

その一方で、この人はと思う人の話は、特に注意して聞きメモを取らなくても記憶に残ります。コンピュータが無い時代、著者はそうした話をカード式の自己流データベースを作成しながら、自分なりに先輩の知恵として集めていました。

こうした先輩の話が聞きにくくなった現代、ちまたで生じるトラブルには、知恵や経験の継承が行われていれば、防げたのではないかと感じるニュースを目にすることがあります。

ここで、現場力とは必ずしも技術者だけの話ではありません。
事務系の方でも、お客様の対応や取引先との折衝などで、対物・対人両面での現場対応力が必要となる機会は少なくないでしょう。

例えば、本書に記載した、お客さまとの折衝の達人と私が思っている方に同行した事例は、その達人とクレームをつけてきたお客さまとの折衝は、剣道の試合を見ているような緊張感の中、一瞬の打ち込みに成功するという雰囲気を感じました。こうした事例は、業界を問わず参考になるのではないでしょうか。

ある銀行の支店長から、「近頃の若手銀行マンは現場力が無いのが問題だ。」と聞いたときは驚きました。
全国の各大手電力会社の現状を多く知るメディア関係の人が語った、電力業界全体の課題と同じだったからです。

その支店長のお話は、『人員が削減されたことから、若手銀行員が先輩と同行することが少なくなり、お客さま対応を学ぶ機会が少ない。優秀な若手でも、研修に加えて、現場で実際の対応一つ一つが力になるが、その現場で学ぶ機会が少ない。』というお話でした。
業種が異なる企業でも、同様な課題が発生しているようです。

前述のように、本書は、著者が経験したことを中心に事例をまとめたものです。具体的には、電力会社の送電線業務、発変電所業務、電柱敷地業務でのお客さま対応、一般の民間企業の太陽光発電事業などを含んでいます。

本書をきっかけに、人脈をたどり、他の方が感じていた現場力について、第2集、第3集・・という形でまとめる事ができれば、退職に伴い誰にも伝わらなかったぞれぞれの方の「経験知」が、現在または将来の誰かの役に立つ場面があるのではないかと感じています。
 

 

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