円相場 値上がり
週明けの22日の東京外国為替市場、円相場は値上がりしました。午後5時時点の円相場は、先週末と比べて50銭、円高ドル安の1ドル=156円81~83銭でした。市場関係者は「関税引き上げや減税を主張するトランプ氏がアメリカの大統領に返り咲けば物価上昇などで長期金利が押し上げられ、ドル高・円安が進むとの見方が外国為替市場では強まっていた。しかし、バイデン大統領が撤退を表明したため、選挙の先行きへの不透明感から投資家の間でいったん円を買い戻す動きが出て、一時、156円台前半まで円高が進んだ」と話しています。。
為替介入でも「超円安」は止まらない 伝説のトレーダー・藤巻健史氏が「1ドル=500円超え」と「ハイパーインフレ」を警告する理由
急激な円安を受け、政府・日銀が為替介入に動いたとみられている。一時的に為替は円高に振れたが、これにより「円安トレンド」に歯止めがかけられるのだろうか。円安による輸入物価の上昇が加速するなか、物価上昇に賃上げが追いつかない。日経平均株価は4万円を突破したが、国民生活は苦しくなっているという実感のほうが強いのではないか。そうしたなか、モルガン銀行(現JPモルガン・チェース銀行)時代に「伝説のトレーダー」の異名を取ったフジマキ・ジャパン代表の藤巻健史氏がマネーポストWEBの取材に応じ、さらなる円安の進行やハイパーインフレが発生する可能性について、警鐘を鳴らした。
1ドル=160円を超える「超円安」に歯止めをかけようと、政府・日銀は7月11~12日にかけて為替介入に踏み切ったとみられているが、藤巻氏は「超円安の根本的な原因は、日本の国力の弱さにある」と指摘。それが解消されなければ、「1ドル=200円になってもおかしくない。場合によっては1ドル=400円、500円、あるいはそれ以上の円安まで考えられます」と語る。 藤巻氏は日本が「弱い国」になっている理由を大きく3つ挙げている。1つ目は、この40年間のGDP(国内総生産)成長率が、他国に大きく水を空けられて世界最低だったこと。2つ目は、国の借金が対GDP比250%超と世界最悪の水準に膨れ上がっていること。そして3つ目が、「10年あまり続いてきた異次元金融緩和によって中央銀行である日銀のバランスシートが対GDP比で“メタボ”になっていること」(藤巻氏)とした。
懸念される「円安」「株安」「債券安」の3つの大暴落
そうして日本の国力が弱まった結果、円安の進行に歯止めがかけられないというのだ。藤巻氏はこう話す。
「いまのところ、日銀の純資産はプラスの状態ですが、大量のETF(上場投資信託)買いによる金融商品の評価益でかろうじて債務超過を回避しているだけです。株価が下がり、長期金利が上昇すれば、いつ債務超過に陥ってもおかしくありません。それもとんでもない規模の債務超過です。債務超過に陥って、海外勢(格付け機関や外資系の銀行)から『日銀の財務は健全化しない』と判断されれば、『円安』『株安』『債券安』の3つの大暴落に見舞われかねません。いまは日経平均4万円超えという株高に沸いていますが、長続きするとは考えにくいのです」
そう話す藤巻氏は、日銀の財務状況を注意深く見ていると、終戦直後の日本やドイツで起きた「ハイパーインフレ」に令和の日本が襲われることさえ危惧されると指摘した。そのうえで、「ハイパーインフレの可能性がある以上、日本人の一人ひとりが防衛策を講じていかなければなりません」(藤巻氏)と警鐘を鳴らすのだった。