凛音は、多分ツッキーナの趣味じゃなかった。
ツッキーナが好きなタイプは、どこか儚い感じっていうのか。
どちらかというと、中世的な……可愛い感じの男の人って感じがする。
それに対して凛音はというと。
はっきりとしたイケメン顔で、脱いだら結構凄くって…
ってのは、その時のツッキーナには分からなかったことだろうけど。
私は、その時の瞬間を目の前に浮かべてしまって、一人電車の中で赤面した。
ってか、なんなのよこれ。
電車のドアに映る自分の姿に、自分でツッコミを入れて、バカみたいに苦笑いを浮かべる。
…ったく、なんでこんなにアイツのこと考えちゃってんの?
ドアの窓に映る自分から目をそらし、必死にその向こうの景色に集中する。
けど、その瞼の裏には、確実に凛音の影がチラチラしてる。
凛音は、なんだか軽いのか、ノリがいいのか。
それとも、本当にお頭のほうがおかしいのか、それとも、それはキャラづくりなのか。
ま、どちらにしても、私の視線を釘付けにするのには、十分な感じだった。
だって……
その顔面で、そのおバカさって……
本能のままに生きてる感じがして、私とはまるで違う気がしていた。
ただ単に素直なのか…
それともそれも狙いなのか…
大体、あいつの狙いはツッキーナだったんだから…
私は、どちらかといえば”ついで”みたいなものでしょ?
ちょっとだけズキンとする胸を押さえながら、それを冷静に考えてみる。
ツッキーナがダメだったから、私に方向転換した凛音。
そして、それに乗っかった自分。
……なーんだ。
結局のところ、どっちもどっちじゃん。
それに気づいた瞬間、何かに悩んでた自分が馬鹿馬鹿しく思えた。
ってことは、私が凛音に反応するのは全然可笑しいことじゃなくない…?
どこか、自分を肯定するだけのそんな言い訳を、信じたい自分がそこにいて。
このまま流されるのもありなの…?
そんな考えが頭を過る。
それが、どんなに危険なことかなんて、知る由もなく。