古典も古典、こてんこてん

著:H・G・ウェルズ
ジャンル:SF
(2019/03記事に加筆修正)
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熱心なSFファンでなくても「宇宙戦争」
と「タイムマシン」はH・G・ウエルズ著
と知っているほどに著名な本作。
原作設定は20世紀初頭のイギリスはウイ
ンチェスターの片田舎が発端の舞台。
原題”War of the World"が何故「宇宙戦
争」と訳されるのか、英語を覚え始めた頃
の私には疑問だったが、今となっては名訳
だと思う。
なにせ、古い。
古典SF中の古典SFである本作が、昨今
スピルバーグ監督でリメイクされるという。
「未知との遭遇」「E.T.」に代表される、
宇宙人はお友達路線で有名な監督がなぜ今
になって侵略者テーマの古典を映像化する
ことになったのだろう。
先般日本のみという触れ込みで流された
30秒CMの放映権は2億5千万円だった
そうだが、何故にの問いに「儲かるから」
と応えたのでは夢も希望もあったものでは
ない。
いや、実際はそうなんだろうけどさ。
物語は全てここでネタばらししても誰も
ブーイングすらしないだろう、
それほどまでに良く知られたストーリー
なのだから。
ある夜、宇宙人がやってきて強い彼らは
人類を絶滅の危機まで追い込みましたが、
地球の病原菌で勝手に全滅しちゃいました・・
・ちゃんちゃん・・げげっ、1行で終わって
しまうじゃないか。
原作は、戦車すら満足に稼動していなかった
時代と文明水準の地球に、給水塔に足がつい
たような、タコのような戦車に乗った宇宙人
が問答無用で襲い掛かり、逃げ惑う人々の光景
が延々と描写される。
各国の軍隊・・当時はまぁ、さほど強烈な
武器も軍隊も無かったろうけど・・も一所懸命
戦うが、なにせ宇宙人のタコ戦車は強い。
無茶苦茶強い。
何をやっても撃破されてしまう地球軍隊。
このまま人類は絶滅か
…というスリリングさが売り物というもの。
結末は先に書いたとおり、風邪だの雑菌だの
の地球土着のウイルスが恐怖の宇宙人を滅ぼし
てくれる・・というか勝手に滅んでくれるとい
うか・・あっけない最期なのだが。
はるばる宇宙を飛んできて、侵略対象にした星
の検疫ぐらいやっとけよ!
と突っ込んではいけない。
突っ込みたいけど。
生物に詳しい知人曰く「基本的に生態系が
根本から違う生物に地球のウイルスが有効か
どうかは甚だ疑問だ」と聞く。
なるほど、地球の有害なウイルスは人間の
DNAだの細胞組織だの血液だのに対して有害
であって、生物的に同じ組織を持たない異生物
に有害なのかどうかはわからない、ごもっとも。
犬には感染して致死性のある病気でも人間や
サルにはなんの影響もない病気も(逆パターン
も)勿論ある。
ジフテリアで人間が死んだというニュースは聞
いた事がない。
いや、あるかもしれないが記憶にない。
ともあれ、かの宇宙人たちは人間には影響の
ないウイルスで死滅しちゃったのだから、そん
な事があるにせよ検疫ぐらいはして当然だ。
私なら念入りにする。
文明的には強いけど賢くはない。
さぁ、この『宇宙戦争』の映画化。
実は既に行われている。スピルバーグ監督は
2回目のリメイク作品となるわけだ。
旧作映画の宇宙人は、タコ戦車タイプの戦車に
乗ってはいるが、空も飛ぶし原作の機銃のような
武器ではなくなんだか怪しい光線兵器で地球側の
ジェット戦闘機や戦車をなぎ倒していく。
しかも原作には一切登場しない宇宙人の死体
というか、生きて動く姿も登場する。
はっきり言って、三つ目のタコと思えばよろしい。
あ、てっぺんの目には絆創膏は貼ってはない。
しかも目の色が、信号機のような光の三原色…
つまり、赤・黄・緑が三角に
配置されたタコなのだ。
私はかつてこの映画をTVで観たが、姿のなか
った宇宙人の映像化に驚いてしまった。
いや、イメージだだ崩れでだ。
今年公開されるスピルバーグ版「宇宙戦争」
には果たして宇宙人の映像がでるのかどうか。
はたして原作通りにバイ菌にやられて勝手に
全滅してくれるのか。
ストーリーがわかっているだけに、かえって
その辺りの疑問や興味が湧き出てしまう。
ましてや、原作はうすっぺらい内容なので、
どんなに話を膨らませても誰も何も文句は
言わないだろう。
なかなか着眼点がいい。
しかも30秒CMを見たら倒壊している高速
道路に近代の自動車であることから、現代モノ
の時代設定だということがわかる。
はてさて、現代の地球には核兵器も生物兵器も
あるぞ。
生化学も進んでいるので宇宙人の弱点ぐらいは
看破しちゃうぞ。
この時代設定に宇宙人を有効に叩く方法は原作
とは雲泥の差。
どうなる?宇宙人?
私としては、「やられることがわかっている」
宇宙人に悲哀を感じざるを得ない。
宇宙人よ、やられる前に帰れ! Go Home !
E.T.は Phone Home!