ある日気づいたら、
妻は僕と目を合わせなくなりました。
話しかけても返事はありません。
朝、「いってきます」と言っても返事はない。
夜、「ただいま」と言っても返事はない。
まともに会話をしなくなって
数えると三ヶ月が経っていました。
正直、焦りました。
「俺、何かしたかな。」
「何がいけなかったんだろう。」
何度も考えました。
でも、妻は、
僕を無視するようになったのに、
お弁当は毎朝作ってくれる。
仕事から帰れば、
夕飯も僕の分までちゃんと並んでいる。
洗濯も終わっている。
子どもたちのお風呂も、
ご飯も、翌日の準備も、
いつも通り。
家の中は何も変わっていませんでした。
だから僕は、
「怒ってるわけじゃないのかな。」
「そのうち元に戻るのかな。」
そんなふうに思っていました。
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妻は、昔から頑張る人でした。
家事も育児も、
手を抜いているところを見たことがありません。
夜、子どもを寝かしつけながら、
僕はそのまま一緒に眠ってしまうことがほとんどでした。
でもある日、
夜中に目が覚めると、
妻は台所に立っていました。
静かなキッチンで、
翌日の準備をしていたんです。
朝になれば、
ゴミ箱には新しい袋が掛けられている。
洗面所のタオルは、いつもいい匂いがする。
子どもたちの水筒も並んでいる。
僕は、それを「当たり前の毎日」だと思っていました。
今思えば、
その"当たり前"を作っていたのは、
全部妻でした。
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思い返すと、
小さな出来事はいくつもありました。
ある日、お弁当を開けて、
「今日のお弁当、なんか茶色っぽかったね。笑」
なんてLINEを送ったことがありました。
深い意味なんてありません。
いつもの冗談のつもりでした。
返ってきたのは、
「ごめんね。」
その一言だけでした。
またある日。
妻が、
「今日は疲れたなぁ。」
と、ぽつりと言いました。
僕の答えは、
「俺も仕事で疲れた〜」
でした。
それで、その話は終わりました。
別の日には、
「今度の土曜日、友達と会おうって話があるんだけど…」
そう妻が言ったこともありました。
妻が友人と会うのは
珍しいことでした。
ただ、その日は
仕事の予定が入っていて
「ごめん。その日、帰り遅くなるかも。」
そう答えました。
妻は、
「そっか。」
と言って、それ以上何も言いませんでした。
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当時の僕は、本当に悪気なんてありませんでした。
仕事を頑張ることが、
家族を守ることだと思っていました。
だから、
家にいる妻の方が大変だなんて、
一度も考えたことがなかったんです。
むしろ妻は、家事も育児もちゃんとこなしていて、
子どもたちとも楽しそうに過ごしている。
そんなふうに見えていました。
でも、もしかしたら
家事と育児が大変なのかも知れない。
だから、
「もう少し家事を手伝えばいいのかな。」
「週末はもっと子供を公園に連れ出そう。」
そんなことばかり考えていました。
実際に、そうしてみたんです。
それでも、妻の様子は変わらなかった。
何かが違う。
僕は、妻の何を見落としていたんだろう。
何を聞き逃していたんだろう。
そう思って、妻を見るようになりました。
このブログは、
そのときから始まった僕の観察記録です。
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何かが違うと感じた僕の違和感は、
当たっていました。
僕はずっと、
夫婦関係が壊れた原因は
「家事育児」だと思っていたんです。
僕が仕事ばかりしていたから。
妻に任せすぎていたから。
妻の話をちゃんと聞かなかったから。
だから、
僕がもっと家事をすればいい。
子どもたちと過ごす時間を増やせばいい。
妻が一人になれる時間を作ればいい。
そうすれば、
また前みたいに戻れると思っていました。
でも、
それだけではありませんでした。
もちろん、
僕にも変わらなければいけないところは
たくさんありました。
今思えば、
「なんであんなこと言ったんだろう」
と思うこともあります。
でも、
それだけでは説明がつかなかったんです。
もし夫婦関係が原因じゃないとしたら、
あなたは何が原因だと思いますか?
僕は、
この答えがずっと分かりませんでした。
でも、あることを知ってから、
今までバラバラに見えていたものが、
少しずつつながり始めました。
妻は昔から、
誰かの機嫌が悪いと、
「私、何かしたかな」と気にする人でした。
本当は嫌なことがあっても、
「大丈夫」と言う。
疲れていても、
なかなか休まない。
人に頼るくらいなら、
自分でやってしまう。
何かうまくいかないことがあると、
最後にはいつも、
自分に悪いところがなかったかを考えていました。
僕はずっと、
「そういう性格なんだ」
と思っていました。
でも、
夫婦関係が悪くなってから
初めて気づいたんです。
妻のこういう姿は、
僕と結婚してから
突然始まったものではありませんでした。
子どもの頃の話。
学校での話。
友達との話。
仕事をしていた頃の話。
そして、
母親になってからのこと。
妻から聞いていた昔の話まで思い返していくと、
どこか似ていました。
僕には、
ずっと別々の出来事に見えていました。
でも、
そうじゃなかった。
もし、
これらが全部つながっているとしたら。
僕が「性格」だと思っていたものにも、
何か理由があるとしたら。
妻が三ヶ月、
僕と目を合わせなくなったことも、
少し違って見えてきました。
僕が知ったのは、
妻を変える方法でも、
夫婦喧嘩をなくす方法でもありません。
ただ、
「なぜ、こんなに苦しくなってしまうのか」
その見え方が変わる話でした。
僕たち夫婦のことを書き始めてから、
似たような経験をしている人は、
もしかすると、
僕が思っているよりずっと多いのかもしれない。
そんなことも考えるようになりました。
だから、
僕が知ったことを、
ここから先に残しておこうと思います。
「性格だから。」
そんな一言では分からなかったことが、
少しずつ見えてきた話です。
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