パリの日は長かった。


そしてパリの天気は変わりやすかった。


女性の気分と同じように。


凱旋門は浅草を、エッフェル塔は東京タワーを彷彿させた。


とは言ってもルーブのピラミッドのオブジェはロン・ハワードを浮かび上がらせる。


やっぱり映像の影響力ってすごいのね。


そんな事を考えていたら次第にそのイメージというか深層心理にあるほの暗い影を壊したくなった。


それにはアイスピックも大きな鉈も必要ない。


1本の筆なり鉛筆で十分なんだ。


それがアートか。


だからムービーはアートじゃなくてエンターテイメントなのね。


はて。


何が言いたいんだろう。


よく分からんけど…


あのシンメトリックな建物は甘美だった。


うん。
少年は問い掛ける。


『おじさんは何処向いてるの?』


薄くなった髪が気になって仕方ないおじさん。


少年は問い掛ける。


『ネクタイ曲がってるけど?』


昨日駅前で少年達に殴られた頬にそっと手を触れるおじさん。


少年は問い掛ける。


『なんだか、たんすの臭いするよ』


ポケットから取り出した離婚届を破り捨てるおじさん。


少年は問い掛ける。


『昨日何食べた?』


おもむろに擦り減ったローファーを脱いだおじさん。


少年は気づかず問い掛ける。


『自殺じゃ生命保険おりないみたいだね。』


おじさんは少年目掛けて思いっきりローファーを振りかぶった。


ドスン


少年は倒れた。


徐々に意識が遠退く。


最期の力を振り絞って少年は問い掛けた。


『そっちに向いてたんだ。』
外に出たい欲が尋常じゃないくらい膨れ上がっている今日この頃。


去年から海外に行く機会が増えたせいだ。


ちょっトマト。


ちょっトマト。


飛びださねば。


南半球からだっておんなじ太陽が見えるんだ。


恐れる事は何もない。


いざ行かん。


とりあえずパリの赤土で四股を踏もう。


なんだってできる。


そしたら最後はコーヒーを。