このあいだ外で長い間、
剪定(せんてい)のチェーンソーの音が長く続いていた。
途切れ途切れに長く。
あまりにうるさいから、つい、外に出て辺りを確認した。
しかし、それらしい場所は見当たらない。
何だったんだろうと忘れかけた頃にそれは発覚した。
道路を一つはさんだ無理矢理建てた分譲マンションの裏側にある、
雑木林が無残に伐採されていた。
切り株が無残に散らばり、
伐採されたどんぐりの木が規則的にまとめられていた。
微かに、
緑の青い匂いがそよいだ。
植物の放つその匂いは人間の感覚を緩やかに解き解すと、
むかし何かの本で読んだ。
しかし、おれの目の当たりにした、それは、木々から流れ落ちた断末魔の残り香だったんだ。
まるはげになった雑木林は以外にも小さかったけれど、
びっしりと木が生えていた事を物語る。
見晴らしはすっきりとしたが、
ものすごく寂しくて悲しい。
昔話で土の中に埋まった木の実には、
土の中に眠る小さな龍がその木の実にとりついて、
地下水を木の実に呼び込むという話を聞いたことがある。
そして木の実は芽吹き、やがてその木に共に育った龍が宿ると聞いた。
木々は切り倒されて、いずれ根っこも掘り返されるだろう。
そんな悲しい出来事があって、
おれはその道を通れなくなった。
雑木林の入り口にはささやかながら毎年、彼岸花を咲かせていた。
あの彼岸花を、もう見れなくなると悲しい。