性欲はその発達を一通り終えても、以前の段階が全く終了して綺麗に次の段階へと移行しているわけではなくそれぞれの箇所に痕跡をとどめている。
その段階に十分に満足を得ることができなかった、逆に非常に満たされた記憶を持つ場合には、成人してから強いショックや何か機会があったとき、その段階へと行動原理(人の言動の根拠となっている信念や欲望)が立ち返ることがある。
これを退行。その段階へのこだわりや執着を固着という。
口唇期(こうしんき)(0~1歳)
自己保存欲求(生きる(空腹を満たす)ために乳を飲む)→副次的に口唇の快感を得る。
肛門期(2~4歳)
性的な快楽は、この時期には排泄時の肛門に集中→排泄コントロールの成功失敗でしつけが開始。自我の形成を開始。
苦痛と快楽の調整学習に固着(発達途中で心的外傷を受けたり、過度な満足を得て心的エネルギーの対象が固定され、以後の発達に支障が生じること)が生ずると成人してからサディズムやマゾヒズムに発展することも。
その他、我慢する(溜め込む)ことを強く教え込まれるなどして守銭奴(しゅせんど:金銭を貯めることに異常な執着をもつ人。貪欲でけちな人)になったり強迫神経症(潔癖症など。自分でも不合理だと思いながら一つの観念や衝動から離れらず儀式化された行動をとり続けてしまう)の症状を形成する場合も。
男根期(だんこんき)(3~6歳)
それまで全身に拡散していた性欲が性器に集中。
この時期の子どもは唯一の性器(=ペニス)しか知らず、そこに注目して男女の性差を意識し始める。
エディコンプレックス(異性の親に欲望を向け、同姓の親に攻撃心を向けること、そしてその攻撃性に対する諦めという三つのコンプレックス)の形成や去勢恐怖(ペニスを取られてしまうという恐怖)が開始。
この時期の男の子は、母親や他の女性の裸体を目撃したとき彼女たちにペニスがないことを発見します。
それを性別のせいだとは考えず、何らかの理由でそれがなくなった、取られた(去勢された)と考えることが多く、罰せられるという形で自分にも訪れるのではないかという恐れを感じる。
潜伏期(6~12歳)
幼児性欲の時期が終わり潜伏期に入ると、子どもの性の発達は一時停滞する。
就学や仲間と遊ぶことで、性欲エネルギーは昇華(欲望を他のものに置き換える)されている。
性器期(思春期)
第二次性徴期(9~18歳。性器以外の身体の各部分にみられる男女の特徴の表れ)とも言われる思春期に入ると、再び性の発達が開始。
性器結合を最終目的とした異性との性行為(性器性欲)を目指し始める。
性的逸脱(=倒錯(とうさく))とは、生殖行為に当たる異性間の性器結合を目標とせず生殖からは逸脱した性行為一般を指す。
現在の男女間の性行為は、必ずしも生殖を目的としているとは言い切れないのでほとんどの人は倒錯的行為に足を踏み入れている言える。
明らかに生殖の可能性のない性行為(フェティシズム・露出症・幼児性愛・同性愛・窃視(せっし:のぞき)症)などについてはそれぞれの発達段階での固着(発達途中で心的外傷を受けたり、過度な満足を得て心的エネルギーの対象が固定され、以後の発達に支障が生じること)が強すぎるために起こる。
子どもたちは排泄へのこだわりや幼児期のサディズム(虫や動物を虐め殺す等)といった性行為からは逸脱したところで満足していました。
大人になってからはその地点へ立ち返ってしまう場合にはそれは性的逸脱(性器結合を目的としない性行為)とみなされる。
性的逸脱が生物学的な性行為でなくとも、通常の社会生活の中で問題なく営まれている場合それを異常とみなすことなできない。
性欲が生まれつきの本能でない分、多くの種類があり文化にまで高められているといえる。
しかし、身体的に成熟した成人でありながら、幼児期の倒錯的性欲が保存されている場合その欲望を実行するのが→性的倒錯者(性欲が質的に異常な状態。性対象が自己・小児・近親などであるものと、性目標が露出・窃視(せっし)やマゾヒズムのような疼痛(とうつう:ズキズキ痛む)などであるものとに分けられる)
その欲望を退けようとして形成される症状→神経症者(軽度のパニック障害や強迫性障害などがこれにあたる)
母親や女性のペニス不在を否認し、その代理となる対象(下着やヒール等)を偏愛するフェティシズム
肛門期の固着(発達途中で心的外傷を受けたり、過度な満足を得て心的エネルギーの対象が固定され、以後の発達に支障が生じること)に由来するサディズム(加虐性愛)(相手に対して肉愛的・精神的苦痛を与えることで性的快感を得ること)マゾヒズム(被虐性愛)(相手から肉体的・精神的苦痛を与えられることで性的快感を得ること)サディズムの自己への向け換え