メンタリングマニュアル7
『最悪の状況に陥った時、どうすればよいでしょうか
四面楚歌で、何もできないような時は?』
これを読んで思い出したことがあります。
以前もお話しましたが、私はこのクリニックに勤める前、何軒か他の歯科医院で働いていました。
特に印象に残っているのは1軒目のクリニックです。
比較的大きな規模のクリニックで私の他に8名の先輩衛生士さんがいました。
沢山の先輩方に囲まれ、ヒイヒイ言いながらも、何とかして先輩に近づきたい!先輩のように技術を獲得したい!と強く感じていた為、診療中の見学や、居残り実習、教本を読んだりと必死でした。
けれども2年が経った時、ほとんどの先輩が立て続けに退職してしまいました。
それと同時に残っていた数少ない先輩の一人に私は大変嫌われてしまったんです。
その時、私は『お先真っ暗だ』
と大変落ち込みました。
だれも教えて下さる環境ではなくなってしまったからです。
当時わたしは技術面がまったくなく、
このままでは衛生士としてキャリアが積めないと焦りました。
悩んだ挙句、他の教えてもらえるクリニックに転職したいと院長先生に伝えました。
その際の院長先生のお言葉は今も尚、心にズシンと刺さり続けています。
『あなたは勘違いをしている。あなたは教えて貰える環境ではなくなったと悲観しているけれど、本当にそうなんですか?
あなたにとって、教わる対象は先輩や、素晴らしい教本だけなんですか?技術が欲しいから働いているんですか?
そうじゃないでしょう?
あなたはの目の前には受け持っている沢山の患者様がいるでしょう?
僕は一番の先生は患者様だと思っています。
医療者は患者様の為に働く者なんだよ。
今目の前の患者様の為に必死になって考え、行動することが山ほどあるでしょう?勉強する方法なんて考えればいくらでもあるんだよ?何でそこでストップをかけてしまうの?』
当時はその言葉が綺麗事に感じてしまい、結局退職しました。
あれから、10年が経ちやっとその意味が理解できます。
私はあの時完全に投げ出し逃げたんです。
受け持ちの患者様を見捨てる行為でした。
もちろんその後当院と出会えたことは本当に有難く感じています。
でもせめて、受け持たせて頂いている患者をリコールまて見送ってから辞めるべきでした。
お先真っ暗と感じたあの時、なんで他に方法がないか考えなかったんだろう?
なんで自分にストップをかけてしまったんだろう?
今だったら違う行動にでたと思います。
今だったら一番大切なのは目の前にいる患者様と言うのがわかるからです。
でも後悔先に立たずですよね。
だからこそ今できること。
それは、あの時院長先生から頂いた言葉を忘れることなく働き続けることだと思っています。
iPhoneからの投稿