渋谷の青学の隣にあるシーバードというジャズ喫茶が35周年ということで寄って来た。

 

 

ここはアマチュアミュージシャンが集う場所で音楽を楽しむ人が足を運ぶ。

お客さんの年齢層も上がっているが、それとなしに開催されるセッションにはミュージシャンが適当に入り、その姿は私が最初に行った20年ほど前から何も変わらない。

あちこちで開催されているジャズのジャムセッションはセッションホストがいて、正の字を書いて順番回して行儀よく行われるのがほとんどだが、ここはホストはいなくてお客さんミュージシャン同士がてきとーに入るやり方を徹底している。

セッションに入らない人もいるが、演奏レベルに関係なく「演奏しようよ」とみなが声をかける。

職業的ジャズの世界とは違う、好きな人が集まる趣味の店ということを貫いている感じは、あるようでなかなかない形態なのだ。

 

ここのマスターに自作のインディーズCDを渡して1年近く経つが、昨日会話している中で「この店を通過してプロになった連中とかCD出したらみな持ってきてくれるが、あんたの作ったものは作り込みや考えが相当深くてかなり凝っている。ほとんどは上手に演奏しましたという出来だけどそういうのと違うよね」と嬉しいことを言ってくれた。

35年ジャズ浸けでお店を運営しているマスターからのコメントとしては嬉しい限り。

 

ちなみに、ここはオムライスがめちゃ美味しい。業務用チキンライスを使っているのだが、とにかく不思議に美味しくて、そのリピーターも多く、マスターに作り方を教えてもらって家で実践するも、なかなかああは出来ないのだw

 

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さて、普通のジャズと一線画したものをわざと企画しているわけではないが、興味本位で新たな表現というか新たな製作方法でジャズを作ってみた。ジャズらしきものかもしれないが、まあジャズだろう。

 

このゴールデンウィーク、何も予定なくニュースで流れる天気恵まれるというのと行楽地や帰省であちこち大賑わいというのを見ながら出かけないといけないのではないか脅迫観念を感じつつもんもんとしていると、ふと関係ないことが頭をよぎる。

 

そういえばスマホアプリがこれだけ音楽関係も出てきているんだったらラップとかのアプリおもろいもんがあるんちゃうやろか…、と。

 

あった。

 

その名もAutoRap。なんと言葉を入れたら自動的にラップ楽曲を作ってくれるというAI(人工知能)エンジン的なものだ。

昼の仕事はIT系なので、つい裏にある技術を考えて想像して概念を理解しようとしてしまう。職業病の一種かもしれないw

それがあるから、何が新しいかは仕組みとして把握できる素養がついてるとも言えるのだけど。

 

 

ダウンロードしてさっそく使ってみると、いろんなしゃべりかたを入れると、あっという間にラップにしてくれる。

ビジネスモデルはいろんな曲でこれを製作したければ、その権利を買えというものだ。

ビジネスモデルを考えてしまうのも昼のIT関連仕事の延長ではあるが、いちおう観察して「なるほど」と納得しておく。

無料で使える曲はたった3曲。

有料のものは有名曲も含め相当数あり、時限措置的に課金するようになっている。1ヵ月だと2000円とか、けっこういい値段。

アプリ内で作ったものをシェアして、いいものを見せ合うようなコンセプトだ。

 

作ってみると、言葉の発し方によりラップ化がいろいろ変化して、偶然にいいものが出来上がる可能性があるという感じ。

よく出来てる!

 

さて、音楽素材としてこれの利用を考えた場合、自動生成された自分の声とワードのラップは楽曲に組み込まれてしまっており、素材にはならない。ラップ化できるということは、その自分の声のラップのみを切り離せれば音楽素材として使えるが、まあそんなニーズで考えられたアプリでもないので、そういう機能はなかった。

 

と、ここまで来ると次の発想は、歌声のみを切り離せるアプリはないだろうかと(笑)。

 

あるやん!

 

DJ Voxchangerというアプリは、ボーカルのみを切り出して、ロボット声や男性女性、その他にチェンジしてしまうというもの。

機能すべて確認したいのでダウンロード後、480円払って全機能使える状態にしてみる。

これはアプリ内で閉じるのではなく、楽曲をクラウド側に送信し、そしてクラウド側のたぶんAIエンジンであろうものから返還してスマホのアプリにボーカルとそれ以外を切り離したデータとして戻すというもの。

 

 

そうか、クラウドやAIが普通にコンシューマーが使える範囲になっているわけだ。

スマホネイティブ世代はそんなこといちいち考えないだろうが、携帯はもとよりパソコン前夜から経験している私のような世代はその概念をいちいち考えて確認せざるを得ない(笑)。

 

このアプリは自分のスマホのiTunesに入っている楽曲のボーカルを変更して楽しむというものであり、では音楽素材として考えた場合に切り分けたボーカルを取り出したりする機能があるかと言えば、それはなかった。

 

だが…、

 

このアプリを作っている企業がMacのPCソフトとして、そのソフトをこないだ販売を開始したことに気付いた。

おっと、これは使えるかも。しかも、ドラムと楽器とボーカルの3つに切り分けると!

 

XTRAXというソフト。ダウンロード版のみで1万円。

安いと思うか高いと思うかは人によるだろうが、IT的な処理として考えるとめちゃめちゃ格安なのである。

 

ソフトを使ってみると、これもクラウドとたぶんAI処理を利用している。

wavファイルを入れて、高機能を利用するとクラウド側へのサインインを求められてアップ→切り分け処理→PCへ戻し。

けっこう時間かかる。

Wi-Fiなど高速ネット環境が必須のソフトであり、コンシューマーのPCがクラウドAIエンジンを普通に使ってることになる。

もはや時代は変わった。。。

 

 

ボーカル切り分け機能を試し、前述のAutoRapで自分の声を抽出すると、まま使えるレベルで切り出せた。

キースジャレットの唸り声を切り出せるかやってみたら、こちらはうまくいかない(笑)。

キースジャレットトリオをこのエンジンにかけてみると、ドラムも切り出せない。まあこれは想像できる範囲でもあったが。

 

もう一つGenericという機能があり、なんじゃこりゃと調べたらこちらはボーカル音声特性を切り分けるのではなくメロディを切り分けると。

 

なぬ?

 

では、、、ということでマイルスデイビスのとくに古いブートレグ(私的録音)音源はトランペット以外モコモコいってわかりにくいので、逆に切り出しやすいのではないかと瞬時にひらめきやってみた。

 

いい結果になるではないか。。。

 

ということで、いつもつかっているシーケンサーNativeInstruments社のMASCHINEソフトをバックにリミックス、再構成してみることに。

 

 

マイルスの音源はリバーブ加工して、音の立ち上がりをよくし、BPM320のバックにスピードを合わせるべく、1.25倍に編集ソフトで加工。

このバッキングに合うようにマイルスのソロはあちこち切ってマッピングしなおしている。

 

1.シーケンサーでのMASCHINEのバッキング

2.AutoRapで作った自分のラップ音声切り出し

3.マイルスのソロの切り出し

 

AutoRapソフトをいじっているとスマホのスワイプでスクラッチ音が出せることがわかり、それも音源素材としてみる。

 

4.スクラッチ音

 

 

これはスマホ画面だが、上記のターンテーブルを指でこすると、シュワシュワシュシュシュとスクラッチ音が見事に出る。

10万円以上の高いDJ機材買わなくても無料アプリで音源が手に入る。ひぇ~、時代だ。。。

 

このスクラッチ音も足して、フリー的高速4ビートドラム演奏を重ねてみたら、こうなった。

 

 

ヒップホップはレコードのドラム部分などを素材として、部分を切り出して繋ぎ合わせて発展した音楽だが、現在のテクノロジーを使えば音楽中の特定楽器を抜き出して、それを使える同じような考え方の発展系が出来る。

 

これもサンプリングだろう。

著作権としてはグレーというか、解釈によってはもちろんアウト。

ヒップホップの著作権の歴史はネットに記事あるので興味ある方は調べてみると面白いが、この動画の製作も同じである。

 

・ブートレグの音源の権利者は誰か?

・ソロフレーズは著作権をどう解釈するか?(←ずっと論争されている)

・ソロフレーズを分解し、スピードも変更してマッピングしなおしたものはどう考えるか?

・ラップは自分の声だが、特定の楽曲に合わせて作られたもののラップのみ切り出しの権利関係は?

 

クラウド時代、著作権はもはや時代に合ってないのはよく言われていることだが、創作活動は過去の人の創作物から発展させて作られていくことを考えるとグレーな領域を試したくもなるわけで、ただプロミュージシャンはその性質上やれない領域でもあるだろう。

 

ま、この動画はサウンド的には新しいものではないので製作過程の新しい試みということになるのでしょうね。

しかし、作るのは面白い!