妄想小説





〜4−3リーパー〜





ワルモワ州、一軒家


犯人である、バツ3お母さんの証拠を探す為

エドガーとイソノは、担当捜査官と共に

自宅訪問していた


そこには、母親が連行された事に

激怒する3人の娘さんが居た


それを宥めながら、二人の元ボーイフレンドが

何処に居るか聞き出していた


しかし、育った施設には帰っていなく

連絡手段も無く、分からないとの事だ


その間、エドガーとイソノは

家中を捜索し、証拠となる物を探していた


エドガー『警察の方や、鑑識さん方が既に調べていたはずです

それで、何も無かったと言うことは

何処か別の秘密場所があるか……

その手掛かりと、抜け目のある所を調べましょう

以前にも、枕の中の綿に麻薬を染み込ませていた事例がありましたので……

イソノは、この機械を使って

壁は勿論、タンスや机等に空洞が無いか見てください』



暫くして

ナプキンの中に、ポケベルが見つかった


エドガー『なかなか考えましたね……

流石に、一つ一つ袋を開けて見る事は無く

このサイズで連絡出来るツール……』


イソノ『懐かしいですな!

少し、感動的です!』


エドガー『最近は、レトロブームで

再発行してる物もありましたから………』


エドガーの動きが止まり

困った様子だ


イソノ『………ジェネレーションギャップ!

使い方が分からないのですね?

お任せください』


バツ3お母さんとボーイフレンドは

ポケベルで連絡を取っていたと踏んだエドガー


昔と違って、文字を打てる様に進化していた


文字数に制限があるので

どうしても、端的な文章になる事から

文脈から偽者だと気づかれる可能性は低い


一時間後に、公園に来る様にと送信したイソノ


その間、リーパー事件の現場映像が送られ

一通り見ていたが……


エドガー『……共通点……、共通点……

何か、共通点があるはず……』


何も分からずにいた……



そして一時間後、とある公園


ボーイフレンドが来ると睨み

確保の為、私服警官が配置に着く


ところが……



捜査官『………約束の時間から30分経っても

誰も来ないですね……』


イソノ『バレたのでは?

或いは、もう既にお亡くなりに……?』


エドガー『……犯行日には、怪しまれないよう

直ぐに通報した……

それから2週間……

周りには警察の方が居た事でしょう

口封じに始末する時間は限られています……

ポケベルの送信相手が偽者だとバレてたなら

合言葉を使っていたかもしれません……

始末したとしても、証拠もなく短時間に……

合言葉を使っていたのなら……

どちらにせよ、この事件……

思ったより厄介ですね……』


頭を抱え、焦りだすエドガー


エドガー『約束の時間から30分経っても来ない……

このまま、物的証拠が無ければ釈放される……

今の状況だと、手配書も作れない……

どうする……、どうしたらいい……』


イソノ『………はぁ〜、情けない……!

追い込まれたり、焦ったりすると

途端に、周りが見えなくなり

バカに成り下がる……

あなたの弱点ですよ?

しっかりしなさい!コタロー!

レベッカさんの事で焦ってるのであれば

一旦、頭の引き出しに仕舞っときなさい!

仕舞いましたか⁉仕舞いましたか⁉』


エドガー『う……うん……、仕舞った……』


イソノ『身寄りの無い子が、施設以外に

身を寄せる場所は!?

バツ3お母さんが、どういう指示をだしたのか

推測出来ますか!?』


エドガー『か……喝を入れてるのか、追い込んでるのか分からないよ〜……』


イソノ『えぇ〜い!それは失礼した!

ん〜〜と……!冷静なあなたなら、集めた情報を元に、現場や状況を

頭の中で球体の疑似空間を創り

あらゆる角度の視点から観察すると言っていましたよね!?

今!それが出来ていますか!!?』


エドガー『……で……出来てませんでした……』


イソノ『なら!創りなさい!

バツ3お母さんと娘三人衆の顔も見ました!

亡くなった旦那さんと、失踪した元ボーイフレンドが写った家族写真も見ましたよね!

登場人物は揃いました!

家の中も!犯行日に、それぞれの行動も

事情聴取で分かってますよ!

ほら!ここにもポケベルが在りますよ!』


エドガー『わ……分かったから……!

ふぅ〜……、状況整理……

あの日の行動……、一つ一つの発言と仕草……』


無理やり冷静に

一から事件を見直しだしたエドガー


エドガー『……え〜と、そうか……ポケベルも……

ポケベル……?

…………あっ!……はぁ〜〜……!!!

何てバカなんだ僕は……!

昔のポケベルは、数字だけだったのが

今や文字も打てる……

なら、他にも機能が足されてるはず……!

GPSや履歴機能など……』


イソノ『バカタレですな……

ジェシーに調べて貰いましょう』



ジェシーの調べによって

元ボーイフレンドのポケベルのGPSを辿り

場所を特定した


ボーイフレンドの姿は無かったが

バス停の側にあるゴミ箱からポケベルが見つかった


ポケベルの履歴は、受信履歴しかなく

送信履歴は付かない事だが

元ボーイフレンドのポケベルが見つかった今

受信履歴から、バツ3お母さんからの指示を確認出来た


エドガー『具体的な内容はありませんでしたが

容疑者として、十分な証拠です』


捜査官『しかし、有罪判決を下すには弱すぎる』


イソノ『やはり、実行犯と思われるボーイフレンドを探し出す必要がありますな……

他に手掛かりは……』


もう一度、ジェシーに連絡を取るエドガー


エドガー『………ジェシー!

最後に、ここのゴミ回収があった日は何時か分かりますか?』


ジェシー『えっとね〜……えっとね〜……

出たよ!

週に一度の回収で、5日前に回収してる!』


エドガー『なるほどですね……

ポケベルは、一番底にあった……

4.5日前にボーイフレンドは、この場所に居たとなると……』


辺りを見渡し、すぐ近くのお店の監視カメラを見つけたエドガー


4.5日前のカメラ映像を確認する

バス停とゴミ箱が映る映像によって

5日前の夕方に、元ボーイフレンドが映っていた


ゴミ箱にポケベルを捨てた後

バスに乗り込む姿まで捉えていた



エドガー『……映像の時刻から

18時15分のバスに乗ってる……

方向は山間部……

ジェシー……、バツ3お母さんか、或いは関わりのある人で、山間部に所有してる家とか別荘を持ってるか調べて欲しいです』


ジェシー『ちょっと待ってね〜…………

あらあら?バツ3お母さんの両親が、余生で過ごすために購入した山小屋がヒットしたわ!

両親は、既に亡くなっていて

今の山小屋の所有権は……、バツ3お母さん!』


エドガー『ジェシー……

本当に、頼りになります……!

愛しています!』


ジェシー『あら〜!やだぁ〜!

モテ期襲来〜〜!』



急いで、山小屋へ向かったエドガー達


その山小屋の窓は、外から頑丈な鉄板で覆い止められていて

ドアは、内側から開かない仕様に仕掛けられていた


中に入ると、元ボーイフレンドが生き倒れていた



救急搬送し、なんとか一命はとりとめた



病院内、集中治療室


捜査官『……施設にいる身寄りの無い子を使って

事故に見せかけたり、強盗殺人という名目の暗殺をしていたなんて……

終いには、実行犯である元ボーイフレンドを

口封じの為に、事態が落ち着くまで、山小屋へ行くように誘導し、閉じ込め

餓死させようとした……

なんて悪質で胸糞悪い……!』


エドガー『……きっと、元ボーイフレンドは

自分の居場所が欲しかったんでしょう……

そこに漬け込み、家族の一員に向い入れる条件として、旦那の暗殺を依頼した……

どうやって、娘さんとの交際に持ち掛けたかは分かりませんが……

現状を知った彼が目を覚ませば

全て話してくれるはずです』


捜査官『……ここから先は、我々だけで十分です

敢えて聞かないことにしましたが……

そちらの方で、何か重大な事がおきているんでしょう?

……行ってください!

ご協力!感謝します!』


エドガー『こちらこそ、お気遣い感謝します』



その頃、メンソー州では


デレクは再び現場へ戻り、捜索していた


クロードは、レイモンドと合流し

レイモンド達が気にかけてた

3件の犯行を調べる班と

一から調べ直す班と、2つに分けていたが

謎が多すぎて、一向に進まない


加えて、レベッカからの連絡も

まだ来ていない


レベッカが手掛かりを見つけ

飛び出した時から、6時間は超えていた


不穏が漂い始めた時、ズームを使って

エドガーも合流した



ワルモワ州、警察署


リーパーの資料は、警察署に届けられていたので

SSK本部へは戻らず

ジェシーとアシスタントも警察署へ集まっていた



アシスタント『………ダメです……

全員に共通する物が見つかりません……!

警察の方にも協力して貰ったんですが……』


エドガー『そうですか……

全員に共通する物………

い……いや、違う……!

それなら、レイモンドおじさん達が既に見つけているはずです!

………そうか!

クロード主任の先輩は、既に見つけていた!

先輩が存命していた頃の資料だけに絞って探しましょう!』


クロード『それなら、最初からの一年間だ』


エドガー『その先輩さんは凄いですね……』


クロード『まぁ、俺が知ってる捜査官の中で

あの人程、凄い人は見たことないからな……

エドガーに匹敵する頭脳と

レベッカの様に、機転が効いてズル賢さもある

もしかしたら、デレクよりも

心身ともに強い人で……

要するに、SSKのメンバーが

一人に集約されたと思えば分かり易いか』


アシスタント『最強じゃないッスか!』


クロード『……それでも、リーパーに負けた……』


資料を絞って、仕切り直す


エドガー『レベッカが見つけた手掛かりは

きっと、現場の写真に写ってる物だと思われます

全員に共通する物だとしたら、すぐに分かるはずですので……

資料に書かれてる内容も、徹底的に調べても見つからなかったとすると

写真に写っていて、誰も気に留めない何か……

2件か3件くらいしか、写ってない物……』


アシスタント『………あ!』


アシスタントの一人が、何かに気づいた様子だ

その挙動に、皆が一斉に視線を向けた


アシスタント『………あ……いや……

すんません……、僕が昔に飲んでたサプリと

同じ物があったので……

つい……、懐かしいな……と……

思っただけです……、はい……』


それを指差したアシスタント

それは、ストレスを軽減出来る

ストレスブレイクというサプリメント


皆が、冷たい視線を送る


エドガー『…………!

待ってください!

たしか、これにも同じサプリがあります!』


一同『……っえ……!?』


エドガー『デレク!デレク!

そっちの現場に、そのサプリはありましたか!!?』


デレク『ちょっと待て……

たしか……、そうだ!

戸棚に見た覚えがある……

…………あったぞ!

ストレスブレイクだ!』


一同『それかぁ〜〜!!!!』


エドガー『ジェシー!

販売会社と、取り扱っているお店を調べて!』


ジェシー『任せて任せて!

私を愛してる人からの頼みなら

フルスピードで調べるわよ……』


クロード『デレク!合流するぞ!

レイモンド!車の準備だ!

ジェシー!住所が分かったらメールを送れ!』


慌ただしく動いたクロード達


ジェシー『……出たわよ!

販売会社は、ネットショッキング!

店頭販売では扱ってなくて

ネット販売専門の会社……

いくつか支社があって、メンソー州の隣の州にあるわ!住所送るね!』


クロード『ジェシー!

今すぐ抱きしめて、キスしたいぞ!』


ジェシー『気持ちわるっ!』



その後、途中でデレクとも合流し

ネットショッキング支社へ到着したクロードとレイモンド


営業時間は終了していたが

幸い、責任者がまだ残っていた


事情を話すと、確かに数時間前に

レベッカが訪れ、顧客リストを請求していた


その顧客リストを確認すると

殺人者であり被害者でもある人達の名が連なり

ようやく、共通点が見つかった


ところが、レベッカは依然

行方不明だ



責任者『……たしかぁ、2時間前くらいまで

ジェイソンが対応していましたが……

気がつけば、いなくなっていて

ジェイソンによれば、帰ったと聞いています』


クロード『くそ……!

まさかアイツ……!

本当に一人でリーパーを捕まえる気か……?』


デレク『……エドガー、顧客リストに、ほぼ全員の名前を確認した

リーパーは、ネットショッキングに勤めてると考えていいんだな?』


エドガーと、電話で状況をやり取りするデレク


レイモンド『全従業員は、400人を超えてる……

そこから、どうやってリーパーを見つけるか……』


エドガー『絞り込む条件は一つです……

10年ほど前、コルト州で勤務していた経歴があり

今なお、在籍している人で

当時から、顧客リストを自由に閲覧出来た人物……

それがリーパーです』




その頃、一人で捜査していたレベッカは

リーパーである、ジェイソン·クルーガーに

囚われていた


とある空き家


両手両足を縛られ、身動き取れないレベッカ

側には、ジェイソンが興奮していた


ジェイソン『ハァハァ……

君で二人目だぁ……

僕を見つけ、ここまで辿り着いたのは……

ハァハァ……、素晴らしいよ……!

堪らない……、ハァハァ……!』


レベッカ『………ジェイソン·クルーガー!

アンタだったのね……!

まさか、目の前にリーパーが居たなんて……!』



リーパーによる前戯が始まろうとしていた






つづく〜