妄想小説






〜事後〜





それから無事

コギャルからサメナサレズの特効薬を受け取り

立花刑事の容態は回復した


爆弾犯は勿論、ワルモーノ製薬会社には監査も入り、配信動画をキッカケに告発者が出て

被害者も、明るみに増えていき

大変な事が起きて倒産した



警察本部、エントランス


事柄が終わり

エドガー達は、帰路に着こうとしていた


佐藤警部『助かったよ

お前達が居なかったら、暗号すら解読出来ずに

更に被害者は増えていた

けど、いいのか?

モンゴメリーを取り逃がしたままで』


エドガー『パンドラは、我々には知り得ぬ犯罪者や組織犯罪の情報を持っています

監視だけは続けて、そこから我々も情報を掴む作戦です

それと……

俺達だけで、事件を解決した訳じゃ無いっしょー

パーティーメンバーだからイェイイェイウォウウォウだヨー!』


佐藤警部『………前から思ってたんだが

その二面性には戸惑うな……』


このやり取りを

少し離れた所で見ているレベッカと

今度こそ帰れる事になったミナト


ミナト『……何だぁ?あの変わりようは?

………はは〜ん

さてはアイツ、友達居ねーな……

淋しくて、変な方向にキャラ作りしたな?』


レベッカ『アンタ、そんな事も分かるのね

ウチのプロファイラーも同じ事言ってたわ』


ミナト『別のキャラに変えないと淋しいままだぞ?

つーか、テメェ等

早い段階でパンドラを見抜いてたんなら

寝泊まりした時、起きとけよ!

みんな寝やがって!

パンドラに詰め寄り過ぎて、殺られると思いながら寝れなかったんだぞ!?

メッチャ怖かったんだからな!』


レベッカ『なに言ってんのよ?

エドガーが起きてたじゃない』


ミナト『バカかテメー!!

コタローは頭いいが

あんなヨーガリーヒーガリーの体で

殺人者を抑えられるわけねぇーだろ!!!』


真っ当な正論に返す言葉も無いレベッカ


レベッカ『……はぁ〜………

それより、トイレでパンドラと二人きりの時

何を話してたの?』


ミナト『教えるわけねぇーだろ!

今度こそ帰るからな!

じゃーな!ブラック企業!』


レベッカ『待ちなさい!

まだ聞きたい事があるわ!』


ミナト『い〜かげんにしろよ!!!

風呂も着替えもしてねーから

インキンにも恐怖してんだぞ!!』


レベッカ『アンタが拷問したワルモーノ製薬の幹部達は、怪我もほぼ治り

今は、もう尋問を受けているって聞いたわ

なんでも、フォークの刺し傷は浅く

血管を避けて刺された程度……

骨折した部分も、関節が外れてただけで

治療は傷の消毒だけ……

あんな悪党なら

本気で痛めつけても良かったのに……

私なら、そうしたわ』


ミナト『……………

受け売りだよ……

どんな悪党でもイカレクズ野郎でも

誰にだって、一度くらい

やり直せるチャンスはあっても良いんじゃないか

ってな、そんだけだ……』


レベッカ『あっそ……、浅い考えって事ね』


ミナト『んだと!テメーコラァ……!』


レベッカ『……アンタ!

ウチのSSKに入らない?

誤解されやすいようだけど

きっと、歓迎されるわよ?』


ミナト『はいぃ〜〜……?

やれやれ……、今度また月本国に来たら

ヒラヤチー食べさせてやるよ

それまで、凶暴になるなよ?』


レベッカ『…………?』


やっと帰れたミナト

エドガー達も、カメリア国に帰る為

空港へ向かった



そして、カメリア国に居るクロードとデレク

エドガー達が月本国へ行った為

二人が主軸となって

警察から捜査協力を受けていた


それは、下着泥棒を捕まえる要請だった

思いのほか苦戦し、捕まえるのに3日掛かった


クロード『はぁ〜〜、疲れた〜〜

……そりゃそうだ、俺達に依頼が来たという事は

難解だって事なんだよな……』


ジェシー『でもでも〜!

デレクのプロファイルで、犯人の好みの女性や下着を特定して、逃走経路まで見抜いたのは

カッコ良かったね!』


デレク『それでも、どう捕まえるかは

悩みどころだったがな

皆の知恵で解決したんだよ』


ジェシー『やだぁ〜、皆へのフォローもして〜

もう、惚れちゃうじゃな〜い!』


デレク『なんだ、まだ惚れてなかったのか?』


ジェシー『そんな事ないじゃ〜ん!

ウフフフ!』


クロード『ま〜しかし、下着泥棒が

まさかの女だったとは……

先入観に囚われ過ぎたな……

何はともあれ、お疲れさん!

ゆっくり休めよ!』


皆が帰ろうとした時

デレクだけ、クロードに呼び止められた



オフィスで二人きりになった

クロードとデレク

話があると言ったクロードだが

なかなか切り出せずにいた


デレク『………もしかして、レベッカの事か?』


クロード『……あぁ、そうだな……

参ったな、ここでは隠し事は出来ないみたいだ』


デレク『安心しろ……

俺は身内をプロファイルしない

今のはなんとなくだ……

誰にだって言いたくない事はある……

こっちから聞く事はしないさ

話したいと思ったら、遠慮なく言ってくれ

今日はやめといて、また今度にするか?』


クロード『いや、大丈夫だ……

もっと早く言うべきだった……

レベッカの相棒である、お前には特にな……』


デレク『………………』


クロード『お前なら、気づいていると思うが

レベッカには、内なる凶暴性が眠ってる……

それは、元からなのかは分からんが

少なくとも、16年前の、ある事件から

それはあった

その当時、俺は先輩とバディを組んでたんだ

その先輩が、前に話した

リーパーの……被害にあった人だ……』


デレク『たしか……、リーパーの正体に近づいて

逆に可怪しくされたって言う……』


クロード『あぁ、そうだ……

16年前、一家三人を襲った殺人事件が起こって

俺と先輩が捜査担当になった

被害者は、父親と母親、一人娘は無事だったが

現場は悲惨だった……

凶器は包丁で、数十か所も刺し傷があり

死因は出血死……、苦しんだだろう……

そして、その無事だった一人娘こそが

当時、まだ10才だったレベッカだ……』


デレク『………マジか……!

確かに、その出来事がトラウマになり

凶暴性が目覚める事もある………

………そうか!

だから、リーパーには関わるなと

過剰になってた訳か』


クロード『あぁ、そうだ

どうやってか、リーパーは

少なからず、人が持っている

小さな凶暴性を過剰に肥大化させる事が出来る

元から、大きな凶暴性を眠らせてるレベッカには

余りにも危険な存在だ……

だから、デレク……

レベッカの相棒として、リーパーに関わらないように見張ってほしい!』


デレク『………分かった、それは任せてくれ

だけど………、それだけじゃない気もするが……?』


クロード『……流石だな……

実は、あの事件当時

留学生で、月本国から来ていた学生に

レベッカの記憶から、その事件の記憶を消すように依頼したんだ……

そして、レベッカには、両親は車の事故で亡くなったと、記憶をすり替えた

もし、リーパーと関われば

凶暴性だけじゃなく、その消した記憶も蘇ってしまうんじゃいかと……』


デレク『なるほど……

つまり、普段から消した記憶の様子も見ればいいんだな?』


クロード『……お前以上に適任者はいない……

だから、あの時の出来事を全て話す……』


クロードは、16年前の出来事を全て話した

記憶をすり替えた後、レベッカは施設へ送られ

施設で育ち、猛勉強をした後

FBUへ入った

その間、クロードは

施設へ何度もレベッカに会って

気にかけていた


それはもう、親子のような感じだと

周りの人から思われていた程だ


デレク『……なるほどな

そんな過去があったのか……

二人の信頼関係が厚いのは

親子の様な長い付き合いがあったからなんだな』


クロード『実の娘のように見てきたからな……

アイツが警察官になりたいと言ってきた時は

どうしようかと思ったよ』


デレク『そう!それだ!

ずっと気になってたんだ

レベッカの深層心理なら

適正テストで落とされる筈なのに

どうして受かったんだ?

それに、警官を目指してたのにFBUって……』


クロード『あ〜、実はな……

お前の言うように、適正テストは落ちたんだが

それでも、試験官は悩んでたんだ

何しろ、警察学校での成績は

歴代でもトップクラスだった

そこで、昔からの付き合いだった

俺が手綱を引く事を条件に

必然と警官ではなく、FBU捜査官になった訳だ

いや〜、めちゃくちゃ修羅場だったぜ?

レベッカは、警察官になるのが夢だったからな

引き抜きで選ばれたんだと

なんとか説得して、今に至るってな……

ちなみに、手綱を引く事も秘密にしてくれ』


デレク『………何と言うか……

子離れ出来ない親バカみたいだな……』


クロード『うっ……、そうかもな……

同じ職場で働く事になったから

そこでは、上司と部下の関係にメリハリをつけろ

と言ったんだが……

やっぱり……

いつものように、オッチャンって呼ばれたい……』


デレク『………親バカだな、こりゃ……』



そして

協会メンバーの協力者によって、エドガー達から逃げ出す事に成功したモンゴメリーは

とある国のとある場所へ連れて行かれていた


部屋の中は豪華で

皇室の様なきらびやかさだ


モンゴメリー『ここが何処か……は、教えてくれませんよね?』


協会メンバー『当たり前だ、無駄口を叩く前に

身だしなみを整えろ

間もなく、王がお見えになる』


モンゴメリー『まさか、こんな初っ端から

皇帝と呼ばれる人物に会えるとは……』


協会メンバー『勘違いはするなよ

こうなる事は予見済みだ

お前が、どうこうだからじゃない

全ては、王の手の上……

ただのコーヒーブレイクと一緒だ』



そこへ

一人の人物が部屋の中へ入って来た


軽やかに、そのまま

ご立派な高価な椅子に腰を掛けた


モンゴメリー『…………こりゃ驚いた……

これ程の組織と人材を束ねる人物が

こんなに若いとは……

30代半ばと言ったところか……』


カチャ……

モンゴメリーの発言に対して

協会メンバーが銃を構えた


モンゴメリー『………これは失礼した

驚きのあまり、無粋な事を……

女性に対して紳士的では無かった』


シャーロット『構わないわ

私は、シャーロット·ホーム

年齢は、貴方の読み通りよ

それと、気を遣うのもやめなさい

私を引きずり落とし、組織を乗っ取るつもりの

ジェームズ·モンゴメリーさん?』


モンゴメリー『…………それを見抜いていながら

組織の加入を認め、謁見までした理由は?

手早く処刑する為ですか……

いや、それなら道中で事済む……

そうか……、利用価値か……』


シャーロット『貴方が知能の高い人物という事も

野心家で支配的、縛られるより縛りたいタイプ

どちら側にしても、危険人物である貴方を警戒するのは常套手段……

それでも、協会が得られるメリットは大きい……

5年費やす事業を、貴方なら2年に短縮出来る

その後の扱いは、貴方の誠意次第かしら』


モンゴメリー『………やる気が削がれましたよ……

元の計画では、幹部を数人……

裏切り者だと捏造し、それによる損害を

余りある補いによって、私の実力と信頼を見せつけ、幹部へのし上がり

そこから、貴方と対決したかったのですが……

何もかも見破られていたようですね……

無意味なやり取りは省き、お互いの目的の為に

動いていいと解釈しても宜しいかな?』


シャーロット『いいわよ

2年後には、この椅子に座ってるのが

私か貴方……

その勝負、受けて立つわ』


こうして、お互いの目論みを知りながらの

敵対する協力という

奇妙な関係を結んだ



舞台は再びカメリア国へ


月本国から帰還したエドガー達

SSKオフィスへ戻り

事の顛末と、モンゴメリーとの

暗黙の同盟話をクロードに報告


これについての決定権は

スティーブ知事に仰ぐ事にした



マルモワ州、議事堂


スティーブ知事と面会を果たし

同じ話をするクロードとエドガー



スティーブ『………そうか……

あのモンゴメリーが、手を焼く程の組織……

危険度が高いのは理解した

言わば、モンゴメリーの犯罪行為を免責事項にし

その組織を潰す……

だが、我々がそうすると見込んでの

モンゴメリーが作った

架空の組織とも考えられる

奴は、人を騙すプロだ

組織が存在する根拠はあるのか?』


エドガー『物的な根拠はありません……

ですが、モンゴメリーの

これまでの行動の流れから推察するに

組織は存在する可能性が高いです

仮に作り話だとして

その辻褄合わせの為に、わざわざ慣れない土地の月本国へ趣き

警察本部へ侵入までしたのは

モンゴメリーにとって、リスクが大き過ぎます

しかも、当初は我々にバレないようにしていました、我々が月本国へ行かなければ

騙すのも出来ないまま……

何より、モンゴメリーの性格から考えるに

例え架空でも、自分より優れた人物や組織の存在を許すはずありません

協力関係を結ぶなら、自分しか知り得ない

犯罪情報をもとに交渉する

それがジェームズ·モンゴメリーです』


クロード『知事……、これは私達の間でも

何度も吟味し、出した答えが

モンゴメリーを利用し

その組織を暴く事です……

しかし、それには

国際指名手配犯の犯罪行為を黙認する事と同じ

そして、知事が如何なる決定を下しても

それに順次する事も決めています』


スティーブ『まったく……

上に立つ者の責務ときたら………

なら、一つだけ……

予想でも構わん、その組織の活動についての見解をどう見てる?』


エドガー『………これまでの状況や

モンゴメリーとの会話等から察するに……

国際レベルの事態になるかと……

月本国のノザワ総理と接触し、入社試験と言ったところから、ノザワ総理は組織のメンバーと思われます……

政治のトップクラスの人が犯罪組織に加担……

月本国だけなら、モンゴメリーにとって脅威にはならない……

そうじゃないとすれば、複数の国の権力を利用出来る犯罪組織という事になります

分かり易く言うと、陰謀論そのものの様な……』


スティーブ『政治家だと…………!

もしかしたら…………!

気が変わった……、私が何故

SSK捜査機関を創ったと思う?

特別活動権限を持たせた意味は分かるか?』


クロード『事件のスピード解決により

それ以上の被害者を出さない為……

規則やルールによって、犯罪者を取り逃すリスクを無くす……』


スティーブ『そうだ、表向きはそうであり

そうする事は事実だ……

だが、本当の理由はそれだけじゃない……

話すタイミングは少々早かったが悪くは無い

難しい局面にいる、今の君達には酷だが……

さっきの話とは無関係では無くなった

そして、建設が始まったSSK本部が完成した瞬間

特別活動権限は一段階高くなる

今は、私に一報を入れるだけで

警察とFBUを自由に動かし

特殊部隊の指揮も出来る……

それが、私を介さずして

君達が直接命令出来る権限になる事だ!

カメリア国の大統領……

つまり、国そのものがSSK捜査機関を認めたのだ

これまでの実績で、反対の理由は少ないからな……

そして、こうなる時を私は待った!

何故なら、現大統領である

レイモンド·キャンベルは

ある秘密結社の一人だ!

重要な事は

結社に丸め込まれた大統領じゃない!

大統領が結社のメンバーだ!

その結社は、協会と呼ばれてる組織!

国家権力を相手にするも同然の事態!

これまでの捜査機関では、もみ消される!

だからこそ!SSK捜査機関を立ち上げ

協会組織を暴く為に創った!』


エドガー『……!!

それじゃあ……!

モンゴメリーが言っていた組織というのは……!』


スティーブ『きっと、協会の事だろう』


クロード『………頭がパンクしそうだ……

猛烈に辞職したくなったぞ……』


スティーブ『決まりだな!

モンゴメリーとの協定を認める!

だが、SSK本部が完成し

特別活動権限が上がるまでは大人しくしていろ

盤石が出来た時、君達の判断で動け!』



こうして、半年の後

SSK本部が完成し

新生SSK捜査機関が始動した




エドガー『協会か………

これは、あと4人……

少なくても二人……

強力なメンバーを集めないと

勝てないかも………』


一人、エドガーは呟いた







つづく〜