妄想小説





〜街風〜




其の十八




白丘高校、生物室




セック○依存症になってしまった助男

原因は天川の分析通りだろう

繰り返し再現を求め、無意識に自信を無くして

満足出来るよう、何度もヤリたくて仕方ない


助男の相談を聞く筈だったが

今、この場に集うのは変態達、これだけの曲者の中で、何も起こらないわけがない


ナナ『助男さん!具体的に、どのように興奮するんですか!!?アダルトを見てる時の感じですか!!?』


助男『それ以上だ!常に目の前に出雲が誘惑してる感じで、あとは何か、やらなきゃいけない使命感というか、落ち着かないんだ』


貞彦『助男さん、まさかナナさんとヤリたいと思ってないでしょうね!!?』


助男『思うかよ!こんな変態女と!!』


貞彦『ナナさんを侮辱するなぁーー!!!』


拓雄『ナナ氏〜、この机、古くなって味が出て

とてもいい感じだよ〜〜』


ナナ『アンティークな感じもイケるのか……!』


岩子『あんた達、少し落ち着いたら?

天川先生、何とかならないかしら?』


天川『ほっほっほ……

その方法が全く分からない』


とにかく、話がまとまらない

貞彦は、助男が女を狙ってると思い込み勘違いで熱くなり、

助男は、何故こんなに絡まれるのか分からず混乱している

女は、オスが、メスの取り合いをしてるのだと自惚れ

拓雄は、物言わぬ物に夢中だ

岩子は、この事態を収束しようと、頭を抱えている

天川は、傍観し楽しんでいる


岩子『アンタ達!少しは落ち着いて話も出来ないの!!』


助男『俺はただ相談してるだけだ!!』


貞彦『そんな訳ないでしょ!!

アンタ奥さんが居ながら、こんな……!!

浮気者ーー!!!』


助男『うるせーよ!!!

何でそんなに絡まれるんでくるんだよ!!!?』


ナナ『岩子さん!凄いね!

私を取り合ってケンカしてる!!』


岩子『おだまり!!!!』


拓雄『時代を感じる物が溢れてるよ〜〜、

学校とは盲点だったな〜〜』


天川『拓雄君、喜んでもらえて良かったよ』


助男『何しに来たんだ!あのキモ男は!!!』


ナナ『う〜む、これだけ騒がしくても夢中になれるのか……』


岩子『ナナ!!この二人のケンカ止めなさいよ!!』


天川『ふむ、貞彦君も高校の時より、ずいぶん社交的になったもんだ』


岩子『何でアナタはそんなに落ち着いていられるのよ!!?』


天川『僕は生物学として、人間観察をするの当然の楽しみであり、それによって、新たな発見もある、ほっほ!真に楽しい!!』


拓雄『ナナ氏〜〜、チョークって儚いよね〜、

身を削って文字を書いても、すぐに消されるんだから〜〜』


もう、ヒッチャカメッチャカである

痺れを切らした岩子が貞彦を力尽くで押さえた

二人のケンカは一旦収まった


助男『とにかく!こういう相談が出来るのは、

出雲以外に変態女しかいねーんだ!!

出雲にも相談したが、私より変態女の方が力になってくれるかも、って言われた!!』


ナナ『私は、ただ性態を調査するだけで……

……えーと……、専門の医師に相談したほうが……』


助男『……なるべく、病院には行きたくないんだよな……』


天川『…………!ふむ、なるほど病院で良い思いをしなかったようだ……』


助男『まぁ……、いろいろあって……』


ナナ『ん〜〜、岩子さん…、どうしよう……』


岩子『はぁ〜、だから日常の外から観察しなさいって言ったのよ……』


貞彦を押さえつけながら嘆く岩子

悪い予感が当たった

女は調査対象と距離が近すぎる故

トラブルに巻き込まれ易いのだ


天川『……なら、助男さん、取り敢えず、解決策が見つかるまで、応急処置として拓雄君を側に置いとくといいだろう』


岩子『何でそうなるのよ?』


ナナ『あ〜〜!!そっか!

キラインさんは、きっと人の変態エナジーを消す事が出来るんですよ!!』


岩子『なるほどね、それで性欲を抑える事が出来るのね』


助男『何となく理解出来るが、

…………この男を家に連れ帰るのか……?

いや、そもそも、この男にも事情があるから、迷惑な話だろう』


拓雄『こ、この顕微鏡…………、

ん?なんだい?みんなして僕を見つめて、

あ!ごめんよ〜!皆のこと放ったらかしにして、

寂しい思いさせてしまったんだね

皆には、もう背中は見せないよ〜!』


ナナ『キラインさん、お願いがあります

暫くの間、助男さんと奥さんの出雲さんと一緒に

3人で暮らしてほしいんですけど……

どうかお願いします!!』


拓雄に頭を下げる女


拓雄『頭を上げてくれよ〜、ナナ氏〜

僕は皆の恋ごころだよ?

ファンの願いを叶えるのは当然だよ〜』


ナナ『そっか、良かった

助男さん、これで暫くは安泰ですね!』


助男『えぇぇ〜〜………、

仕方ない、出雲の為でもあるからな、

だけど、出雲が反対したら別の方法を探さなければ………、出雲が反対しますように〜……』


助男のささやかな願いは叶わず、暫く3人で暮らす事になるのである


ひとまず、助男と拓雄は、この場から一緒に帰っていった


岩子『あんた、天川先生がいなかったら、どうするつもりだったの?』


ナナ『あ〜……えーと……、天川先生、ありがとうございました』


天川『うむ、どうやら君は、相談役としては向いてないようだ』


ナナ『む〜……、ムカつくけど言い返せない』


貞彦『ん〜〜……!ん〜〜……!』


その間、ずっと岩子に押さえつけられていた貞彦が苦しそうである


岩子『あ、しまった、

ほら!起きなさいよ!』


貞彦『……良かった、てっきりナナさんが助男さんに口説かれてるかと……、また取り乱してしまった

あ、ナナさん今日も綺麗ですね!』


ナナ『ひょえ……!!

そ、そうかな……?ありがとう……』


急な褒め言葉に驚いた女

喫茶店に来る前、岩子が貞彦にアドバイスした事を実行したのだ


天川『そうだ、貞彦君、君に会わせたい人達がいるんだ、丁度いい機会だ、呼んでくるから待っててくれ』


その会わせたい人達とは……




一方、一緒に帰ることになった、助男と拓雄は、

交差点で信号待ちしていた


拓雄『ねぇ、ねぇ助男氏〜、信号って健気だと思わない?

皆の安全の為に一生懸命働いて、誰にも感謝されずに、

皆がいなくなる夜中にポツンと取り残され、寂しそうで可愛そうだと思わない?』


助男『ひぃ!ひぃぃ〜〜〜!!!!』



またしても、都市伝説が生まれた

“街に漂う静かなる悲鳴“と……





つづく〜