妄想小説




〜街風〜




其の十四




アカミ町、春菜原にある喫茶店、緑の木


女が秘密にしていた事実が、初対面の男によって

明るみに出された


天川『やはりそうか』


貞彦『……ナナさんが処女………って………』


童貞の顔がニヤついている


ナナ『どうして分かったんですか…?』


天川『貞彦君の、具体的には、の問いに対する君の反応で仮説が生まれた、

経験を積んでいるなら、自身の体験、或いは、こうされたらより良い関係を築けるなど、一つや二つ、直ぐにでも答えられるはずだが、

君はためらった、……分からないから、

それは君自身が、まだ経験していないから、と』


ナナ『で、でも!それだけでは……!!』


天川『そう!

確かに、それだけでは断言出来ない

…………だから、視てみたんだ………』


ナナ『な、何を…?』


天川『君の身体の周りにある、一般的にオーラと言うべき物を……』


ナナ『……………!!!!!!!!

あ!!あなた!!!まさか!!!!!!』


今日、三度目の初めて…

この天川という男、なんと!

女と同じで人の変態エナジーが見えるのだ!!


女は驚愕した

自分だけが視えていると思ってたものが、

まさか、他にも視えている変態がいたとは


ナナ『あなたも変態エナジーが視えるんですか!!!!?』


天川『ふむ、変態エナジーと言うのか……

なるほど、確かに理にかなってる、人が性的興奮した時に必ず現れる現象……、変態エナジーか……

ほっほっほ……真に楽しい!』


水と油の様なこの二人に、まさかの共通点が…


何だか分からないが、童貞男は嫉妬していた


天川『貞彦君、どうやら君の悩みは彼女じゃ解決出来ない、彼女も経験者では無いか………、

………………?』


貞彦『……そう……ですね……

ありがとうございました……』


天川『………!!ほーー!

では、貞彦君、僕はこれで失礼する、真に有意義な時間だった、後は二人だけの時間を楽しんでくれ、応援している』


ナナ『あ!?』


満足気に天川は立ち去った……


ナナ『ごめんね、貞彦の力になれなくて…』


貞彦『あ、いえ…話を聞いてくれただけでも……

ありがとうございます』


ナナ『ふふ、貞彦は本当に良い子だね!

さっきの無神経な男とは大違い』


貞彦『あ!ごめんなさい!

僕が会わせたばっかりにナナさんを傷つけてしまって!』


ナナ『いやいや!貞彦は悪くないよ、悪いのは全部あの男!!』


貞彦『あはは!そうですね、悪気は無いと思いますけど、失礼しすぎでしたね!』


なんとなく、二人の空気は和やかになった


ナナ『じゃあ、一緒に帰ろうか』


貞彦『………!!!!!!!ナナさん……、それは、一緒にまたホテルに行くって事ですか!!?

お互いの卒業式をすると言う事ですかーー!!!!?』


ナナ『いぃーーー〜〜〜!!!?』


和んだそばから、再び男と女の火花が飛び交う

男と女の攻防戦、再戦開始!!





喫茶店、緑の木付近の通り


天川『…………………!ほー……』


喫茶店の方を振り返る天川、

そこから漏れ出す貞彦の変態エナジーを感じ取っていた


天川『ほっほっほ……真に楽しい!』




つづく〜