田辺市の山間の集落、自力で復興へ一歩 区長の谷口さん獅子奮迅
産経新聞 9月9日(金)22時41分配信
台風12号で大きな被害を受け、死者・行方不明者5人を出した和歌山県田辺市の伏菟野(ふどの)地区が、県や市の支援を待たずに自力で復興へ立ち上がろうとしている。中心となっているのは区長の谷口順一さん(62)。県災害対策本部が例外視する、現地での仮設住宅建設にほぼメドをつけた。
伏菟野は200年以上続く伝統の獅子舞とホタルの乱舞で知られる静かな集落。4日未明になだらかな山の斜面全体が崩れ、今も3人の行方不明者の捜索が続く。
谷口さんは被災当初から家族を失った被災者を励ましつつ、元県職員という経験を生かして各機関への対応に奔走。捜索隊が重機搬入路を造るために田を潰す案を打診したときは、所有者をおもんばかって別ルートを探し出すなど気配りを忘れなかった。
そんな中で急浮上したのが住宅問題。和歌山県は今回、基本的に仮設住宅を建設しない方針を7日に提示。今年4月に東日本大震災の被災者支援のため県営住宅や市営住宅の空き家を調査し、約220戸の空きを確認していたからだ。担当者は「仮設を建てるには時間が要るが、空き家はすぐに入れる」と話す。
しかし、伏菟野の近くに公営住宅はない。谷口さんは、すぐに自宅が全半壊した6世帯から意見を集めた。その結果、1世帯が「集落より下(しも)の方へおりる」と答えたが、他の5世帯は「集落を離れたくない」と回答した。
「集落内の仮設住宅建設が遅れれば、被災者の将来への不安が増大する」。こう考えた谷口さんは、5世帯分の仮設住宅を建てられそうな空き地をリストアップ。土地所有者との相談を急ピッチで進めた。「最初は小学校のグラウンドに仮設住宅を建てようとしたが、『子供の授業ができなくなる』と被災者自身に断られた。でも集落のみなが一つの地域としてやってきた。だから協力してくれるんです」と話す。
神戸へ単身赴任中の真砂(まなご)恵一さん(61)は、被災直後に妻の幾子さん(61)からかかってきた電話での第一声が忘れられない。「『家、ないで』。何を言うてるのか分かりませんでした」
谷口さんは「行方不明者の捜索が最優先。3人が見つかって初めて、一歩前へ進もうという話になる」。
真砂さんの家族も、谷口さんの目指す仮設に入居し、集落に残るつもりでいる。
伏菟野は200年以上続く伝統の獅子舞とホタルの乱舞で知られる静かな集落。4日未明になだらかな山の斜面全体が崩れ、今も3人の行方不明者の捜索が続く。
谷口さんは被災当初から家族を失った被災者を励ましつつ、元県職員という経験を生かして各機関への対応に奔走。捜索隊が重機搬入路を造るために田を潰す案を打診したときは、所有者をおもんばかって別ルートを探し出すなど気配りを忘れなかった。
そんな中で急浮上したのが住宅問題。和歌山県は今回、基本的に仮設住宅を建設しない方針を7日に提示。今年4月に東日本大震災の被災者支援のため県営住宅や市営住宅の空き家を調査し、約220戸の空きを確認していたからだ。担当者は「仮設を建てるには時間が要るが、空き家はすぐに入れる」と話す。
しかし、伏菟野の近くに公営住宅はない。谷口さんは、すぐに自宅が全半壊した6世帯から意見を集めた。その結果、1世帯が「集落より下(しも)の方へおりる」と答えたが、他の5世帯は「集落を離れたくない」と回答した。
「集落内の仮設住宅建設が遅れれば、被災者の将来への不安が増大する」。こう考えた谷口さんは、5世帯分の仮設住宅を建てられそうな空き地をリストアップ。土地所有者との相談を急ピッチで進めた。「最初は小学校のグラウンドに仮設住宅を建てようとしたが、『子供の授業ができなくなる』と被災者自身に断られた。でも集落のみなが一つの地域としてやってきた。だから協力してくれるんです」と話す。
神戸へ単身赴任中の真砂(まなご)恵一さん(61)は、被災直後に妻の幾子さん(61)からかかってきた電話での第一声が忘れられない。「『家、ないで』。何を言うてるのか分かりませんでした」
谷口さんは「行方不明者の捜索が最優先。3人が見つかって初めて、一歩前へ進もうという話になる」。
真砂さんの家族も、谷口さんの目指す仮設に入居し、集落に残るつもりでいる。