さて今回のスペースシャトルの最後のフライト。実はNASAのルールでは、本来、打ち上げることのできないものでした。というのも2003年のコロンビア事故以来NASAはシャトルを打ち上げる時には必ず予備の機体を用意し、万一に備えた緊急の救助態勢を整えるルールを作りました。しかし・・

3機あったシャトルのうち「ディスカバリー」と「エンデバー」が引退し今回の打ち上げで予備機はありません。そこでNASAは「万一」の際3人乗りのロシアの「ソユーズ」2機で救助にあたるルールに変更し乗組員の数も通常の7人から4人に減らすことで今回のラストフライトが実現したのです。

NASAがそこまでラストフライトにこだわったのは、シャトルでなければ宇宙に運んだり、地上に持ち帰ったりできない荷物があったからです。地上400キロの軌道を回る国際宇宙ステーションはすでに完成し常時6人が長期滞在しながらさまざまな宇宙実験などを行っています。

今回のラストフライトは、実験のための多くの物資を運ぶ事が最大の任務で、6人の宇宙飛行士の半年分の食料や実験装置、中でも燃料が尽きた人工衛星に宇宙で燃料を補給する技術のための大型実験装置の輸送は、シャトルがなければ少なくとも4年間は打ち上げられないものでした。

また宇宙ステーションの運用に不可欠な冷却装置の修理方法を見つけるため、今回故障した装置を地上に持ち帰るにもシャトルが必要でした。宇宙飛行士の若田光一さんは「アメリカがロシアに協力を求めてまで実現にこぎつけたことは今回のミッションがいかに重要であるかを示している」と話しています。

2011/07/09 00:14
NHK科学文化部より転載