ほかの土地に移りたい3割超・津波のまちでは4割超
産経新聞 [4/9 18:53]
死者、行方不明者が合計で2万7千人を超えた東日本大震災は11日で発生から1カ月を迎える。産経新聞社は被災地域の復興に詳しい大阪市立大学の宮野道雄副学長の協力を得て岩手県と宮城県の主に津波被害にあった被災者102人にアンケートを実施した。回答者の6割以上の自宅が流失か全壊、全体の3割以上が「土地を離れたい」と望んでいることが判明した。その理由の大半は「津波の恐怖から逃れたい」だった。

調査は3月25~30日、岩手県宮古市田老地区と仙台市若林、宮城野両区、宮城県女川町の避難所で、被災者に聞き取りを実施。

いずれも津波被害地域で、特に田老は過去の教訓から高さ10メートルになる国内屈指の防潮堤を築いたが防潮堤を越えて波が押し寄せ多大な被害が出た。田老42人、仙台49人、女川11人の男女102人から回答を得た。

調査によると、回答者の家屋の被害程度は「全壊」または「津波による流失」が68人(66・7%)で、「半壊」や「一部損壊」、「水損」を含めると96・0%が被害を受けた。家族が死亡・行方不明の人は23人(22・5%)だった。

「将来、この土地を離れ他の土地に住みたいか」という問いに、「離れたい」との回答が全体の32・9%。田老は45・2%で、仙台・女川の23・6%を上回った。田老では女性の半数以上の56・5%が高台や市街地への転居を望んだが、男性は33・3%にとどまった。

年齢別では若い世代ほど、土地から離れたい人の割合が多かった。

一方、「離れたくない」と答えたのは全体の42・3%。田老で40・5%、仙台・女川では43・6%で、4割程度の人が慣れ親しんだ土地への愛着を示した。

産経新聞社が平成7年1月の阪神大震災の発生1カ月後で行った避難所アンケートでは、310世帯の88%が「神戸を離れたくない」と回答していた。

宮野副学長は「土地から離れたいという人がこれほど多いのは意外」と述べ、「被災後間もなくの調査で、特に田老は、防潮堤を越えて襲ってきた津波への恐怖が影響している可能性がある」と分析した。阪神との違いについて「阪神の場合は、地震動による家屋倒壊が主で東日本大震災の津波被害とは形態が違う。

津波への恐怖と、住宅や町が跡形もなく流されてしまったことによる絶望感が大きいのではないか。調査を参考にして津波被災地の復興する方策について考えていきたい」としている。


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