仮設住宅整備の長期化必至 供給追いつかず、ライフライン破壊
産経新聞 [3/23 20:57]
岩手、宮城両県で東日本大震災の被災者を収容する仮設住宅の整備が長期化を避けられない見通しだ。仮設住宅を供給する日本プレハブ建築協会に、14日までに届いた福島県を合わせた3県の最初の発注だけで3万2800戸に達し、最初の1カ月の供給量4300~4600戸の7倍を超える量に達しているためだ。(石田征広)

宮城県の村井嘉浩知事は23日、仮設住宅の第一弾として約千戸の建設を決定し、28日から着工することを明らかにした。まず被害が大きい気仙沼市、石巻市、女川町、南三陸町、山元町などの市町で約1カ月で完成させる予定。だが村井知事は「用地の確保や資材調達を考えると、十分な戸数を建設するのは困難」と話し、一時的な県外への集団移住を促した。

こうした動きに協会職員は「協会内に仮設住宅の建設本部を設置、12日にはメーカーに発注を出して、仙台、盛岡、郡山に現地事務所を設けた。仮設住宅を少しでも早く、1戸でも多く整備できるよう全力を挙げています」と話す。

3県が14日までに協会に発注した仮設住宅の戸数は福島1万4千戸▽宮城1万戸▽岩手8800戸-。しかし、過去の大地震ではその数が時間の経過とともに増えていった。平成7年の阪神大震災の最初の発注は2961戸だったが、10次にわたる発注で最終的には4万8300戸にふくれあがった。

阪神大震災で仮設住宅の建設を担当した兵庫県公営住宅課の吉岡種己副課長は「最初は多くても1万戸弱の見込みだった。それがどんどん増えた。

まさかこんな数になるとは思ってもみなかった」と振り返る。1万戸分を発注した宮城県土木部住宅課の小野寺邦之技術補佐も「3万戸近くになると思うんですが、見当がつかない」と話す。

国土交通省は「阪神大震災では地震発生から2カ月半後には3万戸の仮設住宅が出荷された。今回も窓口となっている日本プレハブ建築協会のほか、住宅生産団体連合会にも同程度の出荷ができるように要請している」とし、小野寺技術補佐も「協会以外のいろいろな所に声をかけて仮設住宅を確保したい」という。

福島県は7月末まで2万戸の仮設住宅を供給することを発表した。

岩手、宮城の場合、津波が街をのみ込んだため、仮設住宅の早期整備に欠かせない上水道が損壊してしまった場所が多く、仮設住宅の建設場所を確保することも困難だ。小野寺技術補佐は「実態を把握したいのですが、市町村への問い合わせはまだ自粛している」と話し、どれだけの場所が確保できるかは未知数だ。

阪神大震災はほぼ半月後の2月2日から仮設住宅の入居が始まり、最後の鍵渡しは8月11日だった。東日本大震災の仮設住宅戸数は阪神大震災を上回り、ライフラインを根こそぎ破壊した津波被害で建設場所が限定されるのも確実。仮設住宅の整備の長期化は避けられそうもない。


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