熊川哲也さんが、私が今までにいっぱい感動してきた、『眠れる森の美女』はつまらない、と言った意味がわかり過ぎるくらいに伝わってきた、素晴らしいバレエ作品、Kバレエの新作『眠れる森の美女』をフェスティバルホール、3日のマチネ公演を観て来ました。

 

フェスティバルホールの入り口には豪華なツリーが飾られてあり、入るところから華やかな気持ちにさせてくれます🎄✨

 

 

 

私の観た日のキャスト表です。

 

 

 

「オーロラ姫を死を導いたのは、王子だった」

 

この言葉を見るたびにドキリとさせられますが、こんなに納得させられるとは、、、

まさに熊川さんのマジックだと改めて圧倒される、すごい眠りでした。

 

 

 

幕が開くと、テレビの特集などで見せてもらっていた、あの美しい豪華で楕円形の舞台の上では、オーロラ姫が生まれた祝宴が繰り広げられます✨

 

冒頭から妖精さん達を始め、ダンサーさんが踊る、踊る、踊る🎶

それにここで踊られるの?という宝石の踊りも踊られたりして、華やかな雰囲気でホールの中は包まれます。

 

特にここで可愛いながら印象に残るのは、まだまだ幼いボーイズダンサーさん達が4人登場して踊られたことです。

未来の花婿候補さん達はデジレ王子様を含め、ここで生まれたばかりの愛らしいオーロラ姫の赤ちゃんに出会っているのです。

未来のプリンシパルくんはいるのかなぁ?なんてことまで思える頑張りぶりです。

 

そんな華やかで楽しい場所なのに、突然、音楽が不気味に変化し、雷が鳴り、招かれざる客、私達からは待っていたお客様であるカラボスが現れます。

 

小林美奈さんのカラボスは、自分を鏡でうっとりと見つめた後、とてもかっこよく彼女の部下達と一緒にこの楽しい宴をぶっ壊しにかかり、ついに幼いオーロラ姫に呪いをかけようとするも、リラの精達がしっかりと姫を守り、逆にカラボスが杖の中に封じ込まれて、ここは大円団で終わります。

 

そして、16年の誕生日も近づいた頃、美しく育ったオーロラ姫として、日高さんが美しい森に登場しますが、初々しくてとても可愛い。

花達やカエル(可愛いかぶりものをつけてて可愛い🐸さん達!)と、楽しく優雅に遊んでいると、早くも青い鳥や白猫さん達が登場します。

 

ここで早くも白猫さん達や青い鳥とフロリナ姫の踊りが踊られます。

青い鳥の吉田周平さんがKバレエのブルーバードらしい、気持ちよい跳躍を見せてくれますが、ふとオーロラ姫を見ると、白猫さんをとても上手にかわいがっていらしてて、そっちも気になってしまいました。(首のあたりをスリスリしてあげたりとか三毛猫ラブラブついつい目が行ってしまうほどのいい雰囲気で、猫さんのゴロゴロいう音が聞こえてくるような感じでした)

 

ところが・・・・

あさイチで熊川さんご本人がネタバレしてくれていた通り、かなりブラックな赤ずきんが狼と現れて、オーロラ姫を襲わせるのですが、そこに現れてオーロラ姫を助けたのは、デジレ王子様!!

なんとかっこいい登場なのでしょうか。

狼達をかっこよく蹴散らして、心通じ合わせる二人。

一輪の薔薇を王子に渡して、オーロラ姫はそっと去ってゆきます・・・・

 

が・・・・

この余韻に浸る暇もなく、ブラック赤ずきんは王子に泣きついての大芝居で王子をあの封印された杖の元まで連れていってしまいます。

そして、何も知らない王子が杖を抜いた途端、カラボスが復活。

そして王子は、カラボスの呪いにかかってしまいます。

 

この後、オーロラの誕生日にローズ・アダージオが踊られるので、デジレ王子とも再会できているのですが、王子は他の王子と同じように淡々と踊られるばかりです。

 

それにしても、このバージョンの面白いところは(観る方としては)王子はもちろん、オーロラ姫もリラの精も踊る、踊る、踊る!!

よく考えると普通の眠りでは、デジレ王子という人の人となりは特には伝わってこなくて、踊る場面も本格的に・・・となると、ラストのGPDDのところのみ。

 

熊川さん、踊る時もつまらなかったのでは?と推測してみたりも。

 

ところが、このバージョンでは王子様も登場のバレエから踊る場面が非常に多く、そういえば、オーロラ姫のソロの場面でも、4人の王子達がアダジオしながら見守っていたりして、思い出すと細かな動きも含め、踊りの場面が非常に多いのです。

 

リラの精にいたっては、イタリアンフェッテの進化版??みたいな不思議な踊りまでが入っていたりして、見どころが凄い。

 

音楽も知らない音楽があちこちで流れるのですが(全部チャイコフスキーの作品なのだそうで)雰囲気は合っているのですが、時々混乱しそうにはなりましたが。

 

けれども音楽の使い方で上手い!!と唸ってしまう箇所も!!

オーロラ姫に呪いをかけられた黒い薔薇を渡してしまう、すっかりカラボスの呪いの中にいる王子。

 

その黒い薔薇のせいで苦しむオーロラ姫の苦悩の思いを表現する場面で、通常ではカラボスの呪いがかかって酩酊してゆく箇所の音楽が使われるのですが、あの音楽の雰囲気で、「どうしてなの?あんなに優しかったあなたなのに」というオーロラ姫の嘆きを伝えるのにあの音楽がよく似合っている上、姫の嘆きが伝わってくる振付も素敵でした。

 

人と人とが愛し合う中で、順当に進むということも、もちろんあるとは思いますが、やはりすれ違ったり、色々とあるのが現実だと思いますが、

そんな中で、バレエという作品では、多くの「赦し」を描いてきていると思います。

 

そして、この版のオーロラ姫の中からオデットのようなジゼルのような「赦し」の心が伝わってくる流れに、とても心惹かれ、感動させられました。

 

そういえば、自らを取り戻した王子が嘆き、赦しを求める場面の中で、アルブレヒトと同じようなポーズを取る瞬間もあって、はっとしました・・・・

 

リラの精によって夢の美しい幻影の場面の中で、赦しをリラの精にもしっかりと伝える王子様。

そしてこの美しい場面でしっかりと心がつながっていることを確信できたかのように、王子様は心優しいだけではなく、心強い王子としてカラボスを倒し、オーロラ姫にキスをして、自らの手で眠りにつけてしまった姫を救うのです。

 

そこからの結婚式の場面は、祝宴で踊られるのは、新しいものとしては一幕で使われなかった宝石の踊りだけという事にして(とはいっても、ここでの宝石の踊りもすごく大変そうなパばかりで、堀内さんは足がもつれないかと思ってしまう程で)それに、青い鳥や白猫さん達も混じって踊るので、物足りなさはまるでありません。

 

それに、よく来れたとか、追い出した方がよかったの方では?という声も飛んできますが、赤ずきんも狼さんとやってきて、赦しを得て、祝宴に混じって踊らせてもらいます。

 

赤ずきんちゃんについては色々な声がありますが、自らも許された王子だからこそ、赦しを与えることの大切さも同時に伝えてくれたのかもしれません。

 

そして、ここまでも思い切り踊りを見せてきてくれたオーロラ姫と王子様ですが、あのGPDDは、きちんと古典通りに踊られますが、この二人の出会いや苦悩を超えての結ばれた強い愛だと思うと、重みもある美しさだけでなく、荘厳さも感じさせてくれる素晴らしいGPDDでした。

 

音楽がこの物語の終わりを告げることが寂しくて仕方がなくなってしまう・・・

もう少しこの時間が続けばいいのに・・・

そんな気持ちになるような『眠れる森の美女』を観せて頂いた後、私の体調が上向きになっています⇠これは本当です!!

 

そして今日、11月6日はチャイコフスキーのご命日だそうです。

どこを切り取っても美しい、心がはっとするような旋律を生み出してくれたチャイコフスキーにも、こんな凄い眠りを創って下さった熊川哲也さんにもそれを見事に踊り切ってみせて下さったKバレエの皆様にも心からの感謝です。

 

ソワレを観に行った、私のバレエの先生と、この日の夜中はLINEで楽しく感動を伝え合い、眠りの映画は一緒に観に行きましょう🎶と、お約束ができています。

その頃までにはもっともっと元気に戻って、レッスンにも戻れるようになりたいです音譜