”息子の命日” 2020・4・13 | 熊本ヨガ講師 RYOのYOGA的美人道

熊本ヨガ講師 RYOのYOGA的美人道

熊本ヨガ講師Ryo
【ホットヨガ】
STYLISH YOGA ROOM Padma
【yoga】
SAHAJI

目指していたのはメイクアップアーティスト。
外側を磨くことから内面を磨くことに変わり
女性のため、新しい命のために
指導するヨガの講師となりました。

2020年4月12日
父の誕生日。
おめでとう。
 
そして
2020年4月13日
それは
息子の誕生日であり
命日。
 
生存していれば
9歳になる。

 
 
あの時の事を忘れた日はない。
殺すための出産。
命ある、心臓が動いている
我が子の息を止める瞬間。
 
 
私たち家族の持つ遺伝病
X性連鎖遺伝症
 
Xの染色体にのみ障害が発症するという病気。
そう。
男の子だけ。
そして
その確率は軽く80%を超える。
 
 
あなたはお腹の子に障害があるとわかったら
産みますか?
あきらめますか?
 
あの時もこのような時期で
ちょうど福島の震災で
ここ、熊本から水が消えた。
 
放射能に怯える人たちの疎開が始まり
そのうち熊本も汚染されるのではないかと
毎日不安だった。
 
よく、福島の震災のことを出すと
福島にいたの?
熊本にってそんなだった?
熊本にいてそんな不安になったの?
 
なんて言われたけれど
 
これから障害のある子を産むかもしれない私に
過度にかかる不安とストレスは凄かった。
ましてや震災の恐怖は忘れることができない。
 
 
 
法律上、堕胎できる週数には決まりがある。
 
2011年3月末
福島の震災の報道が毎日TVで流れる日々の中
我が子が男の子とわかった。
産科の帰り道
泣いた。
 
公園にうずくまって
人目も気にせずに泣いた。
 
どうしていいか分からず涙が止まらなかった。
 
時間は待ってくれない。
タイムリミットは
21週。
産むか、諦めるかの判断に与えられた時間は
本当にわずかだった。
 
そして、4月12日
父の誕生日に私は産科へ入院し
分娩するための促進剤を投与された。
 
泣き疲れて眠り
涙で目が腫れて迎えた4月13日。
二度目の促進剤
 
そして
子宮口を無理やり開く
海面棒の挿入が始まる。
1本2本と増える海面棒と激痛。
赤ちゃんの頭の大きさは約10センチ
そこまで広げる事になる。
 
未来のない陣痛に耐えながらの
自然分娩
 
私はマタニティヨガの講師として普段指導にあたっているわけで
冷静さを保てと指導しているわけで・・・・
 
だけど痛みが肉体だけでなく心に突き刺さり
 
涙が止まらなかった。
幸せのための出産ではなく
我が子を殺すための出産。
 
ドクターから
臍の緒を切るよ。
わかるね。
そう言われて
私はうなずいた。
目から大きな粒が落ちるのを感じた。
こらえていた気持ちが一気にこみ上げて
 
生まれたばかりの赤ちゃんに
もう、涙が
悲しみで溢れて
どうしていいかわからなかった。
 
それなのに幸せホルモンは出てきて
悲しみを許してくれない。
とても複雑で困惑した。
 
翌日、靴箱のような白い箱に入った小さな遺体を自宅に持ち帰った。
 
あの重さ。
受け取った時の
あの重さ。
 
忘れない。
 
私はそれから産後の体を引きずり
小さな小さな骨壺を探して回った
そしてようやく見つけた赤ちゃん用の骨壺を買った。
 
 
両親と私は住職にお経を上げてもらい
静かに静かに葬儀を行った。
 
火葬場では
喉の仏様も残らないくらいの小さな遺骨。
灰以外、そこには何も残っていなかった。
 
それでも灰をかき集め
小さな小さな骨壺へいれた。
 
持ち帰ると
祖父は無言でお墓の扉を開けてくれた。
 
そこには先に入っている
私の弟の小さな小さな骨壺があった。
 
赤ちゃん同士仲良くしてね。
と弟の隣に我が子を任せた。
 
 
毎年、この季節には何かが起こる。
4年前は震災だった。
熊本地震。
 
何かしらざわつく季節。
 
 
また、今年もそんな時期がやってきた。
 
魂は
肉体を借り、人間として
新しい人生をスタートさせる。
 
自分が幸せになるために両親を選び
新しい肉体に入る。
 
この人ならば幸せになるんじゃないか。
 
そんな想いや考えは
母の陣痛の8〜15分もの間、呼吸ができないという
人生最大の試練を経験し
言葉を喋れずいるうちに
辛い記憶として薄れていく。
 
だいたい3年で辛い思い出は薄れる。
振り返えりをされない限り。
なので2〜3歳の子にたずねると
答えてくれる時がある。
 
「えいじゅは誰?」
「栄樹は真希斗なの?」
 
君ははっきりとこう答えた
「うん。そうだよ」
 
そして、いつもの赤ちゃんに戻った。
 
私は2回、赤ちゃんを産んだ。
でも、その二人は同一人物というか
同じ魂なんだろう。
 
肉体を焼き、骨がなくなっても
魂は存在する。
 
そして、君は
私を二度も母として選び、ついてきてくれた。
私を幸せにするために。
 
いや、私を成長させるために。
 
私を母と選んでくれてありがとう。
だからこそ
精一杯の愛で応えたい。
 
君は本当にすごい子だ。
本当に、すごい。
 
私より強く優しく柔軟性に溢れてる。
 
君に父はいない。
生まれる前から居ない。
生物学上はいるけれど
父というカテゴリーではない。
 
母は
二人分働いて
二人分愛情を注ぐよ。
 
だけど今はコロナの影響で仕事がない。
 
許してね。
その代わり、いつもは出来なかった
ゆっくりのご飯とか
寝る前の読み聞かせとか
お風呂に浸かるとか
二人の時間を楽しもう。
 
もう、お金の底はついちゃったけど
ママはどうにかするよ。
どうにか?
方法はわからないけど
ママは努力家で器用だから何か方法を見つけるよ。
 
命日のたびに
我が子を愛しく愛しくだきしめたくなる。
 
この子を産んでよかった。
あの時、あきらめなくて
本当に良かった。
 
次男である 栄樹。
長男である 真希斗。
 
どちらも大事な息子。
心の中にはいつも2人。
 
そして。目の前にいる
息子に2倍の愛情を。
 
父親役と母親役もだから
4倍の愛情を注ごう。
 
私が存在する意味。
私が存在する価値。
 
その答えを君たちは命がけで私に教えてくれた。
本当にありがとう。
 
大好きな息子たち。