こんにちはパクロス編集長の平野です。


あと、
『かまいたちの夜』とかね。
これらの固有名詞を耳にして、
何それぇと言う人と、
なつかし~と言う人がいます。
そこに世代の違いが顕在化しますが、
何はともあれ『弟切草』は、
サウンドノベルというジャンルの草分けだそうです。
草によって草が分けられた。


もちろん実在する草花で、
オトギリソウ科の多年草。
弟を切るとは物騒な名前にて、
だからホラー作品の題にもなるわけですが、
その名前はまさしく、
弟を切った伝説に基づくと言います。
これは傷口に塗ると卓効がある生薬であり、
兄が独占的に使っていたのであるが、
その秘密を弟がみんなにバラしてしまったので、
切った。
辞書を引くとそう書いてあります。
むごいな兄。
よく知りませんがきっと、
激情の勢いで思わず切ってしまった後、
ハッと我に返った兄は、
息も絶え絶えの弟の傷口に、
弟切草を必死に塗り込んだんじゃなかろうか。
しかし…。
いかに弟切草がすばらしい薬であっても、
このときばかりは、
手遅れだったのです。
…というのが話のオチとしてはよろしい気がします。
さぞ自責の念に駆られたろう兄。


ネット検索もせず書いているので、
ひょっとしたら、
全く違う話かも知れません。
兄は、
強欲で、狭量で、血も涙も無い人間として登場するのかも知れない。
それだと救いようがないな兄。
そんな兄は厭ですが、
ともかくそのような兄がいたおかげで、
遥か下った時代の日本で、
サウンドノベルというゲームが大ヒットしたのでした。
ある意味お手柄の兄。


ではパリンドロームです。


雑誌編集長の業界ウラ話オモテ話Ⅱ


強いな…きつい。タイシルクなん!? あちこち拘束、服装コチコチ。あんな苦しいタイツ着ないよっ


【 つよいなきついたいしるくなんあちこちこうそくふくそうこちこちあんなくるしいたいつきないよつ 】


あちこち、
コチコチ。
こういう繰り返し系の語が入ると、
グッと回文っぽいムードが醸されますね。


えっと、
タイシルクを貶すつもりは毛頭ありませんので、
どうかご容赦下さい。
苦情はパリンドロームの神さまの所へどうぞ。
タイツは元来ぱっつんぱっつんなものであって、
着用すれば、
ある程度は苦しいのが当然です。
タイシルクは悪くない。
何しろ世界的評判のタイの名産品ですからね、
誰が何と言おうがそれは、
良質なものが多いに決まってます。
旅行代理店と結託したあやしい業者が観光客に買わせるようなものでない限り。


とは、
言ってみたものの、
旅行代理店と結託したあやしい業者が観光客に買わせるようなものが並んでいても当然なのが土産物屋というトポスなので、
こういうのは個々人が意識的に、
自衛するしかありません。
ダマされたほうが、悪い。
それが国際標準らしいのです。
グローバルスタンダードとは、
旅行代理店と結託したあやしい業者が観光客に買わせるようなものを売りつけることである。
とでも思っておけば、
海外に行ってもそう酷い目に遭わずに済むか。


ただ、
経済的な意味では酷い目に遭わずとも、
別の意味で酷い目に遭うことは、
ありますね。
例えば、
「レンタルした自転車のタイヤが走り始めて5分でパンクした」とか、
そういう感じの。
旅の途中には、
なぜだか知らんが、
その類の事件がよく起きるものです。
起きるような気がする。
ご老公が旅をすれば、
週イチのペースで事件が起きるような気がする。


どっか旅行とか行きたぁい。
それは常套句ですが、
私たちは、
旅ってものに、
何を求めているのか。
つまり日常を抜け出したいのさ、
とこれまた常套句ですが。
いやいや、
果たして本当にそうか?
個人的には疑っています。
日常を抜け出したいという物言いには、
「日常とは退屈なものだ」ということが、
前提されているようです。
その前提、
気に喰わねえ。
はい、私は退屈な日常を過ごしています。
と認めるかの如くで、
気に喰わんでしょう。
それに、
旅から帰ってみれば、
あぁやっぱり我が家が一番だなと安堵しますでしょう。


ゆえに、
日常からの脱却なぞは、
じつは求めてないと思う。
ならば何を求めるか。
いたってシンプルに、
「好奇心の満足」。
ただそれだけのことではなかろうか、
と思います。
この好奇心というやつほど、
強烈で、
無根拠で、
説明不能な行動原理はありません。



雑誌編集長の業界ウラ話オモテ話Ⅱ