きょうの言葉

 

入れ歯取り こぼれ話に 歯無し咲く タカオ選

 

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こうして四期県議を務めた中で一番困難な目にあったのは昭和六年の大凶作で、これが県下を襲いました。

 

農村の娘の人身売買や女工の出稼ぎ欠食児童(けっしょくじどう:家庭の貧困や食糧不足などのため、満足に食事がとれない児童)の続出。

 

一方、県の金融界も財政の恐慌などで五十九銀行(ごじゅうくぎんこう:第五十九国立銀行:だいごじゅうくこくりつぎんこう は明治期に青森県弘前で設立された銀行で青森銀行の前身の一つ。)をはじめ軒並み休業し県下の金融界はマヒ状態に陥ったのでした。

 

こうした県の危機打開のため県議も超党派で結束していろいろと知事に進言したのです。

 

が、知事はこの切迫した事態にも何の熱意も示さずただ緊縮政策一点張りで、きりっとした返事がもらえなかったとか。

 

戦前の知事は今のように県民に選ばれた知事ではなく時の政府から派遣された官僚だったのです。

 

そのため事なかれ主義で大過なく勤め中央へ返り咲くことしか考えていなかったのではないかと私は推測しています。

 

こんな知事は相手にしてもいられず県議が直接中央と交渉することになり県議全員上京し前述の神田万平ホテルに陣取り、在京の学生まで動員して運動を開始したのでした。

 

つづく