ただならぬ空気のまま、何故か沿岸部の県道を走行している自分、ワンセグでは次々と津波被害の情報が飛び込んでくる。冷静なフリをして実は状況を把握してなかったと思う。

会社まで25㎞付近、仙台空港の滑走路下のトンネルを通過、出口のラーメン屋で煙草を吸った。この数分間が後に自分の命を救うとは…

その時!ワンセグから「仙台空港に津波が押し寄せています」との情報。まさに今通過したばかりであり、一気に危機感が迫ってきた。

分岐が迫ってきたが、ここでも内陸を選択せず、吸い込まれるように沿岸部…ここでの選択も不思議と生還へと繋がる。

焦る気持ちに追い討ちをかけて、微動だにしない渋滞が…

前方が騒がしいと思った矢先、赤いコンパクトカーがミラーをぶつけながら逆走してきた。「津波だ!」右から瓦礫を含んだ津波が一気に押し寄せてきた。ゴツンゴツンと車体に岩が当たる衝撃と、押し流される恐怖。経験したことのない状況の中、とっさの機転で、対抗車線横の民家を盾にしようとフルスロットルで津波へ突っ込んだ。車体が傾くが前方のトレーラーと横の民家にガードされた。

気づいたら膝まで津波で浸かっていた。その時の心境は覚えてない。左側を見ると、車が次々と流されていく。水没した車両から一斉にクラクションが鳴り始める。自分は幸いにも手巻きドアだったので、窓から出て屋根に登った。