車の足元に水が侵入してくる感覚は想像できませんよね?ハンドル下まで1分もかからなかった。
とにかく寒い!雪が降ってる状況で、いつまで屋根にいればいいのか…しかし目の前の光景は現実なのだろうか? とりあえず自分は生きている。この水の中で何人、何十人、何百人がもがき苦しんだのか、その考えは非情ではあるが、すぐに消え去ってしまう。自分が生きることしか考えられないからだ。サイレンとクラクション、ヘリコプターの音が鳴り響いている、日没頃にクラクションの音は消えていた。
改めて気付くと、自分を守ってくれた右側の家の両隣の家が無くなっている!2階に人影が見えた。辺りが暗くなってくると寒さと暗さ、屋根が異常に滑る怖さから、車内へ戻る事にした。ワンボックスの為、普通車より座席が高い分、シート上ならなんとか凌げそうだと思った。車内も相当寒かったが、屋根とは雲泥の差があった。体育座りや横になったりと、姿勢が定まらないまま数時間が経過した。
ダッシュボードの上に業務用のマスクがあった。普段なら笑われるが、顔に6枚重ねて着用した、ミイラ男みたいだが(笑)結構寒さを凌げた。
22時頃、思い出したように煙草を吸った。その時の星空はプラネタリウムのように綺麗だった。気持ちに余裕がでたのか、家族の事が気になってどうしようもない感情が込み上げてきたが、災害時はとにかく自分だけ生きなきゃしょうがないという考えに移行できた。
月明かりが水没した一面を照らし、海で遭難してる感覚だった。
「東北終わった…」