定期的なライトの照射で目が覚める。スマホのバッテリーはなくなっていた。時刻は5時頃だったと思う。日の出までの約一時間がとてつもなく長く感じた。
うっすらと周りの状況が浮かび上がってくる。どうやら津波は引き、ヘドロ状態なのがわかった。歩けそうな気配である。
外に出る準備を始める。仕事の領収書などをショルダーバックに詰め、これから戦争に行くような気持ちと言うのだろうか?
6時、いよいよ車外へ出ることにした。もう鉄クズと化した車両に鍵をかけ、ヘドロの中を歩きだした。すると、頭から民家に突き刺さってたキューブから1人の作業服姿の男性が降りてきた。民家の屋根に避難したけど、寒いから車に戻り、上に向いたトランク内で凌いだらしい…(※以後、竹田さんと呼びます)
そしてもう1人、坊主のガタイのいい30代位の青年、ユニック付トラックで流れてきたらしい。(※以後、マイケルと呼ぶ) 当時観ていた「プリズンブレイク」のマイケルに似ていた(笑)
この二人と行動を共にすることになる。とにかく内陸へ歩く事に異論はなかった。暫く歩くと、自分のズボンの裾からなにかが落ちていることに竹田さんが気付いた。寒さ凌ぎに詰め込んだ紙おむつだった(笑)久し振りに笑った気がした。