高速を歩くのは最初で最後かも、橋の繋ぎ目の段差に腰掛け、煙草を吸う。そしてまた歩く。暫くすると、遠くに白髪の70歳位の女性と中学生らしき女の子が歩いていた。直感で祖母と孫に見えた。早歩きで追い付き、声を掛ける。何を話したか覚えてないが、高齢の女性が女の子をなだめながらゆっくりと歩いている姿をみて、痛々しく思えた。
二人は他人同士だった…女子中学生は七ヶ浜という町に住んでいる。海の前だそうだ、両親と連絡がとれず、実家も流されてるに違いない…無情過ぎる…気軽に「大丈夫」なんて言えなかった。自分の目的地迄の1.5倍位の距離がある。
ムードメーカーの竹田さんの表情も曇った。ただ、5人で歩くことにした。とても先を歩く気にはなれなかった。
ふと自分も親の事が心配になってきた。会社の携帯もスマホも電池切れで、どうしようもない…幸いにも実家は内陸のため、津波の被害はあり得ない場所だったが、あの揺れを思い起こすと…