今日、Threadsを読んでいると以下のような投稿があった。
「Nikon Zfcで16-50mmのキットレンズを使い、16mm・F3.5で撮影しているのだが、EVFでは背景がボケて見えるのに、実際に撮影してみると、それほどボケていない」
それに対するレスに目が止まった。
「それは撮影時にあなたの目がボケているのではないですか? 液晶に映った通りにしか写りませんよ? それがミラーレス機のメリットでもありますしね。」
確かに、ミラーレスカメラの大きなメリットの一つは、EVFや背面液晶で撮影結果をある程度事前に確認できることだ。
私自身も以前は、「ミラーレスなのだから、EVFには撮影時の設定がすべて反映されているはずだ」と思っていた。
ところが、あるとき疑問が生じた。
「すべての設定がEVFに反映されるのなら、そもそも『プレビュー』という機能は何のためにあるのだろう?」
調べてみると、ここには少し面白い仕組みがあった。
EVFは「撮影結果そのもの」を常に表示しているわけではない
ミラーレスカメラのEVFは、レンズを通してセンサーが捉えた映像を表示している。
しかし、だからといって「シャッターを切った瞬間の写真と完全に同じ状態」を常に表示しているわけではない。
特に分かりやすいのが、絞りによる被写界深度だ。
例えばF8に設定して撮影するとする。
撮影時には当然F8まで絞られるので、F2.8などの開放付近と比べれば、ピントが合って見える範囲は広くなる。
ところが通常の撮影画面では、カメラは必ずしもF8まで絞った状態をそのまま表示しているわけではない。
開放に近い状態で表示することで、EVFを明るく保ち、構図を確認しやすくしたり、ピントを合わせやすくしたりしている。
そこで登場するのが「プレビュー」だ。
「プレビュー」は何をしているのか
Nikonのカメラでは、プレビュー機能をボタンに割り当てて使用できる。
例えばF8に設定している状態でプレビューボタンを押すと、レンズが実際にF8まで絞られる。
するとEVFには、F8で撮影した場合の被写界深度に近い状態が表示される。
つまり、
通常の撮影画面=撮影しやすいように表示された状態
プレビュー=実際の絞りによる被写界深度を確認する状態
という使い分けがあるわけだ。
これは私にとって、少し意外な発見だった。
「ミラーレスならEVFに全部見えている」と思っていたからである。
では、Zfcの場合はどうなのか
今回の投稿に出てきたZfcにも、ボタンに「プレビュー」を割り当てることができる。
そこで、もし16mm・F3.5で「EVFではボケて見えるのに、撮影するとボケていない」というのであれば、まずプレビューを押して確認してみるのがいい。
16mm・F3.5に設定し、EVFを見ながらプレビューボタンを押す。
そこで見える状態と、実際に撮影した写真を比較してみればいいだけだ。
この仕組みはNikonだけなのか
これはNikonだけの特殊な仕組みではない。
他メーカーのミラーレスにも、考え方として同じような機能が存在する。
メーカーによって、「プレビュー」としてボタンを押したときだけ被写界深度を確認する方式もあれば、ライブビューに撮影設定を常時反映させる設定を用意しているものもある。
つまり各メーカーとも、
「撮影結果をできるだけ忠実に表示する」
ことと、
「撮影者が見やすく、ピントを合わせやすい表示にする」
ことの両方を考えて設計しているわけだ。
「液晶に映った通りにしか写らない」は少し違う
今回の話で出てきた、
「液晶に映った通りにしか写りませんよ? それがミラーレスのメリットです」
という説明は、完全に間違いというわけではない。
確かにミラーレスでは、一眼レフの光学ファインダーよりも露出やホワイトバランス、色味など、撮影結果を事前に確認しやすい。
しかし、
「EVFに見えているものが、常に撮影結果そのもの」というわけではない。
特に被写界深度については、通常表示とプレビュー表示を使い分ける必要がある。
考えてみれば、これは合理的な設計でもある。
撮影中ずっと絞り込んだ状態を表示してしまえば、F8やF11などでは画面が暗くなり、ピント合わせや構図確認がしづらくなる。
だから普段は見やすい状態で撮影し、必要なときだけプレビューで「実際の絞りではどうなるか」を確認する。
ミラーレスのEVFは、「写真をそのまま見せる装置」というより、
撮影者が写真を撮りやすいように情報を整理して表示しているファインダー
と考えたほうが正確なのかもしれない。